年末調整のやり方。11月から1月までの流れを1本で
年末調整とは、毎月の給与から概算で源泉徴収してきた所得税を、その年の正しい税額と精算する手続きです。会社側の流れは3ステップに整理できます。①11月:申告書を配布して回収→②12月給与:過不足を精算→③1月31日まで:源泉徴収票の交付と法定調書の提出。
回収する書類は扶養控除等申告書・基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書・保険料控除申告書の3点セットと、生命保険料控除証明書などの添付書類。数名の会社なら12月給与の計算前に半日で片付く作業です。順番に整理します。
スケジュールと回収書類
| 時期 | 会社がやること |
|---|---|
| 11月上旬 | 申告書3点セットを配布(翌年分の扶養控除等申告書も同時に) |
| 11月末 | 回収・内容チェック(証明書の添付漏れ、配偶者の所得見込み) |
| 12月給与計算 | 年税額を計算し、過不足を給与で精算(多くは還付) |
| 1月10日(or 20日) | 源泉所得税の納付(精算後の金額) |
| 1月31日 | 源泉徴収票の本人交付・税務署へ法定調書・市区町村へ給与支払報告書 |
回収でつまずくポイント
- 証明書の添付漏れが最多…生命保険料・地震保険料・小規模企業共済等掛金・住宅ローン控除(2年目以降)の証明書。10月中に各社から本人へ届いているので、11月配布時に「手元にあるはず」と案内すると回収が速い
- 配偶者の所得見込みは「見込み」でよい…年末時点で確定していなくても見込み額で記載します。大きくズレたら本人が確定申告で調整する流れです
- 中途入社は前職の源泉徴収票が必須…退職手続きの記事のとおり、前職分を合算して年末調整します。前職の票が間に合わない人は年末調整せず、本人が確定申告します
- 年末調整できない人…年収2,000万円超、災害減免を受けた人、2か所以上から給与を受けて他社で扶養控除等申告書を出している人など。該当者は確定申告してもらいます
年末調整も法定調書も、給与ソフトに1年分のデータが入っていれば帳票はほぼ自動で出ます。どちらも無料で試せます。
計算と精算の実務
- 年税額の計算はソフトに任せる…給与ソフトに1年分の給与・賞与データと申告書の内容を入れれば自動計算されます。手計算は源泉徴収税額表との突き合わせが必要で、ミスの温床です
- 還付が多い理由…毎月の源泉徴収は「扶養の状況が年間変わらない前提の概算」なので、生命保険料控除などが年末に反映されて還付になるのが通常です。12月給与の手取りが増えるのはこのためです
- 不足が出るケース…賞与が多かった年、扶養が外れた年などは追加徴収になります。12月の手取りが減ることを事前に伝えておくと、問い合わせが減ります
- 源泉所得税の納付に反映…精算後の金額で1月10日(納期の特例なら1月20日)に納付します。還付が多いと納付額がゼロや繰越になることもあります
電子化と省力化
- 年末調整の電子化…従業員がスマホ・PCで申告書を入力し、保険会社の控除証明書も電子データで取り込める仕組みが整っています。紙の配布・回収・転記が消えるので、人数が増えるほど効果が大きい
- マイナポータル連携…控除証明書をマイナポータル経由で一括取得できます。源泉徴収票の電子交付とセットで、年末調整のペーパーレス化が完成します
- 会社は「聞く」より「配る」…扶養や保険の状況を口頭で聞き取ると、後で言った言わないになります。申告書に本人が記入・押印(または電子申告)する形を守るのが、会社の防御でもあります
- 数名なら1日で終わる…配布→回収→ソフト入力→12月給与に反映。給与計算を外注している会社は、年末調整もセットで頼めるのが通常です
よくある質問
Q年末調整と確定申告の違いは何ですか
年末調整は会社が給与について行う精算、確定申告は本人が1年間の全所得について行う申告です。医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ未利用)・副業所得がある人は、年末調整に加えて確定申告が必要です。
Q扶養控除等申告書は毎年必要ですか
必要です。その年最初の給与支払日の前日までに提出してもらうのが原則で、実務では前年11月に翌年分をまとめて回収します。
Qパート・アルバイトも年末調整の対象ですか
扶養控除等申告書を提出していて、年末時点で在籍していれば対象です。掛け持ちで他社に申告書を出している人は対象外になります。
Q年末調整を忘れた従業員がいたら
本人が確定申告することで精算できます。会社側で1月末までに気づけば、法定調書の提出前に再計算して対応できる場合もあります。
まとめ
① 流れは3ステップ:11月配布・回収→12月給与で精算→1月31日に交付と提出。
② 回収は申告書3点セット+控除証明書。添付漏れと中途入社の前職票が2大つまずき。
③ 年収2,000万円超など対象外の人は確定申告へ。12月の手取り増減は事前アナウンス。
④ 電子化+マイナポータル連携で紙の配布・転記が消える。外注なら給与計算とセットで。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。