トライアル雇用助成金。月4万円×3か月、求人を先に出すのが条件
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3か月間試行雇用した場合に、1人あたり月額最大4万円(母子家庭の母等・父子家庭の父は月額最大5万円)が支給される制度です。
いちばん重要なのは順番です。事前にトライアル雇用求人をハローワーク等に提出し、その紹介により雇い入れることが条件。すでに採用した人を後からトライアル雇用にすることはできません。期限も2つあり、どちらも過ぎると受給できなくなります。
対象になる人・ならない人
次のいずれかを満たし、かつ紹介日に本人がトライアル雇用を希望した場合に対象になります。
| № | 要件 |
|---|---|
| ① | 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している |
| ② | 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている(パート・アルバイトなどを含め一切の就労をしていないこと) |
| ③ | 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている |
| ④ | 生年月日が1968年(昭和43年)4月2日以降の者で、ハローワーク等で担当者制による個別支援を受けている |
| ⑤ | 就職の援助を行うに当たって特別な配慮を要する(生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者、ウクライナ避難民、補完的保護対象者) |
- 対象にならない人…紹介日時点で、安定した職業に就いている人/自ら事業を営んでいる人または役員で週30時間以上働いている人/学校に在籍中で卒業していない人/他の事業所でトライアル雇用期間中の人は対象外です
- 学生には例外がある…卒業年度の1月1日以降も卒業後の就職の内定がない人は対象になります
- 「安定した職業」の定義…期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同等であることをいいます
- 本人の希望が要る…紹介日に本人がトライアル雇用を希望していることが前提です。会社が一方的に決められるものではありません
支給額と期間
| 区分 | 月額 | 期間 |
|---|---|---|
| 通常 | 最大4万円 | 最長3か月 |
| 母子家庭の母等・父子家庭の父 | 最大5万円 | 最長3か月 |
- 雇用は原則3か月の有期…適性や能力を見極め、常用雇用へ移行するきっかけとするための制度です
- 常用雇用とは…期間の定めのない雇用であって、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者と同じであるものを指します
- 試用期間とは別の制度…試用期間は自社で設ける期間で、法的には期間の定めのない契約の一部です。トライアル雇用は3か月の有期契約で、ハローワーク等の紹介が前提になります
- 特定求職者雇用開発助成金と併用できる場合がある…母子家庭の母等、父子家庭の父、中国残留邦人等永住帰国者を、トライアル雇用終了後も引き続き継続して雇用する場合です
2つの期限
| 手続き | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| トライアル雇用実施計画書 | トライアル雇用開始日から2週間以内 | 対象者を紹介したハローワーク |
| 支給申請書 | トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内 | 事業所を管轄するハローワークまたは労働局 |
- 実施計画書には書類を添付する…トライアル雇用期間が確認できる雇用契約書、労働条件通知書など労働条件が確認できる書類の写しを添付します
- 提出先が2つで違う…実施計画書は紹介元のハローワーク、支給申請書は事業所を管轄するハローワークまたは労働局です。同じとは限りません
- 途中で状況が変わったら連絡する…トライアル雇用の途中で無期雇用へ移行した場合や、自己都合で離職した場合は支給申請期間も変わります。速やかに紹介を受けたハローワークへ連絡してください
- 2週間はすぐ来る…入社手続きに追われている時期と重なります。入社日を決めた時点で計画書の提出日をカレンダーに入れてください
使うときの注意点
- 先にトライアル雇用求人を出す…ハローワーク、地方運輸局、職業紹介事業者に提出します。通常の求人とは別に「トライアル雇用求人」として出す必要があります
- 紹介を受けて選考する…選考はなるべく書類ではなく面接で行うことが求められています
- 原則3か月の有期契約で雇い入れる…雇用契約書に期間を明記します
- 開始から2週間以内に実施計画書を出す…紹介元のハローワークです
- 終了日の翌日から2か月以内に支給申請する…期限を過ぎると受給できません
- 派遣求人は対象外…派遣求人を「トライアル雇用求人」とすることはできません
- 求人数を超えては実施できない…求人数を超えたトライアル雇用は実施できません
- 選考が滞ると紹介が止まる…トライアル雇用求人の選考中の人数が求人数の5倍以上になっている場合、それ以降トライアル雇用としての紹介は行われません
- 週30時間以上が前提…対象労働者は週30時間以上の無期雇用を希望している人です。短時間の求人には使えません
- 当社の視点…3名の会社で1人採用すると、月4万円×3か月=最大12万円。金額としては大きくありませんが、「3か月の有期で見極めてから無期にできる」という設計自体に価値があります。ただし先に求人を出すという順番を外すと一切使えないので、採用を考え始めた段階でハローワークに相談してください
この制度でいちばん多い取り逃がしは、順番の間違いです。知人の紹介や自社サイトからの応募で採用を決めてしまうと、あとからトライアル雇用にはできません。ハローワーク等にトライアル雇用求人を出し、その紹介で雇い入れることが条件です。採用の予定が立った時点で相談するのが確実です。
よくある質問
Qいくらもらえますか
1人あたり月額最大4万円、最長3か月です。対象労働者が母子家庭の母等もしくは父子家庭の父の場合は、いずれも月額最大5万円になります。
Qすでに採用した人に使えますか
使えません。事前にトライアル雇用求人をハローワーク、地方運輸局、職業紹介事業者に提出し、これらの紹介により雇い入れることが条件です。
Q提出期限はいつですか
トライアル雇用実施計画書はトライアル雇用開始日から2週間以内に紹介元のハローワークへ、支給申請書はトライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内に事業所を管轄するハローワークまたは労働局へ提出します。期限を過ぎると受給できません。
Q試用期間とは違いますか
違います。試用期間は自社で設けるもので、法的には期間の定めのない契約の一部です。トライアル雇用は原則3か月の有期雇用で、ハローワーク等の紹介が前提になります。
まとめ
① 支給額は1人あたり月額最大4万円×最長3か月(母子家庭の母等・父子家庭の父は5万円)。
② 先にトライアル雇用求人を出し、その紹介で雇い入れるのが絶対条件。後付けは不可。
③ 対象は2年以内に2回以上離職/離職1年超など5つの要件のいずれか。本人の希望も要る。
④ 期限は実施計画書=開始から2週間以内、支給申請=終了日の翌日から2か月以内。
⑤ 派遣求人は対象外。求人数を超えた実施もできない。
この記事は2026年8月1日時点の法令・公開情報に基づいています。制度は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。