トップ>労務・人事>労働契約書と雇用契約書。実務上は同じ

契約書の名前のほんとうのところ 名前の違いに、 意味はありません 労働契約法と民法の呼び分け。書面としては同じもの 大事なのは 中身の明示 2024年4月から変更範囲等の明示が必須に

労働契約書と雇用契約書。実務上は同じものです

結論

「労働契約書」と「雇用契約書」——どちらが正しいのか、という質問への答えは実務上どちらでも同じです。厳密には、民法623条が定める「雇用契約」と、労働契約法が定める「労働契約」という法律上の呼び分けがあります。労働者保護のルール(解雇制限や不利益変更の規制など)が適用されるのは労働契約ですが、会社が従業員と結ぶ契約は基本的に労働契約でもあり雇用契約でもあるため、書面のタイトルがどちらでも効力に差はありません。

大事なのは名前より中身です。2024年4月から就業場所・業務の「変更の範囲」などの明示事項が増えており、古い書式のまま使っている会社は更新が必要。詳細は雇用契約書の記事労働条件通知書の記事で書いたとおりですが、この記事では「名前の違い」と「業務委託との境界」を整理します。

用語の整理

労働契約・雇用契約・業務委託の関係
根拠法特徴
労働契約労働契約法・労働基準法労働者保護のルールが適用(解雇制限・最低賃金・労働時間規制)
雇用契約民法623条労務の提供と報酬の支払いを約する契約。労働契約とほぼ重なる
業務委託・請負民法(委任・請負)労働者保護のルールは適用されない(=残業代・有給なし)

名前より重要な3点

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業務委託との境界(偽装請負)

  1. 実態で判断される…契約書のタイトルが「業務委託契約書」でも、指揮命令を受け、時間・場所を拘束され、断る自由がない働き方なら労働契約と判断され得ます。その場合、残業代・有給・社会保険の遡及適用が問題になります
  2. 判断のポイント…①仕事の依頼を断れるか②業務の遂行方法に指示があるか③時間・場所の拘束があるか④報酬が時間に対して払われるか⑤本人以外が代替できるか。労働性が強いほど労働契約に寄ります
  3. フリーランス新法(2024年11月施行)の影響…業務委託であっても、取引条件の明示や支払期日(60日以内)などの義務が発注側に課されています。支払サイトの記事で触れた取適法とあわせて、外注する側の実務が変わっています
  4. 迷ったら雇用にする…社会保険料の負担を避けるために業務委託にする、という発想は、後から追徴と信頼喪失を招きます。人を雇うコストを正しく見積もったうえで判断してください

書式の実務

よくある質問

Q契約書のタイトルはどちらにすべきですか

どちらでも構いません。実務では「雇用契約書」または「労働条件通知書兼雇用契約書」が最も一般的です。名称より記載事項の充足を優先してください。

Q労働契約法と労働基準法の違いは何ですか

労基法は罰則を伴う最低基準(労働時間・賃金など)、労働契約法は契約のルール(解雇や不利益変更の考え方など)を民事的に定めた法律です。両方が労働契約に適用されます。

Qパートにも労働契約書は必要ですか

労働条件の明示は雇用形態を問わず必要です。パート・有期には昇給・退職手当・賞与の有無・相談窓口の4項目が追加で必要になります。

Q業務委託から雇用に切り替えるときの注意点は

切替日以降の労働条件を書面で明示し、社会保険・雇用保険の加入手続きを行います。過去の期間について労働者性が問題になる可能性もあるため、規模が大きければ社労士に相談してください。

まとめ

この記事の要点

① 労働契約書と雇用契約書は実務上同じ。名前の違いは民法と労働契約法の呼び分けに由来。
② 重要なのは明示事項の充足・双方署名・実態との一致の3点。
③ 業務委託は実態で判断(偽装請負)。フリーランス新法で発注側の義務も増えた。
④ 厚労省モデル様式+電子契約が最短。更新時の再明示と保存義務も忘れずに。

この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。

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