顧問弁護士の費用。月3,980円と5万円の差は「含まれる時間」です
顧問弁護士の相場は、日弁連が会員に行ったアンケートで「月3時間程度の相談を顧問料の範囲とする契約」で月5万円が52.7%、3万円が33.5%。つまり中小企業の標準は月3〜5万円です。ところが検索すると「月3,980円から」という格安プランも出てきます。嘘ではありません。格安プランは相談時間がほぼ含まれておらず、実際に相談・作業を頼むと別途タイムチャージ(時間制手数料)が発生する——大手事務所の公表料金にも明記されている構造です。
私たちは賃貸管理業なので、滞納や明渡しで弁護士に依頼する側です。その経験から言うと、顧問契約で一番大事なのは月額の安さではなく「その顧問料で、何がどこまで済むのか」。相場の実額と一緒に順に整理します。
実額:公表されている料金を並べる
| 出典 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 日弁連アンケート(中小企業向け・月3時間程度の相談を含む契約) | 月5万円=52.7%・月3万円=33.5% | 回答182件。実務の「標準帯」はここ |
| 大手事務所の公表プラン例(ベリーベスト) | 月3,980円〜330,000円(税込)の7段階 | 月額とは別に、業務発生時はタイムチャージ |
| タイムチャージの一般的な水準 | 1時間2〜5万円前後 | 事務所・弁護士の経験年数で幅がある |
| スポット法律相談(顧問なし) | 30分5,500円程度が通例 | 初回無料の事務所も多い |
格安プランの種明かし:安いのではなく「小さい」
- 顧問料の正体は「前払いの稼働時間」…月5万円プランに月3時間の相談が含まれるなら、実質は時間単価1.7万円の前払いです。月3,980円プランは含まれる時間がほぼゼロで、使った分だけタイムチャージが乗る従量課金。構造は経理代行の仕訳単価と同じで、単価×量で読めば比較できます
- 相談しない月が続くなら格安プランは合理的…「いざという時の窓口を確保しておく」だけの目的なら、数千円プランは保険として安い。毎月何か相談する会社なら、時間込みの3〜5万円帯のほうが総額は下がります
- 契約書レビューの扱いを確認する…月◯通まで無料か、1通ごとに課金か。賃貸借契約書・業務委託契約書のレビューは中小企業の依頼で一番多い仕事なので、ここが総額を決めます
- 「顧問先優先」という見えない価値…トラブルは突然来ます。顧問先は相談の優先順位が上がり、会社の事情を知っている状態から始まる——スポット依頼との一番の差は、実はスピードです
訴訟は別料金:依頼する側として知っておくべき構造
- 顧問料でカバーされるのは日常相談まで…訴訟・調停・本格的な交渉は、顧問契約とは別に着手金+報酬金の見積りになります。着手金は請求額に応じた料率(旧報酬基準をベースにする事務所が多い)で、数十万円単位が普通です
- 顧問先には割引があるのが通例…着手金・報酬金を顧問先価格(1〜2割引など)にする事務所が多く、係争が起きがちな業種では、ここで顧問料の元が取れることがあります
- 私たちの業界の実例…家賃滞納の明渡し訴訟は、着手金だけで20〜30万円規模になります。だからこそ入口の審査と保証会社が大事——という話は保証会社の記事で書いたとおりで、弁護士費用は「起きてから払うコスト」の最たるものです
- 見積りは必ず書面でもらう…着手金・報酬金・実費・タイムチャージの区分を書面で。これは失礼でも何でもなく、弁護士側も慣れている手続きです
顧問契約が要る会社・まだ要らない会社
- 要る:契約書が事業の中心にある会社…受託開発・建設・不動産・フランチャイズなど、1通の契約書のミスが数百万円になる業種は、月3〜5万円の顧問料が保険として安い側です
- 要る:労務トラブルの芽がある会社…解雇・残業代・ハラスメント対応は初動で決まります。従業員が増えてきたら、税理士の次に検討する士業が弁護士です
- まだ要らない:スポットで足りる会社…年に1〜2回契約書を見てほしい程度なら、30分5,500円の法律相談や1通単位のレビュー依頼で十分。無理に月額を払う必要はありません
- 探し方:業種の経験を最初に聞く…弁護士にも専門があります。「不動産の賃貸トラブルを年何件扱っていますか」のような業種経験の質問が、相性確認の最短ルートです
よくある質問
Q顧問弁護士の費用は経費になりますか
事業のための顧問料・相談料・着手金は経費(支払手数料等)です。顧問料は毎月定額なので、処理もシンプルです。
Q個人事業主でも顧問契約できますか
できます。格安帯のプランは個人事業主・小規模法人を主な対象にしています。事業規模に対して月5万円が重いなら、含まれる時間が小さいプランから始めて、相談量が増えたら上げる形が現実的です。
Q税理士や社労士との違いは何ですか
税務申告は税理士、労働保険・社会保険の手続きは社労士、契約・紛争・法律判断は弁護士と、独占業務が分かれています。労務トラブルは社労士と弁護士の境界領域ですが、訴訟対応まで見据えるなら弁護士です。
Qスポット相談だけでも受けてもらえますか
受けてもらえます。30分5,500円程度の法律相談が入口で、初回無料の事務所もあります。相談の結果、継続的に必要だと分かってから顧問契約を検討すれば十分です。
まとめ
① 標準帯は月3〜5万円(日弁連アンケート:5万円52.7%・3万円33.5%、月3時間程度の相談込み)。
② 格安プラン(月3,980円〜)は含まれる時間がほぼゼロで、使うとタイムチャージ。「安い」でなく「小さい」。
③ 訴訟・交渉は顧問料と別(着手金+報酬金・顧問先割引あり)。見積りは書面で。
④ 契約書が事業の中心にある会社は要る側。年1〜2回ならスポット相談30分5,500円で足りる。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。