社会保険料の計算。標準報酬月額に料率を掛け、労使で折半します
社会保険料は実際の給与額そのものではなく、標準報酬月額という等級に区分した額に料率を掛けて計算します。給与が少し変わっても等級が変わらなければ保険料は同じ、という仕組みです。
料率は健康保険=協会けんぽなら都道府県ごと(健康保険組合は組合ごと)、厚生年金保険=全国一律18.3%。いずれも労使折半です。40歳以上65歳未満は介護保険料が上乗せされます。賞与は標準賞与額に同じ料率を掛けます。
計算の基本
| 保険 | 料率 | 負担 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 協会けんぽは都道府県ごと(組合健保は組合ごと) | 労使折半 |
| 介護保険(40歳以上65歳未満) | 健康保険料に上乗せ | 労使折半 |
| 厚生年金保険 | 18.3%(全国一律) | 労使折半 |
| 子ども・子育て拠出金 | 厚生年金の標準報酬月額に一定率 | 全額事業主 |
- 計算式は「標準報酬月額×料率」…これを労使で折半します。実際の給与額に直接料率を掛けるのではありません
- 厚生年金は18.3%で固定…段階的な引上げが完了し、全国一律です。労使折半なので本人負担は9.15%です
- 健康保険料率は都道府県で違う…協会けんぽは医療費の水準を反映して支部ごとに設定されます。事業所の所在地の料率が適用されます
- 子ども・子育て拠出金は全額事業主負担…従業員の負担はありません。企業主導型保育事業の財源にもなっています
- 端数は事業主負担とするのが一般的…50銭以下切捨て、50銭超切上げが原則ですが、労使の合意により異なる扱いも可能です
標準報酬月額とは
- 報酬を等級に区分したもの…健康保険は第1級から第50級、厚生年金保険は第1級から第32級に区分されています
- 4月・5月・6月の報酬で決める…算定基礎届により、この3か月の平均で9月分から翌年8月分までの標準報酬月額が決まります
- 大きく変わったら随時改定…固定的賃金が変わり、継続した3か月の平均で2等級以上の差が生じた場合、月額変更届を提出します
- 入社時は資格取得時決定…見込みの報酬額で決めます
- 報酬に含まれるもの…基本給、残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当など。通勤手当は非課税でも報酬に含めます
- 報酬に含まれないもの…年3回以下の賞与、結婚祝金、見舞金、退職金など
- 年4回以上の賞与は報酬になる…この場合、賞与ではなく報酬として標準報酬月額の計算に含めます
- 等級が変わらなければ保険料も変わらない…残業が少し増減しても、等級をまたがなければ保険料は同じです
- 上限がある…健康保険と厚生年金で上限の等級が異なります。高額の報酬でも上限で頭打ちになります
料率と労使折半
- 健康保険料率は毎年3月分から改定…協会けんぽの場合、年度ごとに見直され3月分(4月納付分)から新料率が適用されます
- 介護保険料は40歳の誕生日の前日が属する月から…40歳到達月から徴収が始まり、65歳到達月の前月分まで続きます。誕生日が1日の人は前月からという点に注意します
- 賞与も同じ料率…標準賞与額(1,000円未満切捨て)に料率を掛けます。健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1か月150万円が上限です
- 産休・育休中は免除される…本人負担分・事業主負担分の両方が免除されます。申出が必要で自動ではありません
- 会社負担はおおむね賃金の15%程度…健康保険・介護保険・厚生年金・子ども・子育て拠出金を合わせた目安です
控除のタイミング
- 翌月控除が原則…当月分の保険料を翌月支払いの給与から控除するのが一般的です。保険料は月単位で発生し、月末時点の被保険者について徴収されるためです
- 雇用保険料とタイミングが違う…雇用保険料は当月の賃金から当月分を控除します。混同すると計算が合いません
- 入社月と退職月に注意…資格取得月から発生し、資格喪失月の前月分まで徴収します。月末退職と月中退職で徴収する月数が変わります
- 月末退職は当月分まで発生する…翌月1日が資格喪失日となるため、退職月分の保険料も発生します。最後の給与から2か月分を控除することになる場合があります
- 賞与支払届は5日以内…賞与を支給したら日本年金機構へ届け出ます
- 当社の実務…3名の会社では、退職月の控除月数が毎回確認事項になります。月末退職か月中退職かで変わるため、退職日が決まった時点で計算し、本人にも説明しています
社会保険料の計算でつまずくのは、実際の給与ではなく標準報酬月額で計算するという点と、控除のタイミングです。特に退職月は、月末か月中かで徴収する月数が変わります。給与計算ソフトが自動計算してくれる部分ですが、仕組みを知らないと本人への説明ができません。
よくある質問
Q社会保険料はどう計算しますか
標準報酬月額に料率を掛け、労使で折半します。実際の給与額に直接料率を掛けるのではありません。
Q厚生年金保険料率はいくらですか
全国一律18.3%です。労使折半なので本人負担は9.15%になります。
Q健康保険料率は全国同じですか
協会けんぽの場合は都道府県ごとに異なり、事業所の所在地の料率が適用されます。健康保険組合は組合ごとの設定です。
Qいつ給与から控除しますか
翌月控除が原則です。当月分の保険料を翌月支払いの給与から控除します。雇用保険料は当月分を当月控除するため、タイミングが異なります。
まとめ
① 計算は標準報酬月額×料率を労使折半。実際の給与額そのものではない。
② 厚生年金は18.3%で全国一律。健康保険は協会けんぽなら都道府県ごと。
③ 標準報酬月額は4〜6月の平均で決まり9月分から適用(算定基礎届)。
④ 40歳以上65歳未満は介護保険料が上乗せ。子ども・子育て拠出金は全額事業主。
⑤ 翌月控除が原則。雇用保険料は当月控除でタイミングが違う。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。