事業所税。1,000㎡・100人を超えなければ、まず関係ありません
事業所税は、人口30万人以上の指定都市など(東京23区・政令市・一部の市)でのみ課される地方税です。都市環境の整備費用に充てる目的税で、判定はシンプルに2つ。
①資産割:市内の事業所の床面積の合計が1,000㎡超→1㎡あたり600円、②従業者割:従業者数が100人超→従業者給与総額の0.25%。つまりオフィス1,000㎡(約300坪)または従業員100人を超えなければ、原則として納税は発生しません。1〜10人の会社にはまず関係のない税金ですが、成長したときに突然出てくるので、ラインだけ知っておくと安心です。
課税の判定
| 区分 | 免税点 | 税率 |
|---|---|---|
| 資産割 | 床面積の合計1,000㎡以下は非課税 | 1㎡あたり600円(超過部分でなく全体に課税) |
| 従業者割 | 従業者数100人以下は非課税 | 従業者給与総額×0.25% |
| 課税団体 | 東京23区・政令指定都市・人口30万人以上の一部の市(自治体ごとに確認が必要) | |
| 申告期限 | 事業年度終了の日から2か月以内(法人税と同じ) | |
免税点は「超えたら超過分だけ課税」ではなく、超えたら全体に課税されるのが特徴です。1,000㎡を1㎡でも超えると、1,000㎡分にも課税されます。
判定でつまずくポイント
- 同一市内の複数事業所は合算する…本店500㎡+支店600㎡が同じ市内なら合計1,100㎡で課税対象です。1拠点では超えなくても、拡張・出店で突然対象になるのがこの税金の怖さです
- 床面積には倉庫・駐車場も入る…事業用に使う部分は原則として算入します(屋外駐車場の扱いは自治体で異なるため要確認)。オフィス移転で広い物件に移るときは事前に計算を
- 従業者数はパート・アルバイトも含む…役員も含みます。100人という数字は大きいですが、店舗展開する業種では意外と早く到達します
- 免税点以下でも申告が必要な場合がある…自治体によっては、一定規模(例:800㎡超)で「免税点以下の申告」を求めます。課税されないことと申告不要は別なので、拠点のある自治体のルールを確認してください
対象になったときの実務
- 申告は決算後2か月以内…法人税の申告と同じ期限です。顧問税理士に決算とセットで依頼するのが通常です
- 床面積の根拠資料を揃える…賃貸借契約書の面積、図面、実測値。契約書の㎡数と実際の専有面積が違うケースもあるので、初回は慎重に確認してください
- 非課税・減免の規定を確認する…一定の施設(保育所・診療所の一部等)や、政策的な減免がある自治体もあります
- 拠点戦略に織り込む…同一市内で拡張すると合算、別の市なら別判定。事業所税は拠点をどこに置くかの意思決定に影響する数少ない税金です
似た税金との整理
- 固定資産税・都市計画税…土地建物の所有者にかかる税。テナントとして借りているだけなら直接の納税義務はありません(賃料に含まれています)
- 償却資産税…事業用の設備・備品にかかる固定資産税。こちらは規模を問わず、資産があれば申告対象です
- 法人住民税の均等割…事業所がある自治体ごとに定額でかかります。事業所税とは別物なので、拠点を増やすときは両方を計算に入れてください
- 都市計画税・水道の特別料金など…都市部ならではのコストは他にもあります。オフィスの立地選びは賃料だけでなく、こうした固定費の総額で比較するのが本来の姿です
よくある質問
Q東京23区に小さなオフィスがあります。事業所税は必要ですか
床面積1,000㎡以下・従業者100人以下なら課税されません。ただし自治体の定めによっては免税点以下でも申告を求められることがあるため、区の案内を確認してください。
Qバーチャルオフィスを借りている場合は
実際の事業スペースを専有していなければ、通常は事業所税の課税対象になりません。実態で判断されます。
Q複数の市に事業所がある場合はどうなりますか
市ごとに判定します。A市で1,000㎡、B市で800㎡なら、A市分のみ課税対象です(同一市内は合算)。
Q事業所税は経費になりますか
なります。租税公課として損金算入できます(法人税・住民税は損金不算入ですが、事業所税は損金になります)。
まとめ
① 課税は大都市のみ。判定は床面積1,000㎡超(1㎡600円)と従業者100人超(給与総額0.25%)。
② 免税点を超えると全体に課税。同一市内の複数拠点は合算するのが最大の注意点。
③ 免税点以下でも申告を求める自治体がある。申告期限は決算後2か月以内。
④ 拠点戦略に影響する税金。均等割・償却資産税と合わせて拠点コストを見積もる。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。