約束手形の廃止。2027年度初に電子交換所での交換が廃止されます
紙の手形・小切手が使えなくなります。全国銀行協会は2027年度初から電子交換所における手形・小切手の交換を廃止することを決定しました。2026年度末(2027年3月末)までに交換枚数をゼロにするという目標のもとで進められています。
さらに2026年1月1日施行の中小受託取引適正化法(取適法)により、同法上の支払手段として手形払いが認められなくなりました。決済実務と法規制の両方から、手形は退場の局面に入っています。金融機関によっては交換廃止より前に最終振出期限を設定しているため、実際の期限は2027年3月より早いことがあります。
何がいつ終わるのか
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年度末(2027年3月末) | 電子交換所における手形・小切手の交換枚数ゼロが目標 |
| 2027年度初 | 電子交換所における手形・小切手の交換を廃止 |
| 金融機関ごと | 交換廃止前に最終振出期限を設定している金融機関がある |
- 交換が廃止されると決済できない…手形を受け取っても、銀行間で決済する仕組みがなくなります。手形という制度が法律上消えるわけではありませんが、実務上は使えなくなります
- 金融機関の最終振出期限のほうが早い…全国銀行協会も注意喚起しています。取引銀行に確認する必要があります
- 小切手も対象…約束手形だけでなく小切手も同様です。小切手で支払っている取引先がいれば影響します
- 2021年からの計画…全国銀行協会が「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」を策定し、段階的に進められてきたものです
- 金融庁も後押ししている…手形・小切手機能の全面的な電子化は、政府の方針として位置づけられています
取適法との連動
- 2026年1月1日から手形払いが禁止…下請代金支払遅延等防止法の改正により、中小受託取引適正化法(取適法)上の支払手段として手形払いが認められなくなりました
- 電子記録債権も条件付き…手形以外の支払手段についても、支払期日までに代金相当額の満額を得ることが困難なものは禁止されています。割引料が実質的な減額になるためです
- 決済実務と法規制の両輪…銀行側は交換所を廃止し、法律側は手形払いを禁じる。両方から手形が使えなくなる構造です
- 手形サイトの長さが問題視されてきた…受注側が現金化まで長期間待たされ、割引料も負担するという構造が、下請取引の適正化の観点から見直されてきました
- 受け取る側にとっては改善…手形で受け取っていた事業者にとっては、現金化が早まり割引料の負担がなくなる変化です
代わりに何を使うか
| 手段 | 特徴 |
|---|---|
| 振込(インターネットバンキング) | 最も単純。支払サイトの見直しとセットで検討 |
| でんさい(電子記録債権) | 手形と同様に支払期日を設定でき、分割譲渡もできる |
| ファクタリング | 売掛債権の売却。手数料が発生する |
| 一括ファクタリング・電子債権 | 金融機関が提供する決済サービス |
- 振込に切り替えるのが基本…支払期日を早める必要が生じますが、事務は最も簡単です。手形の作成、印紙の貼付、郵送、保管がすべて不要になります
- でんさいは手形の代替として設計された…支払期日を設定でき、期日に自動で決済されます。印紙税がかからない点も違いです
- でんさいには取引銀行の対応が必要…でんさいネットに参加している金融機関を通じて利用します。相手方も利用できる状態である必要があります
- 支払サイトの見直しが本質…手形をやめると、これまで手形サイト分だけ猶予されていた支払いが早まります。資金繰りへの影響が最も大きい論点です
- 取適法の60日以内も効いてくる…取適法の適用がある取引では、給付を受領した日から60日以内に支払期日を定める必要があります
今やること
- 手形・小切手を使っているか確認する…受け取る側か、振り出す側か、両方か。枚数と金額を洗い出します
- 取引銀行に最終振出期限を確認する…全国の廃止は2027年度初ですが、金融機関ごとの期限のほうが早いことがあります
- 取引先と支払条件を協議する…手形をやめると支払サイトが変わります。一方的に決めず、協議して合意することが取適法の趣旨にも合致します
- 資金繰り表を作り直す…支払いが早まる分、手元資金が必要になります。ここが最大の影響です
- でんさいを使うなら早めに手続きする…利用開始には金融機関での手続きが必要です
- 受け取る側は歓迎できる変化…現金化が早まり、割引料と印紙税の負担がなくなります
- 振り出す側は資金繰りが厳しくなる…支払サイトが短くなるためです。借入枠の確保や、経営セーフティ共済のような制度の活用を含めて検討する時期です
- 取引先が対応できないこともある…相手方の事務体制によっては、でんさいへの移行が難しい場合があります。早めの協議が必要です
- 印紙税がなくなる…手形は印紙税の課税文書です。振込や電子記録債権に切り替えれば、この負担が消えます
- 当社の視点…不動産業では手形取引は多くありませんが、工事業者との取引で手形が使われる場面はあります。原状回復工事やリフォームを発注する際、支払条件が手形になっていないかを確認しておく必要があります
手形の廃止は「いつか」ではなく期限が決まった話です。2027年度初に交換所が廃止され、金融機関によってはそれより早く振出しができなくなります。振り出す側にとっては資金繰りの再設計が必要で、準備期間は1年半ほどしか残っていません。
よくある質問
Q約束手形はいつ使えなくなりますか
全国銀行協会は2027年度初から電子交換所における手形・小切手の交換を廃止することを決定しています。金融機関によっては交換廃止前に最終振出期限を設定しているため、実際の期限はより早い場合があります。
Q法律でも手形は禁止されましたか
2026年1月1日施行の中小受託取引適正化法(取適法)により、同法上の支払手段として手形払いが認められなくなりました。支払期日までに満額を得ることが困難な支払手段も禁止されています。
Q何に切り替えればよいですか
振込への切替えが最も単純です。手形と同様に支払期日を設定したい場合は、でんさい(電子記録債権)が代替になります。いずれも印紙税がかかりません。
Q小切手も対象ですか
対象です。電子交換所における交換の廃止は手形と小切手の両方が対象です。
まとめ
① 2027年度初に電子交換所での手形・小切手の交換が廃止される。
② 金融機関ごとの最終振出期限のほうが早いことがある。取引銀行に確認する。
③ 2026年1月施行の取適法で手形払いが禁止。決済実務と法規制の両方から使えなくなる。
④ 移行先は振込またはでんさい(電子記録債権)。いずれも印紙税がかからない。
⑤ 振り出す側は支払サイトが短くなり資金繰りに影響する。ここが最大の論点。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。