FAX DMの反応率は実際どれくらいか。2,613社に送って登録1件、費用は3万円だった
自社開発ツールの案内を、不動産会社2,613社にA4・1枚のFAX DMで送りました。配信完了は2,443通(93%)、費用は送信サービスのチャージ約30,000円(1通12.9円)。反応は無料登録1件(経路不明がもう1件)、有料転換0件で、反応率0.04%でした。業者が謳う0.1〜0.3%には届いていません。最初の約760通は送信サービスの変換で黒ベタとQRコードが白抜きになって届いていた、という失敗も含めて書きます。
何を、誰に送ったか
送ったのは、当サイトを運営する会社が自社用に開発し、外販を始めた不動産会社向けのクラウドツール(月額千円弱・14日間無料)の案内です。A4縦1枚の白黒原稿で、QRコードとURLから無料登録ページへ誘導する構成にしました。電話番号は載せず、欄外に送付停止の案内を入れています。製品名は本記事の趣旨と関係がないので伏せます。
送付先は、賃貸ポータルサイトに掲載中の賃貸仲介店です。区・市ごとの会社一覧から店舗概要を機械的に集め、FAX番号の記載がある店だけを残しました。掲載中の店に限ったので「廃業した会社」「工務店や建設会社」のノイズがなく、FAX番号の記載率は約95%でした。宅建協会の名簿から1,200件を集めた最初の版は、建設会社が多く混ざったので捨てています。
| エリア | 社数 | 送信日 |
|---|---|---|
| 東京23区 城北・城東(豊島・練馬・板橋・足立・江戸川ほか12区) | 831社 | 2026年9月3日〜7日 |
| 東京23区 都心・城西(千代田・中央・港・新宿・渋谷・中野・杉並・世田谷) | 1,071社 | 9月13日・18日 |
| 東京 多摩地区(26市) | 479社 | 9月25日・10月2日・9日 |
| 川崎市(7区) | 217社 | 10月10日 |
| 横浜市鶴見区 | 15社 | 10月10日 |
| 合計 | 2,613社 | 約5週間 |
除外したのは、自社の商圏(品川・大田・目黒)と、FAX番号が電話番号と兼用の店です。兼用番号に送ると電話が鳴って迷惑になります。
送った数と、届いた数
最初の4日間は事務所の複合機から1晩50社ずつ送り、5日目からFAX送信サービス(秒速FAX送信・Toones)に切り替えました。複合機は50社に45分かかり、途中でパソコンの通知やスリープに邪魔されるので、人が付いている必要がありました。送信サービスは番号を貼り付けて送信ボタンを押すだけで、300件が20分で終わります。
| 送信日 | エリア | 方法 | 宛先 | 配信完了 | 失敗 |
|---|---|---|---|---|---|
| 9/3〜9/6 18:30 | 板橋・豊島 | 自社複合機 | 174社 | 122社(確認分123社中) | 1社。残り51社は履歴未確認 |
| 9/7 13:40〜 | 城北・城東 | 送信サービス 即時 | 657社 | 631社 | 20社+結果未確定6社 |
| 9/13 17:42 | 千代田・中央 | 送信サービス 即時 | 100社 | 94社 | 6社 |
| 9/13 21:47 | 都心・城西 | 送信サービス 即時 | 768社 | 737社 | 31社 |
| 9/18 11:00 | 杉並・世田谷ほか | 送信サービス 予約 | 203社 | 201社 | 2社 |
| 9/25 11:00 | 多摩 | 送信サービス 予約 | 200社 | 193社 | 7社 |
| 10/2 16:59 | 多摩 | 送信サービス 即時 | 200社 | 194社 | 6社 |
| 10/9 19:50 | 多摩 | 送信サービス 即時 | 79社 | 72社 | 7社 |
| 10/10 10:50・12:19 | 川崎 | 送信サービス 即時 | 217社 | 186社 | 31社 |
| 10/10 12:25 | 横浜鶴見 | 送信サービス 即時 | 15社 | 13社 | 2社 |
| 合計 | 2,613社 | 2,443社(93%) | 113社+未確認57社 |
送信サービス分だけで見ると、宛先2,439社のうち配信完了2,321社で成功率95.2%です。失敗の内訳は「ビジー(話し中)」「ダイヤル異常(番号違いか回線の都合)」「ISDN切断」で、失敗分は課金されません。失敗率は平日昼で3〜4%ですが、土曜の午前中に送った川崎分は15%が失敗しました。自社宛ての確認用の1件もその回だけ失敗したので、相手の回線が埋まる時間帯があるようです。
