法人住民税の均等割。赤字でも年7万円は必ずかかります
法人住民税の均等割とは、所得に関係なく、事業所があるだけでかかる定額の地方税です。標準的な小規模法人(資本金等1,000万円以下・従業者50人以下)で年7万円(道府県民税2万円+市町村民税5万円)。法人税が赤字ならゼロになるのに対し、均等割は赤字でも休眠でも払う——会社を存続させるための最低固定費です。
金額は資本金等の額と従業者数の2軸で段階的に上がり、複数の自治体に事業所があればそれぞれに課税されます。会社の維持コストを見積もるうえで欠かせない数字なので、仕組みを整理します。
金額の決まり方
| 資本金等の額 | 従業者数 | 年額(道府県+市町村) |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 50人以下 | 7万円(2万+5万) |
| 1,000万円以下 | 50人超 | 14万円(2万+12万) |
| 1,000万円超〜1億円以下 | 50人以下 | 18万円(5万+13万) |
| 1,000万円超〜1億円以下 | 50人超 | 20万円(5万+15万) |
| 1億円超〜10億円以下 | 50人以下 | 29万円(13万+16万) |
上表は標準税率で、自治体によって超過税率が適用される場合があります。東京23区は都が一括して課税するため、区ごとに分かれません。
実務のポイント
- 資本金1,000万円が最初の壁…資本金を1,000万円以下に抑えると均等割が7万円で済み、設立2年間の消費税免税も維持できます。「資本金1,000万円未満」が小さな会社の定石なのはこの2つの理由です
- 事業所ごとにかかる…本店に加えて支店・営業所があると、その自治体にも均等割が発生します。拠点を増やすときは年7万円×拠点数の固定費増を計算に入れてください
- 休眠会社でも原則かかる…事業を止めていても法人が存在する限り課税されます。自治体によっては休眠の届出で免除される場合もあるので、長期休眠なら税理士と相談を
- 事業年度が1年未満なら月割り…設立初年度や決算期変更の年は、月数按分(1か月未満切捨て)で計算します
会社維持コストの全体像
- 最低ライン:均等割7万円+税理士費用…売上ゼロでも会社を維持するには、均等割7万円と決算申告の費用(相場は決算で17〜20万円)が最低限かかります
- それでも法人を維持する理由…許認可の継続、取引先との関係、社会保険の継続など。維持コストと再設立コスト(6〜20万円+手間)を比べて判断する場面です
- 清算するなら費用と時間がかかる…解散・清算の登記や官報公告、清算確定申告まで含めると数十万円と数か月。「使わないから放置」が一番コストがかかるパターンです
- 納付は決算申告と同時…決算日から2か月以内に、法人税・法人事業税とあわせて申告・納付します。赤字でも申告が必要なのはこのためです
よくある誤解
- 「資本金等の額」は資本金と同じではない…資本金+資本準備金など、税法上の資本金等の額で判定します。増資のときは均等割の階段を超えないか確認を
- 個人事業主にはない…均等割は法人の税金です。個人事業主は所得に応じた個人住民税(と均等割数千円)で、法人のような固定費は発生しません。法人成りの損益分岐を考えるときの要素の1つです
- 従業者数は事業所ごと…50人の判定は法人全体でなく事業所ごとです。本社30人・支店25人なら、どちらも50人以下で判定されます
- 減免制度がある自治体も…公益法人や特定の状況では減免がありますが、通常の営利法人ではまず適用されません。期待せず固定費として織り込んでください
よくある質問
Q赤字でも均等割を払わないといけませんか
はい。所得に関係なく課税されるのが均等割の性質です。赤字でも申告と納付が必要です。
Q設立初年度も満額かかりますか
事業年度が1年未満なら月割り計算です(1か月未満の端数は切捨て)。7月設立の3月決算なら9か月分になります。
Qバーチャルオフィスで登記した場合はどこに払いますか
登記上の本店所在地の自治体です。実態のある事業所がほかにあれば、そちらにも課税される可能性があります。
Q複数県に支店があるとそれぞれかかりますか
かかります。事業所が所在する都道府県・市区町村ごとに均等割が発生し、従業者数などで按分計算します。
まとめ
① 所得に関係なくかかる定額税。小規模法人の標準は年7万円(道府県2万+市町村5万)。
② 資本金等の額と従業者数の2軸で段階的に増加。資本金1,000万円以下が定石。
③ 事業所ごとに課税。拠点追加は年7万円×箇所数の固定費増。休眠でも原則かかる。
④ 維持コストは均等割+決算費用。使わない法人の放置が最もコスト高。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。