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実測データ 原状回復の見積のうち 借主が払ったのは58% 管理会社の精算記録31組・2017〜2026年 見積に対する借主負担 58% 中央値(31組)

原状回復の負担割合は実際いくらか。管理会社の精算記録31件で、借主負担は業者見積の58%だった

結論

管理会社の実際の記録では、借主が負担した額は業者見積(税込)の58%(中央値)でした。見積の半分以下で済んだ組が12組、同額以上が7組です。敷金精算書103通では、全額返金7通・一部返金77通・追加請求16通でした。項目別ではクロス張替の中央値30,380円(1㎡980円)、ハウスクリーニング29,000円です。

調べた資料

調べたのは、当サイトを運営する会社が管理する東京都品川区・大田区の賃貸住宅について、退去のたびに工事業者から受け取った原状回復工事の見積書と、当社が退去者に送った敷金精算書です。受信箱から機械的に抽出して、AIで項目と金額を読み取り、原本と突き合わせて確認しました。

対象にした書類
書類通数期間中身
工事業者の原状回復見積書230通(読取済み)2017〜2026年が中心項目ごとの数量・単価・金額(平均10項目)
敷金精算書103通(負担額の記載あり)2014〜2026年敷金・借主負担額・返金(または追加請求)額
同じ部屋の見積と精算の組31組(23室)2017〜2026年精算日の前後120日以内の見積だけを組にした

先に注意点を3つ書いておきます。①工事業者は1社が中心なので、単価の水準はその業者のものです。②業者の見積は「部屋を次に貸せる状態に戻す工事」の全体で、貸主が負担する分も含まれています。つまり全額が借主に請求される前提の書類ではありません。③地域は品川区・大田区に限られます。

見積の何割が、実際に借主の負担になったか

同じ部屋について「業者の見積(税込)」と「精算書に書かれた借主負担額」を比べると、借主負担は見積の58%(中央値)でした。四分位は38%〜91%で、ばらつきは大きいです。

借主負担 ÷ 業者見積(税込) の分布(31組)
区分組数割合
見積の半分以下(0.5以下)12組39%
半分〜全額未満12組39%
見積と同額以上7組23%

金額で見ると、業者見積の中央値は172,800円、借主負担の中央値は90,180円です。「見積の全額が請求される」ケースも7組ありますが、その多くは入居年数が短い、または明らかな破損があった部屋でした。

ネット上の「負担割合表」は、ガイドラインの考え方を表にしたものです。この記事の数字は、実際に精算が終わった金額から逆算したものなので、意味が違います。相手が管理会社である以上、見積が届いた時点では貸主負担分が混ざっていることが普通です。

敷金は戻ってきたか

敷金精算書103通のうち、敷金が全額戻ったのは7通、一部戻ったのが77通、敷金を超えて追加請求になったのが16通でした。追加請求は約16%です。借主負担額の中央値は81,328円でした。

敷金精算の結果(103通)
結果通数割合
敷金が全額返金7通7%
一部返金(敷金から差し引き)77通75%
追加請求(敷金を超えた)16通16%

「敷金は戻らないもの」と思っている人は多いのですが、記録の上では8割以上の退去で何らかの返金があります。逆に、全額戻る退去は1割弱しかありません。ハウスクリーニング特約がある契約では、その分が必ず差し引かれるためです。

項目別の相場(業者見積230通)

見積書に載る項目を分類して、金額の中央値と四分位(25〜75%)を出しました。自分の見積書の1行が、この範囲のどこにあるかを見てください。

項目別の金額(1行あたり・税抜)
項目件数中央値25〜75%単価の中央値
クロス張替250件30,380円18,000円〜50,000円1㎡ 980円(145件)
ハウスクリーニング230件29,000円22,000円〜38,000円1式 29,000円(125件)
CF張替76件22,000円13,000円〜42,000円1㎡ 3,500円(18件)
畳表替・交換52件30,000円20,000円〜33,000円1畳 5,500円(41件)
襖・障子54件10,500円4,500円〜22,000円1面 3,500円(24件)
網戸47件9,000円4,500円〜17,000円1本 11,500円(18件)
エアコン洗浄33件25,000円10,000円〜68,000円1台 18,750円(15件)
設備修理・交換512件7,500円3,500円〜23,000円1式 8,000円(159件)
建具調整・補修171件7,000円2,500円〜18,000円1式 4,100円(62件)
塗装46件12,000円3,000円〜25,000円1㎡ 1,850円(6件)
フローリング補修29件12,000円5,000円〜20,000円1式 14,000円(19件)
諸経費・養生・処分242件9,200円4,000円〜15,000円1式 7,000円(111件)

クロスは1㎡あたり980円(145件の中央値)、ハウスクリーニングは1式29,000円、畳の表替えは1畳5,500円です。相場の1.5倍を超える行があれば、数量と単価の内訳を聞く材料になります。各項目の分布は項目別の相場ページにまとめています。

なぜ見積の全額にならないのか

見積書が届いたら

  1. 内訳を確認する。「原状回復費用 ○○円」の一括額だけなら、項目ごとの見積書を請求します。
  2. 項目ごとに「経年か、自分がつけた傷か」を分ける。経年なら貸主負担、故意・過失なら借主負担(年数で按分)です。
  3. 相場と比べる。上の表か、見積書チェッカーに読み込ませると、項目ごとの目安と相場との比が出ます。
  4. 特約を確認する。ハウスクリーニング特約はガイドラインより優先されることがあります。
手元の見積書を、項目ごとに判定する

見積書のPDFや写真を読み込むと、項目ごとに貸主負担・借主負担・按分の目安と、この記事の相場との比較を表示します。≫ 原状回復 見積書チェッカー(無料)

よくある質問

Q業者の見積書がそのまま請求されることはありますか?

あります。この記録では31組中7組が見積と同額以上でした。入居期間が短い、ペットやタバコで広い範囲が傷んでいる、といった場合です。ただし大半は貸主負担分が差し引かれ、中央値では見積の58%でした。

Q敷金が足りずに追加で払うことは多いですか?

敷金精算書103通のうち追加請求は16通(約16%)でした。残りの8割以上は敷金の範囲内で、何らかの返金があります。

Qこの数字は全国の相場ですか?

いいえ。東京都品川区・大田区の、1つの管理会社の記録です。工事業者もほぼ1社なので、単価の水準はその業者のものです。全国平均ではなく「実際に精算が終わった金額の一例」として読んでください。

まとめ

この記事の要点

① 借主負担は業者見積の58%(中央値・31組)。見積は貸主負担分も含んだ工事全体の金額
② 敷金は8割以上の退去で一部が返る。追加請求は約16%
③ 項目別の中央値: クロス30,380円・クリーニング29,000円・CF22,000円・畳30,000円
④ 見積が届いたら、内訳→経年か過失か→相場比較→特約確認の順に見る

この記事は2026年10月9日時点の法令・公開情報に基づいています。制度は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。

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