法人税。実効税率は約30%、赤字でも均等割は かかります
法人税とは、会社の所得(益金−損金)に対してかかる国税です。中小企業(資本金1億円以下)の税率は年800万円以下の所得部分に15%、超える部分に23.2%(軽減税率の特例)。
ただし実務で見るべきは法人税単体ではなく、地方法人税・法人住民税・法人事業税を合計した「法人実効税率」=中小企業でおおむね30%前後です。そして重要なのが、赤字でも法人住民税の均等割(年7万円〜)は必ずかかること。「利益が出ていないから税金ゼロ」にはなりません。申告のスケジュールと合わせて整理します。
会社にかかる税金の全体像
| 税目 | 課税対象 | 赤字なら |
|---|---|---|
| 法人税(国税) | 所得800万円以下15%/超23.2% | ゼロ |
| 地方法人税 | 法人税額×10.3% | ゼロ |
| 法人住民税(法人税割) | 法人税額に応じて課税 | ゼロ |
| 法人住民税(均等割) | 資本金・従業員数で決まる定額(最低年7万円) | 赤字でも払う |
| 法人事業税・特別法人事業税 | 所得に応じて課税(外形標準課税は大企業) | ゼロ(所得課税分) |
| 事業所税 | 一定規模以上の事業所(大都市のみ) | 規模で課税 |
申告と納付のスケジュール
- 申告期限は決算日から2か月以内…3月決算なら5月31日。納付期限も同じ日なので、決算日から2か月で「計算・申告・納税」まで終える必要があります
- 延長できるのは申告だけ…定款で株主総会が3か月以内と定めている場合などは申告期限の1か月延長が可能ですが、納税は2か月以内が原則(延滞税を避けるため見込納付をします)
- 中間申告は前年実績で…前年の法人税額が20万円超だと、事業年度開始から6か月経過後に中間申告・納付が必要です。資金繰り表に必ず入れてください
- 赤字でも申告は必要…均等割の納付があり、青色申告なら欠損金を10年間繰り越せるため、赤字の年こそ申告のメリットがあります
節税の前に押さえる原則
- 「税金を減らす」は「お金が出ていく」…100万円の経費を使えば約30万円の税金が減りますが、70万円は手元から消えます。必要な支出を前倒しするのは合理的、不要な支出で節税するのは本末転倒です
- タイミングをずらす系は効果が一巡する…短期前払費用や少額減価償却資産の特例は、初年度は効きますが翌年以降は平準化します。継続的な節税ではなく資金繰りの調整と考えてください
- 役員報酬の設計が最大の論点…期首3か月以内に決める役員報酬は、法人税・所得税・社会保険のトータルに効きます。ここだけは毎年きちんと試算する価値があります
- 欠損金の繰越と繰戻し…青色申告なら赤字を10年繰り越せます。中小企業は前年の黒字と相殺して法人税の還付を受ける「繰戻し還付」も選べます
実務の注意点
- 均等割は事業所ごと…支店や営業所があると、その自治体にも均等割がかかります。拠点を増やすときは固定費として計算に入れてください
- e-Taxでの申告が原則化…資本金1億円超は義務ですが、中小企業も電子申告が主流です。顧問税理士が代理送信するのが一般的な形です
- 予定納税の資金を別枠に…納税は突然まとまった額が出ます。月次で概算の税額を積み立てる会社は資金繰りが安定します
- 決算対策は決算日「前」しかできない…決算日を過ぎたら打てる手はほぼありません。決算2〜3か月前に着地見込みを出して相談する——これが税理士を活かす最大のポイントです
よくある質問
Q法人税は赤字なら払わなくていいですか
法人税自体はゼロですが、法人住民税の均等割(最低年7万円程度)は所得に関係なく発生します。申告も必要です。
Q実効税率30%とはどういう意味ですか
法人税・地方法人税・住民税・事業税を合計した実質的な税負担率です。所得800万円以下の部分はもう少し低く、規模や自治体で変動します。
Q設立初年度も中間申告が必要ですか
前年実績がないため、設立初年度は中間申告がありません(1期目は不要)。2期目以降、前年の法人税額20万円超で発生します。
Q消費税と法人税は別ですか
別の税金です。消費税は預かった消費税と支払った消費税の差額を納めるもので、利益がなくても納税が発生します。法人税は利益に対する税金です。
まとめ
① 中小企業の税率は800万円以下15%・超23.2%。実質は実効税率約30%で見る。
② 赤字でも法人住民税の均等割(年7万円〜)は発生。申告も必要(欠損金は10年繰越)。
③ 申告・納付は決算日から2か月以内。前年20万円超で中間納付あり。
④ 節税=支出。効くのは役員報酬の設計と、決算2〜3か月前の着地見込み相談。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。