かかった費用
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 送信サービスのチャージ | 30,000円 | 10,000円を3回。残高0で終了 |
| うち送信料 | 約27,850円 | 12円/枚 × 配信完了2,321枚。失敗は無料 |
| うち送信アドレスの取得 | 1,980円 | 660円/件。二重クリックで3件作ってしまい、必要は1件 |
| 複合機からの送信 174社 | 通信費のみ | 固定電話の通話料。回線の基本料に含まれ金額の切り分け不可 |
| 原稿の制作 | 0円 | 社内でHTMLからPDFを作成。版は10回改訂 |
| 送付先リストの作成 | 0円 | 社内で収集。1,200社あたり約40分の自動取得+目視で除外 |
| 合計(現金支出) | 約30,000円 | 配信完了1通あたり約12.9円 |
郵送DMなら1通あたり郵便代だけで90円前後、封入と印刷が別に乗ります。FAXは1通12円で、紙と印刷は相手の負担です。安いのは本当で、そこが反応の悪さにも直結します(後述)。
反応はどれだけあったか
結論の数字は冒頭のとおりです。計測は3系統で見ました。①QRコードとURLからの来訪(アクセス解析で送付経路を識別)、②送付先エリアからの検索流入、③新規登録と、登録者の所在地・経路です。
| 指標 | 結果 | 補足 |
|---|---|---|
| QRコード・URLからの来訪 | 2セッション | 9/13の送付直後に千代田区から6秒、同夜に埼玉から1分32秒。自社の確認用アクセスとbotを除いた数。9/14以降はゼロ |
| 送付エリアからの検索流入 | 数件 | 杉並・新宿・中央から送付後数日に1〜2分の閲覧。登録ボタンのクリックはなし |
| 新規登録(無料) | 1件 | 9/7送付の台東区の会社。1週間後の月曜朝に検索で来て登録、当日2回使って以後ゼロ |
| 経路不明の新規登録 | 1件 | 9/24。FAXかSNS投稿か特定できず。FAX由来だとしても最大2件 |
| 有料への転換 | 0件 | |
| 反応率 | 0.04% | 登録1件 ÷ 配信完了2,443通。業者の謳う0.1〜0.3%の4分の1以下 |
送信前に決めていた判定基準は「反応率0.3%以上、または登録1件以上で拡大。未達なら原稿を直す」でした。0.3%なら7件の登録が出る計算です。9月に1件出たので基準どおり多摩・川崎へ広げ、同時に「登録がひと月ゼロなら止める」と決めました。その後の約1,500通からは登録が出ず、10月10日に残高を使い切った時点で止めています。結果は登録1件あたり約30,000円。その1件も初日に2回使って止まっており、月額千円弱の商品で1件3万円の獲得費では回りません。
反応の出方で分かったことが1つあります。原稿の主な導線を「製品名で検索」にしていたため、反応はQRコードではなく検索流入として現れました。唯一の登録者もQRではなく検索経由です。QRの読取数だけで効果を判定すると、ゼロと誤読します。アクセス解析で送付先エリアの検索流入を合わせて見る必要があります。
届いた原稿が真っ白だった(送信サービスの変換)
送信サービスで最初に送った約760通(9月7日と13日の分)は、黒ベタの見出し帯とQRコードが白抜きの輪郭線になって届いていました。送信サービス側で原稿を白黒2値に変換する処理が、塗りつぶしを輪郭だけに置き換えたためです。QRコードはドットが中抜きになり、スマートフォンで読めません。文字埋め込みのPDFでも、1728×2292ピクセルの白黒画像PDFでも同じ結果でした。
気づいたのは、送付先リストの真ん中に自社のFAX番号を1件混ぜて、届いた紙を見たときです。複合機からの送信では正常に届いていたので、送信サービス経由だけの現象でした。対処として、黒ベタをやめて粗い網点にし、QRコードは1ドットずつ描いた「ドットQR」に作り直しました(原稿v10)。それ以後は原稿どおりに届いています。
- 自社のFAX番号をリストの真ん中に1件入れる。先頭や末尾では「最初だけ正常」を見逃す。外部回線からなので自社宛てでも受信できる。12円で全数の証拠が取れる。
- 黒ベタ・グレー階調・細い線を使わない。送信サービスの変換とFAXの解像度(約200dpi)の両方で潰れる。
- QRコードは30mm以上、ドット単位で描く。縮小やアンチエイリアスがかかると読めない。
- 初回は100社で止めて紙を確認する。約760通を白抜きで送ってから気づいたので、その分の送信料約9,000円は無駄になった。
