給与支払報告書。2027年1月から電子提出の義務が30枚以上に下がります
給与支払報告書は、前年に支払った給与を、従業員が住む市区町村へ報告する書類です。市区町村はこれをもとに住民税を計算します。提出期限は1月31日、提出先はその年1月1日現在の従業員の住所地の市区町村です。
2つの大きな変更が控えています。1つは電子的提出の義務基準が前々年100枚以上から30枚以上へ引き下げられること(令和9年1月以後に提出する分から)。もう1つは、給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、税務署への源泉徴収票の提出をしたものとみなされることです(令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票から)。
誰の分を、どこへ、いつまでに
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出期限 | 1月31日(休日にあたる場合は翌開庁日) |
| 提出先 | その年1月1日現在の従業員の住所地の市区町村 |
| 対象 | 前年中に給与を支払った従業員(役員・パート・アルバイトを含む) |
| 構成 | 総括表(市区町村ごとに1枚)+個人別明細書(従業員ごと) |
| 同時期の税務署提出 | 源泉徴収票と法定調書合計表(令和8年提出分の期限は令和8年2月2日) |
- 住所地は1月1日時点で判定する…勤務地ではなく住所地です。年の途中で引っ越していれば、1月1日にどこに住んでいたかで提出先が変わります
- 正社員だけではない…役員、パート、アルバイトも前年に給与を支払っていれば対象です
- 退職者も対象…前年の途中で退職した人の分も提出します。市区町村によっては支払額が一定以下なら省略できる取扱いがありますが、判断に迷うなら提出しておくほうが安全です
- 個人別明細書は源泉徴収票と同じ内容…年末調整の結果を反映した支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の額、源泉徴収税額などを記載します
- 総括表は市区町村ごと…従業員が10市区町村に散らばっていれば、総括表も10枚必要です
2027年からの2つの変更
- 電子的提出の義務基準が下がる…現在は前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が100枚以上だと、e-Tax・クラウド等・光ディスク等による提出が必要です
- 令和9年1月以後は30枚以上…この基準が30枚以上に引き下げられます。国税庁は「令和7年中に提出する法定調書の枚数が30枚以上となった方は、令和9年に提出する法定調書をe-Tax等により提出する必要があります」としています
- 該当したら書面では出せない…義務の対象になった法定調書は書面での提出ができません。eLTAXやe-Taxの準備が必要です
- 判定は法定調書の種類ごと…給与所得の源泉徴収票、報酬料金の支払調書など、種類ごとに枚数を数えます
- 源泉徴収票の提出が省ける…令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票について、一定の事項が記載された給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、税務署への源泉徴収票を提出したものとみなされます
- eLTAXの一元化機能…各市区町村へ提出する給与支払報告書のデータと、税務署へ提出する源泉徴収票のe-Tax用データを同時に作成し、それぞれ提出できます
- 30枚は小さな会社にも届く…従業員10人でも、報酬料金の支払調書などを合わせれば枚数は積み上がります。判定は種類ごとなので、給与所得の源泉徴収票だけで30枚に達するかを見ます
- 前々年で判定する…令和9年提出分は令和7年中に提出した枚数で決まります。今から準備できるかどうかは、すでに確定している数字次第です
普通徴収切替理由書
- 住民税は特別徴収が原則…給与から天引きして会社が納めます。普通徴収(本人が納付)にするには理由の申出が必要です
- 総務省の資料で整理された選択肢…A:他の事業所で特別徴収(乙欄適用者)/B:毎月の給与が少なく税額が引けない/C:給与の支払が不定期/D:事業専従者(個人事業主のみ対象)/E:退職者、退職予定者(5月末日まで)、休職者/F:総従業員数が2人以下
- Fの数え方に注意…「総従業員数が2人以下」の2人は、AからEに該当する全ての従業員数(他市区町村分を含む)を差し引いた人数です。単純に自社の人数が2人以下という意味ではありません
- 符号は市区町村で違うことがある…同じ理由でも、対応する記号がaやア、普Aなど自治体ごとに異なる場合があります。提出先ごとに確認が必要です
- 理由に該当しても認められるとは限らない…普通徴収を認める要件は各市区町村が地方税法に則って定めており、申出理由に該当すれば直ちに普通徴収になるわけではありません
- eLTAXでは摘要欄に記載する運用もある…電子提出のフォーマットに独自欄を設けられないため、個人別明細書の摘要欄に理由を記載させるケースがあります
実務の段取り
- 12月に年末調整を終える…給与支払報告書の内容は年末調整の結果そのものです。ここが確定しないと作れません
- 1月1日時点の住所を確認する…年末調整で回収した書類の住所と、実際の居住地がずれていないかを確認します
- 市区町村ごとに仕分ける…総括表を市区町村ごとに作成し、個人別明細書を添えます
- 普通徴収にする人を分けて理由を付す…退職者や乙欄適用者などを仕分け、切替理由書または所定の欄に記載します
- 1月31日までに提出する…eLTAXなら電子的提出一元化機能で源泉徴収票と同時に作成できます
- 提出漏れは住民税の未課税につながる…市区町村が所得を把握できず、従業員に住民税の申告義務が生じることがあります
- 1月は集中する…eLTAXは1月下旬に混み合います。早めに提出しておくほうが安全です
- 当社の実務…3名の会社でも、住所が3つの区に分かれれば総括表は3枚です。年末調整が終わった時点で市区町村ごとの束を作っておくと、1月の作業が楽になります
- 令和7年分から様式が変わっている…基礎控除・給与所得控除の見直しと特定親族特別控除の創設に伴い、給与所得の源泉徴収票および公的年金等の源泉徴収票の様式が改正されています
給与支払報告書そのものは年末調整の結果を写す作業ですが、間違えやすいのは「1月1日時点の住所」と「普通徴収の理由」の2点です。そして2027年1月からは電子提出の義務基準が30枚以上に下がるため、これまで書面で出していた会社も対応が必要になります。判定は令和7年中の枚数で決まるので、確認は早いほうがよいです。
よくある質問
Q給与支払報告書の提出期限はいつですか
1月31日です。休日にあたる場合は翌開庁日になります。提出先はその年1月1日現在の従業員の住所地の市区町村です。
Q電子提出はいつから義務になりますか
現在は前々年に提出すべきであった法定調書の枚数が100枚以上の場合に義務ですが、令和9年(2027年)1月以後に提出する分から30枚以上に引き下げられます。
Q源泉徴収票も別に提出しますか
令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票については、一定の事項が記載された給与支払報告書を市区町村へ提出すれば、税務署への源泉徴収票を提出したものとみなされます。
Q退職した人の分も提出しますか
前年中に給与を支払っていれば対象です。市区町村によって支払額が一定以下なら省略できる取扱いがありますが、判断に迷うなら提出しておくほうが安全です。
まとめ
① 期限は1月31日、提出先は1月1日現在の住所地の市区町村。
② 電子的提出の義務基準が前々年100枚以上 → 30枚以上へ(令和9年1月以後提出分)。
③ 給与支払報告書の提出で、税務署への源泉徴収票の提出をしたものとみなす(令和9年1月1日以後)。
④ 普通徴収の理由はA〜F。Fの「2人以下」はA〜Eを差し引いた人数。
⑤ 符号や要件は市区町村ごとに異なることがある。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。