領収書の書き方。基本の5項目と、インボイスで増えた3項目
手書きでもPDFでも、領収書に書くべき基本は5項目です。①日付(受け取った日)②宛名(正式な会社名)③金額(改ざん防止の書式で)④但し書き(何の代金か具体的に)⑤発行者(住所・名称)。そしてインボイス制度が始まってからは、適格請求書として使える領収書にするために⑥登録番号(T+13桁)⑦適用税率⑧税率ごとの消費税額の3項目が加わりました。
買い手がインボイスを求める時代なので、発行側はこの8項目を型として持っておくのが正解です。手書きの作法、butし書きのNG例、書き損じの扱いまで順に説明します。
8項目の型:これを埋めれば完成
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| ①日付 | 金銭を受け取った日。西暦・和暦どちらでも可、年は省略しない |
| ②宛名 | 正式名称で((株)でなく株式会社)。「上様」は避け、小売・飲食等なら宛名省略可(適格簡易請求書) |
| ③金額 | 頭に「¥」末尾に「-」または「※」、3桁ごとにカンマ(例:¥165,000-)。改ざん防止の作法 |
| ④但し書き | 「お品代」でなく「書籍代として」「コンサルティング料として」と具体的に |
| ⑤発行者 | 会社名・住所・連絡先。角印は慣習(法的必須ではない) |
| ⑥登録番号 | インボイス発行事業者ならT+13桁を記載 |
| ⑦適用税率 | 10%か8%(軽減税率)か。混在するなら分けて書く |
| ⑧税率ごとの消費税額 | 「10%対象 消費税15,000円」のように明記 |
つまずきポイント
- 但し書き「お品代」が嫌われる理由…何を買ったか分からない領収書は、受け取った会社の経理で科目判定ができず、税務調査でも心証が悪い。発行側が具体的に書いてあげるのが今の標準マナーです。複数品目なら主たる品目+「他」で構いません
- 書き損じは訂正せず再発行…金額・宛名の二重線訂正は改ざんと区別がつかないため、書き損じた領収書は「書損」として控えごと保管し、新しく発行し直すのが原則です
- 5万円以上は収入印紙…現金受取で5万円以上なら印紙が必要です。収入印紙の記事で書いたとおり、クレカ払い(その旨記載)と電子発行なら不要です
- 控えの保存は7年…発行した領収書の控え(複写・データ)は帳簿書類として保存義務があります。手書きの複写式か、会計ソフトからの発行でデータを残すか、どちらかの型にしてください
発行の実務:手書きからの卒業
- 会計ソフト・請求書ソフトから発行する…宛名・金額・登録番号・税率内訳が自動で入り、控えも残ります。手書きの記載漏れ・計算ミスが構造的に消えるので、月に数枚でも移行する価値があります
- PDF発行なら印紙も郵送も不要…メール添付で送れば、印紙代・切手代・封入の手間がゼロに。電子角印を載せれば見た目も従来どおりです
- レシートと手書きの二重発行をしない…レシートも税法上の領収書です。「レシートの代わりに手書き領収書」を求められたら、レシートを回収してから発行する——二重計上の防止と印紙税の二重課税回避のためです
- インボイス登録番号はゴム印でも可…手書き運用を続ける場合、登録番号のゴム印を作って押すのが現実的です。番号の書き間違いが一番多いミスなので、手書きだけは避けてください
受け取る側のチェックリスト
- もらった瞬間に3点確認…①日付が今日か②宛名が正しいか③金額が合っているか。その場なら10秒で直せますが、後日だと再発行依頼になります
- 仕入税額控除にはインボイス項目を確認…登録番号・税率・税額の記載があるか。3万円未満の鉄道・バス・船(公共交通機関特例)や自販機特例など、例外は交通費の記事で書いたとおりです
- 宛名なしレシートで足りる場面を知る…小売店・飲食店・タクシー等の適格簡易請求書は宛名不要です。「領収書に書き換えてもらう」手間は多くの場合不要で、レシートのほうが品目明細がある分むしろ優秀です
よくある質問
Q領収書に印鑑がないと無効ですか
無効ではありません。印鑑は商慣習で、法的な要件は金銭受取の事実が分かる記載です。とはいえ角印があると受け取り側の安心感が違うので、電子発行でも電子角印を載せるのが実務的です。
Q上様宛の領収書は経費で落ちませんか
直ちに落ちないわけではありませんが、宛名が特定できない領収書は証拠力が弱くなります。発行側としては正式名称を書く、受取側としては会社名で発行してもらう、が原則です。
Q金額の頭の¥と末尾の-は必須ですか
法的必須ではなく、改ざん(数字の書き足し)を防ぐ商慣習です。手書きでは付けるのが作法、ソフト発行なら書式が固定されるので自然に満たされます。
Q個人事業主でも領収書を発行できますか
できます。書き方は法人と同じで、発行者欄に屋号・氏名・住所を書きます。インボイス発行事業者に登録していれば登録番号も記載します。
まとめ
① 基本5項目:日付・宛名・金額・但し書き・発行者。インボイス対応なら+登録番号・税率・税額。
② 金額は¥と-で挟んで3桁区切り。但し書きは「品代」でなく具体的に。書き損じは再発行。
③ 5万円以上の現金受取は収入印紙。クレカ払い記載・電子発行なら不要。控えは7年保存。
④ ソフト発行+PDF送付に移行すれば、記載漏れ・印紙・郵送の問題が一度に消える。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。