両立支援等助成金。中小企業限定で、男性育休1人目20万円から
両立支援等助成金は中小企業事業主のみが対象の助成金です。従業員が育児休業や介護休業を取得しやすい体制を整え、実際に取得者が出た場合に支給されます。
主なコースと支給額は①出生時両立支援コース=男性の育休1人目20万円 ②育児休業等支援コース=育休取得時30万円+職場復帰時30万円 ③育休中等業務代替支援コース=最大140万円 ④介護離職防止支援コース=介護休業40万円。育休を取らせると会社が損をする、という前提を崩すための制度です。要件はいずれも「事前の体制整備」が中心になります。
コースと支給額
| コース | 区分 | 支給額 |
|---|---|---|
| 出生時両立支援 | 第1種(男性の育休取得) | 1人目20万円/2・3人目10万円 |
| 出生時両立支援 | 第2種(取得率の上昇等) | 60万円 |
| 育児休業等支援 | 育休取得時 | 30万円 |
| 育児休業等支援 | 職場復帰時 | 30万円 |
| 育休中等業務代替支援 | 手当支給等(育児休業) | 最大140万円 |
| 育休中等業務代替支援 | 手当支給等(短時間勤務) | 最大128万円 |
| 育休中等業務代替支援 | 新規雇用(育児休業) | 最大67.5万円 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援 | 制度2つ導入/3つ以上導入 | 20万円/25万円 |
| 介護離職防止支援 | 介護休業(取得&復帰) | 40万円 |
- すべて中小企業事業主が対象…中小企業の範囲は業種ごとに定められています。小売業(飲食業含む)は資本金5,000万円以下または従業員50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下など、資本金か従業員数のいずれかを満たせば該当します
- 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース…不妊治療のための両立支援制度を5日(回)利用で30万円、月経に起因する症状への対応のための支援制度を5日(回)利用で30万円などが設定されています
- 事業所内保育施設コースは新規受付停止…2016年4月から新規計画の認定申請受付が停止されています。保育施設への助成は企業主導型保育事業のほうです
- 年度で内容が変わる…支給額・要件は年度ごとに見直されます。申請前に当該年度のリーフレットで確認してください
出生時両立支援コース
- 雇用環境整備の措置を複数実施する…育児・介護休業法等に定める措置(研修、相談窓口の設置、事例の収集提供、方針の周知)を複数行います
- 業務体制の整備をする…育児休業取得者の業務代替者について、業務見直しに係る規定等を策定し、業務体制を整備します
- 男性労働者が出生後8週間以内に育休を開始する…一定日数以上の取得が要件です。1人目は5日以上、2人目は10日以上、3人目は14日以上
- 支給申請する…1人目20万円、2・3人目は各10万円です
- 第2種は取得率の上昇が要件…前事業年度の男性育休取得率が前々事業年度と比べて30ポイント以上上昇し、かつ50%以上を達成した場合などに60万円です。1事業主1回限り
- 第2種の別ルート…前々事業年度に子が出生した男性労働者が5人未満で、申請前事業年度と前々事業年度の男性育休取得率が連続70%以上である場合も対象です。小規模な会社向けの規定です
- 第1種と第2種は同一年度に両方申請できない…第2種申請後の第1種申請もできません
- 育児休業等支援コースとの併給制限…第1種の対象となった同一の育児休業取得者の同一の育児休業について、育児休業等支援コース(育休取得時等)との併給はできません
育児休業等支援コース
- 方針を社内周知する…育児休業の取得・職場復帰支援に関する方針を周知します
- 面談を実施し育休復帰支援プランを作成する…労働者と面談し、プランを作成・実施します。これが要件の中心です
- 業務の引き継ぎを実施する…育児休業(引き続き休業する場合は産前休業)の開始日の前日までに行います
- 連続3か月以上の育児休業を取得する…対象労働者が取得します。ここで育休取得時30万円
- 職場復帰させて6か月以上継続雇用する…育休中に職務や業務の情報・資料を提供し、復帰前に面談を実施して記録を残し、原職等に復帰させます。ここで職場復帰時30万円
- 合計60万円になる…育休取得時と職場復帰時を合わせると60万円です。職場復帰時は育休取得時と同一の取得者のみが対象です
- 面談と記録が要件の核…プランの作成、育休中の情報提供、復帰前の面談。いずれも実施した記録が残っていることが必要です
- 原職等復帰が条件…復帰後に異なる部署へ配置する場合、要件を満たさなくなることがあります
- 男性でも女性でも対象…出生時両立支援コースは男性限定ですが、こちらは性別を問いません
申請の実務
- 申請先は都道府県労働局…雇用環境・均等部(室)が窓口です
- 就業規則の整備が前提になる…業務代替者への手当制度を就業規則等に規定するなど、規程の整備が要件に含まれるコースがあります。10人未満の事業場でも規程を作る必要があります
- 取り組みの順序を間違えると受給できない…育休を取得してから体制を整えたのでは要件を満たしません。取得前に環境整備と業務体制の整備を済ませておく必要があります
- 支給申請の期限がある…各コースで期限が定められています。復帰後6か月経過など、起算点を確認します
- 他の助成金との併給調整…同一の取組について複数の助成金を受けることはできない場合があります
- 当社の視点…3名の会社で男性従業員が育休を取れば、第1種20万円の対象になり得ます。要件で難しいのは金額ではなく「事前の体制整備」です。研修の実施記録、相談窓口の周知、業務代替の規定。これらを育休の申出を受けてから作るのでは間に合いません
この助成金の設計思想は「育休を取らせる会社に金を出す」ではなく「取らせられる体制を先に作った会社に金を出す」です。要件を読むと、支給額よりも事前準備の項目のほうが多いことが分かります。従業員から育休の相談を受けてから制度を調べるのでは遅く、体制整備は平時にやっておく必要があります。
よくある質問
Q大企業も対象ですか
対象外です。両立支援等助成金は中小企業事業主のみが対象です。中小企業の範囲は業種ごとに資本金または従業員数で判定します。
Q男性の育休で20万円もらえますか
出生時両立支援コース第1種で1人目20万円です。ただし雇用環境整備の措置を複数実施し、業務体制を整備したうえで、出生後8週間以内に5日以上の育休を取得することが要件です。
Q育児休業等支援コースはいくらですか
育休取得時30万円と職場復帰時30万円で、合計60万円です。育休復帰支援プランの作成、育休中の情報提供、復帰前の面談などが要件です。
Q育休を取ってから準備しても間に合いますか
間に合いません。雇用環境整備や業務体制整備は育児休業の取得前に実施しておく必要があります。
まとめ
① 中小企業事業主のみが対象。資本金または従業員数で判定する。
② 出生時両立支援コース=男性育休1人目20万円(2・3人目各10万円)、第2種60万円。
③ 育児休業等支援コース=育休取得時30万円+職場復帰時30万円。
④ 育休中等業務代替支援コース=最大140万円。介護離職防止支援コース=介護休業40万円。
⑤ 要件の中心は事前の雇用環境整備と業務体制整備。取得後に整えても間に合わない。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。