トップ>オフィス・登記>会社の印鑑は結局何本必要なのか。「3本セット」の
会社の印鑑は結局何本必要なのか。「3本セット」の前に
「会社印」を検索すると1ページ目はほぼ全部ハンコ屋さんです。売る側は3本セット・4本セットを勧めますが、法律上どうしても必要なのは、設立登記で届け出る会社実印(代表者印)1本だけです。
しかも2021年2月からは、設立登記をオンライン申請する場合、印鑑の届出自体が任意になりました。それでも実務では作る意味のある印があります。契約書にハンコを押す側の実務から、1本ずつ「要る理由」を検証します。
4種類の印鑑と、それぞれの「要る理由」
| 種類 | 役割 | 必要性 | 実売価格 |
|---|---|---|---|
| 会社実印(代表者印) | 法務局に届け出る印。重要契約・官公庁手続き | 実務上必須 | 7,580円〜 |
| 銀行印 | 法人口座の届出印 | 分けるのが定石 | 6,880円〜 |
| 角印(社印) | 請求書・見積書に押す四角い印 | 慣習。減少中 | 9,180円〜 |
| 会社認印・ゴム印 | 受領印・住所印など | 任意 | 6,380円〜 |
「1本で足りる」の法的な根拠
- 登記に必要なのは届出印1本…会社実印として届け出た印鑑が、印鑑証明書とセットで会社の意思を証明します
- 2021年2月から届出は任意化…商業登記のオンライン申請では印鑑届出自体が任意になりました。電子証明書で代替できる制度設計です
- 銀行印・角印を求める法律はない…実印を銀行届出印にも請求書にも使うことは、制度上は可能です
それでも分ける実務的な理由
制度上1本で足りても、当社は実務として銀行印を分けることを勧めます。理由はリスク分離です。
- 実印1本運用のリスク…紛失・盗難時に、契約も口座もすべて同時に危険にさらされます。改印手続きも全方面で同時発生します
- 経理担当に渡す印を分けられる…銀行印だけ渡す、という権限の切り分けができます。実印は代表者しか触らない、が守れます
- 角印は「取引先の文化」次第…請求書の角印は法的効力と無関係の慣習です。電子請求書・電子契約に移行した取引先には不要になっており、当社の実務でも出番は減り続けています。FAX・複合機と同じ構図で、「自社が要るか」より「取引先が求めるか」で決まります
結論:構成別の初期費用
| 構成 | 費用 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| 実印+銀行印の2本 | 13,310円〜(セット実測) | ほとんどの新設法人。当サイトの推奨 |
| 実印のみ1本 | 7,580円〜 | 一人会社で紙の請求書を出さない事業 |
| 3本セット(+角印) | 19,710円〜 | 紙の請求書・見積書文化の取引先が多い事業 |
電子契約が進んでも実印はまだ捨てられません。不動産取引・金融機関・官公庁手続きでは物理の印鑑証明を求められる場面が残っています。当社の契約実務でも、宅建業の重要書類はまだ紙と印が現役です。「実印1本は堅牢に、あとは必要になってから」が失敗のない順序です。
作るときの実務チェック
- 実印は商号確定後に作る…登記申請前に必要(オンライン申請で届出しない場合を除く)。商号変更すると作り直しです
- サイズ規定を守る…届出印は辺の長さ1cm超〜3cm以内の正方形に収まるもの
- 実印と銀行印は書体・サイズを変える…取り違え事故の防止。実務で地味に効きます
- ゴム印・住所印は後回しでいい…バーチャルオフィス等で住所が変わる可能性があるうちは特に
よくある質問
Q印鑑届出を任意化できるなら、実印なしで会社を作れますか
オンライン申請+電子証明書で設立すれば制度上は可能です。ただし設立後の銀行・不動産・官公庁手続きで印鑑証明書を求められる場面が現実に残っているため、実印を作らない運用はまだ実務的とは言えません。
Q個人の実印を会社の実印として使えますか
届出自体はできる場合がありますが、個人と会社の権限・リスクが混ざるため避けるべきです。会社の印は会社のものとして分けてください。
Q電子契約にすれば印鑑は全部不要になりますか
相手が電子契約に対応していれば印鑑は不要です。ただし全取引先が対応するまでの過渡期は紙と電子の併用になり、実印の出番はゼロになりません。角印から先に不要になっていく、というのが実務の順序です。
まとめ
① 法律上の必須は会社実印1本。2021年からは届出自体が任意化。
② それでも銀行印は分けるのが定石(リスク分離・権限の切り分け)。
③ 角印は慣習。取引先の紙文化次第で、電子化とともに不要になっていく。
④ 推奨は実印+銀行印の2本構成(実測13,310円〜)。あとは必要になってから。
この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。