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経年劣化・通常損耗・善管注意義務違反。退去費用を分ける3つの言葉
退去費用の負担は、損耗が①経年劣化 ②通常損耗 ③善管注意義務違反のどれに当たるかと、経過年数でどれだけ減価しているかの2段階で決まります。
「壁紙は6年で1円」は本当です。ただし年数が効かない例外(フローリング部分補修・襖紙・畳表など)があり、ここを誤解すると交渉で恥をかきます。原文で確認します。
3つの言葉の定義
| 言葉 | 意味 | 負担 | 例 |
|---|---|---|---|
| 経年劣化 | 時間の経過で自然に生じる劣化 | 貸主 | 日照によるクロスの変色、設備の寿命 |
| 通常損耗 | 普通の使い方で生じる消耗 | 貸主 | 家具の設置跡、画鋲の穴(通常の範囲) |
| 善管注意義務違反 | 注意を怠ったことによる損耗の発生・拡大 | 借主 | 結露を放置して拡大したカビ、水回りの手入れ不足の水垢 |
ガイドラインの別表では、水回りのカビ・水垢は「使用期間中に、その清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断されることが多い」とされています。カビだから即借主負担、ではなく手入れを怠ったかが分かれ目です。
借主負担でも「経過年数」で減価する
善管注意義務違反で借主負担になっても、全額とは限りません。ガイドラインは、設備等の経過年数を考慮して年数が多いほど負担割合を減らす考え方を採り、耐用年数経過後は残存価値1円とする直線を示しています。
| 部位 | 耐用年数 | 6年住んだ場合の借主負担 |
|---|---|---|
| クロス(壁紙) | 6年 | ほぼ0(残存1円) |
| カーペット・クッションフロア | 6年 | ほぼ0(残存1円) |
| エアコン等の設備 | 6年 | ほぼ0(残存1円) |
| フローリング(全面張替え) | 建物の耐用年数で考慮 | 減価する(RC造47年の按分実例あり) |
誤解ポイント:年数が効かないもの
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」より(2026年7月27日取得)フローリング等の部分補修については、経過年数を考慮することにはなじまない(中略)こうした部位等については、経過年数を考慮せず、部分補修費用について毀損等を発生させた賃借人の負担とするのが妥当であると考えられる。
また、襖紙や障子紙、畳表といったものは、消耗品としての性格が強く(中略)経過年数を考慮せず、張替え等の費用について毀損等を発生させた賃借人の負担とするのが妥当
また、経過年数を超えた設備でも使い続けられる状態のものを壊せば、機能回復の費用(工事費・人件費)は借主負担になり得るともされています。「1円だから壊してもタダ」ではありません。
実例で確認する
公開中の見積書実例では、管理会社がフローリング張替えをRC造47年で按分し(逆算で26.60%が一致)、シート施工は「補修だから年数考慮なし」と主張しました。後者はガイドラインどおりの主張で、年数では争えず、「そもそも通常使用の範囲か」で争って項目自体を外しています。理屈の使いどころまで含めて、実例で確認してください。
よくある質問
Q画鋲の穴は借主負担ですか
ポスター等を貼るための画鋲の穴は通常損耗の範囲とされるのが一般的です。ただし下地ボードの張替えが必要なほどの釘穴・ネジ穴は通常の使用を超えると判断されることがあります。
Qタバコのヤニは経年劣化になりませんか
喫煙による変色・臭いは通常の使用による損耗を超えるものとして借主負担とされています。クロスの経過年数による減価は適用されますが、負担自体は発生します。
Qペットの傷・臭いはどうですか
ペット可物件でも、ペットによる柱・建具の傷や臭いは通常損耗を超えるものとして借主負担とされるのが一般的です。ペット可=傷も免責、ではありません。
まとめ
① 経年劣化・通常損耗は貸主負担。善管注意義務違反は借主負担。
② 借主負担でもクロス等は6年で残存1円まで減価する。
③ ただし部分補修・襖紙・障子紙・畳表は年数が効かない。
④ 壊せば経過年数超過でも機能回復費は発生し得る。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。