償却資産税。1月31日申告と150万円の免税点
償却資産税とは、土地・家屋以外の事業用資産にかかる固定資産税です(正式には固定資産税の償却資産分)。対象は機械・器具備品・パソコン・看板・内装工事・ソフトウェア以外の設備など。毎年1月1日時点で所有している資産を、1月31日までに市区町村へ申告します。
実務の急所は2つ。①課税標準額の合計が150万円未満なら課税されない(免税点)、②一括償却資産(20万円未満を3年均等償却)を選んだ資産は申告対象外。つまり10万〜20万円の資産をどう処理するかで、償却資産税の負担が変わります。ここを知っているかどうかが、毎年の実額差になります。
対象になる資産・ならない資産
| 対象 | 対象外 | |
|---|---|---|
| 資産の種類 | 機械装置・器具備品・工具・看板・内装造作・構築物・船舶航空機 | 土地・家屋(固定資産税で別課税)・自動車(自動車税で課税)・無形資産(ソフトウェア等) |
| 金額による扱い | 10万円以上で資産計上したもの/30万円未満の少額特例を使ったもの | 10万円未満で経費処理/20万円未満で一括償却を選択したもの |
| 状態 | 減価償却が終わった資産も、使用していれば対象(備忘価額で申告) | 除却・廃棄済みの資産 |
つまり15万円のパソコンを「少額減価償却資産の特例(30万円未満で即損金)」で処理すると償却資産税の対象になり、「一括償却資産(3年均等)」で処理すると対象外になります。法人税の損金算入は前者が速い、償却資産税は後者が有利——という選択の妙があります。
申告と課税の実務
- 1月31日までに市区町村へ…法定調書と同じ期限です。資産がある自治体ごとに申告するため、複数拠点なら複数提出になります
- 免税点150万円は「課税標準額の合計」…取得価額でなく、減価が進んだ後の評価額の合計です。数名のオフィスなら免税点に収まることも多い——ただし申告義務自体は資産があれば発生します
- 税率1.4%(標準税率)…評価額200万円なら年2.8万円。金額としては大きくありませんが、毎年かかる固定費です
- 除却漏れが一番もったいない…廃棄したPCや使っていない設備を台帳に残したままだと、存在しない資産に課税され続けます。1月の申告時に固定資産台帳の棚卸しをするのが正しい運用です
賃貸オフィスの内装は誰が申告するか
- テナントが施工した内装造作はテナントの資産…賃借人が自分で行った内装工事・電気設備・造作は、賃借人の償却資産として申告します。私たち不動産業でよく聞かれる論点です
- 建物本体・大家が付けた設備は家屋として課税…オーナー側の固定資産税に含まれます。二重に申告しないよう、工事区分(A工事・B工事・C工事)で誰の資産かを確認してください
- 原状回復で撤去したら除却…退去時に内装を撤去したら、その年の申告から外します。オフィス移転の年は資産の増減が大きいので特に注意
- リース資産は原則リース会社…所有権がリース会社にある賃貸借処理のリースなら、申告するのはリース会社です。複合機などは自社申告不要のことが多い
申告のコツ
- 会計ソフトの固定資産台帳から出力…取得年月・取得価額・耐用年数が揃っていれば申告書はほぼ機械的に作れます。自計化している会社なら手間は最小です
- 電子申告(eLTAX)が使える…複数自治体への提出も一括で行えます。紙で出している会社は、法定調書の電子化と同じタイミングで移行するのが効率的です
- 該当資産ゼロでも「該当なし」の申告を求められる…自治体から申告書が届いたら、資産がなくてもその旨を提出するのが原則です。無視すると催告が続きます
- 取得価額の消費税の扱い…税抜経理なら税抜、税込経理なら税込で申告します。10万円判定と同じルールです
よくある質問
Q免税点150万円未満なら申告も不要ですか
課税はされませんが、申告義務は残ります。自治体は申告内容を見て免税点判定をするため、資産があるなら提出してください。
Qパソコンは償却資産税の対象ですか
10万円以上で資産計上したものは対象です。10万円未満で経費処理したもの、20万円未満で一括償却資産にしたものは対象外です。
Q車は償却資産に含めますか
含めません。自動車税・軽自動車税の対象なので、償却資産税では二重課税を避けるため除外されます(大型特殊自動車など一部例外あり)。
Q中古で買った資産も申告しますか
します。取得価額は購入額、耐用年数は中古資産の見積り耐用年数で申告します。
まとめ
① 対象は土地・家屋・車以外の事業用資産。1月1日現在の所有分を1月31日までに市区町村へ。
② 免税点は課税標準額合計150万円未満、税率1.4%。申告義務は免税点未満でも残る。
③ 一括償却資産(20万円未満・3年均等)を選べば対象外。10万〜20万円の処理選択が効く。
④ 賃借人が施工した内装造作はテナントの資産。除却漏れで払い続けないよう毎年棚卸しを。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。