送信サービスの実務で分かったこと
- 1回の送信依頼は300件が上限。301件を貼ると件数カウンタが超過になる。1,000社なら4回に分ける。
- 予約配信は平日11時が無難。9/18の11時予約は203件が時刻どおりに始まり2社しか失敗しなかった。日曜夕方の即時送信は、61件送ったあと40分止まった(サービス側の待ち行列)。土曜午前は失敗率15%。
- 予約はキャンセルできない。投入前に番号の件数と合計のチェックサムを取って貼り付け内容を照合した。
- 失敗は課金されない。ビジーは1回自動で再試行される。2回失敗した番号は番号誤りとしてリストから外す。
- 送信元番号のヘッダーを自社番号にできる。受信側の紙に送信元として自社のFAX番号が印字される。
- 送信アドレスの購入ボタンは1回だけ押す。反応が遅く、3回押して3件(1,980円)買ってしまった。
- 本登録のURLは24時間で切れる。仮登録のまま期限が切れると再登録もできず、問い合わせフォームで解除してもらうまで4日かかった。
複合機から送る方法も試しましたが、宛先表に50件登録して同報送信する手順は、1晩で50社が限度でした。通信中にパソコンがスリープすると止まり、ジョブ履歴の確認も社内LANからしかできません。数百社以上なら送信サービスの方が確実です。複合機の料金の内訳は複合機の記事に、受信側をクラウドに寄せる話はインターネットFAXの記事に書いています。
これからFAX DMを送るなら
- 法律の線を確認する。特定商取引法は、消費者向けの通信販売のFAX広告を相手の承諾なしに送ることを禁じています(2017年12月施行)。事業者宛ての営業は適用除外ですが、送付停止の案内を入れ、停止依頼には必ず応じます。相手の紙とトナーを使う広告なので、苦情は郵送より出やすいと考えておきます。
- 判定基準を先に数字で決める。「反応率何%・登録何件で拡大、未達なら止める」を送信前に書いておく。送ってから決めると、惜しくなって続けます。
- 100社で止めて、自社宛ての紙を見る。原稿が原稿どおりに届くかは、送ってみないと分かりません。
- 反応はQRだけで測らない。原稿に製品名や社名があれば、反応は検索流入として出ます。送付先エリアの検索流入を、送付前の週と比べます。
- 平日の午前中に予約配信する。失敗率と、紙がすぐ見られるかの両面で有利でした。
- 1通12円の安さに期待値を合わせる。業者の謳う反応率0.1〜0.3%でも、1,000通で1〜3件です。今回の実測は0.04%でした。相手が「知らない会社からの白黒1枚」を読む理由があるかを、送る前に自問する価値があります。
よくある質問
QFAX DMの反応率の相場は0.1〜0.3%と聞きますが、本当ですか?
業者の事例やレビューサイトにはその数字が並びますが、客観的な統計は見つかりませんでした。今回の実測は配信完了2,443通で登録1件、0.04%です。原稿の出来や商材で大きく変わるので、相場の数字より自社で100〜300通送った結果で判断する方が確実です。
QFAX DMは違法ではありませんか?
事業者宛ての営業FAXを直接禁じる法律はありません。特定商取引法のFAX広告の規制(2017年12月施行)は、消費者向けの通信販売が対象で、事業者間の取引は適用除外です。ただし送付停止の案内を入れ、停止の申し出には応じるのが前提です。電話と兼用の番号には送らないようにしました。
Q自社の複合機から送るのと、送信サービスはどちらが安いですか?
通話料だけなら複合機の方が安く見えますが、1晩50社で45分、人が付きっきりでした。送信サービスは1通12円で300件が20分、失敗は無課金で、送信元番号も自社番号にできます。200社を超えるなら送信サービスの方が実質的に安いと判断しました。
まとめ
① 不動産会社2,613社にA4・1枚のFAX DMを送り、2,443通が配信完了(93%)。費用は約30,000円で1通12.9円
② 反応は新規登録1件(+経路不明1件)、有料転換0件。反応率0.04%で、業者の謳う0.1〜0.3%の4分の1以下
③ 最初の約760通は送信サービスの変換で黒ベタとQRが白抜きになっていた。自社宛てを1件混ぜて確認する
④ 反応はQRではなく検索流入として出る。1回300件上限・平日11時予約・失敗は無課金
この記事は2026年10月27日時点の法令・公開情報に基づいています。制度は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。