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オフィス・登記 予納郵券6,000円は、 もう要りません 2026年5月21日施行の改正民訴法と、建物明渡訴訟の実費 評価額600万円なら 22,500円 訴え提起手数料(書面申立て)

建物明渡訴訟の費用は、2026年5月21日に納め方が変わりました。予納郵券6,000円はもう要りません

結論

2026年(令和8年)5月21日、改正民事訴訟法が全面施行され、送達の郵便費用が申立手数料に一本化されました。この日以後に起こす建物明渡訴訟では、予納郵券6,000円を別に納める必要がありません。そのかわり手数料が、書面申立てで2,500円、電子申立てで1,400円上乗せされています。

訴額は建物(明け渡してほしい部分)の固定資産税評価額の2分の1です。評価額600万円なら手数料は22,500円。ただし公的費用の7割以上は判決の後、強制執行の予納金65,000円として出ていきます。評価額別の早見表と、明渡し完了までの総額89,550円のモデルを載せました。

2026年5月21日に、納め方が変わりました

建物明渡訴訟を起こすときの費用は、長いあいだ収入印紙(申立手数料)と、予納郵券(切手)の2本立てでした。東京地方裁判所の一覧では、通常訴訟の予納郵券は6,000円分(原告・被告がそれぞれ1名の場合)とされてきました。

これが変わっています。裁判所の案内によれば、民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)が2026年(令和8年)5月21日に全面施行され、送達に使う郵便費用は申立手数料に一本化されました。郵便費用を別に納める必要はなくなり、納付は原則としてペイジーを利用した現金納付になります。

適用されるのは施行日以後に提起した訴えです。それより前に起こした事件は、従前どおり郵券のまま進みます。

いま検索して出てくる「実費6,000円」の記事に注意

建物明渡請求の実費を解説したページの多くは、施行前に書かれたものです。予納郵券6,000円を前提にした金額表は、これから起こす訴訟には当てはまりません。公開日と、5月21日の施行に触れているかどうかを見てください。

訴額は、建物の固定資産税評価額から決まります

手数料は「訴訟の目的の価額(訴額)」で決まります。お金を請求する訴訟なら請求額がそのまま訴額ですが、明渡しは金銭請求ではないので、別の決め方をします。

実務では、建物の固定資産税評価額の2分の1を訴額とします。アパートやマンションの一室だけを明け渡してほしい場合は、建物全体の評価額を床面積の割合で按分してから、その2分の1にします。

この「2分の1」は法律の条文ではなく、裁判所の運用上の算定基準です。ただし評価額が計算の土台になること自体は、裁判所の案内書類から確かめられます。東京地方裁判所民事事件係の「訴状を提出される方へ」は、建物明渡等の訴訟について、添付書類にこう書いています。

東京地方裁判所民事事件係「訴状を提出される方へ」より

不動産の登記事項証明書(原本)……対象不動産1つにつき1通、3か月以内のもの。

固定資産評価証明書(原本)……今年度のもの。取得先は、物件所在地を管轄する都税事務所(東京23区)又は市町村役場。

今年度の評価証明書をわざわざ原本で出させるのは、その額から訴額と手数料を計算するためです。自分の物件の額は、23区なら物件所在地の都税事務所で取れます。

評価額別・訴え提起手数料の早見表

裁判所の「手数料額早見表」を読むと、民事訴訟の訴え提起手数料は従来の額に、書面申立てなら2,500円、電子申立てなら1,400円を上乗せした額になっています。これが郵便費用を吸収した分です。訴額がいくらでも上乗せ額は変わりません。

下の表は、民事訴訟費用等に関する法律 別表第一の計算式を当サイトで実装し、裁判所の早見表の8点(10万・100万・120万・140万・200万・300万・500万・1,000万)と突き合わせて一致を確認したうえで出しています。評価額は明け渡してほしい部分の評価額(一室なら按分後)として読んでください。

建物の評価額別・訴え提起手数料(被告1名・当サイト計算)
建物(該当部分)の評価額訴額新・書面申立て新・電子申立て参考:旧(印紙+郵券6,000円)
2,000,000円1,000,000円12,500円11,400円16,000円
3,000,000円1,500,000円15,500円14,400円19,000円
4,000,000円2,000,000円17,500円16,400円21,000円
5,000,000円2,500,000円20,500円19,400円24,000円
6,000,000円3,000,000円22,500円21,400円26,000円
8,000,000円4,000,000円27,500円26,400円31,000円
10,000,000円5,000,000円32,500円31,400円36,000円
15,000,000円7,500,000円42,500円41,400円46,000円
20,000,000円10,000,000円52,500円51,400円56,000円

読みどころは3つあります。

訴状に付ける書類の実費は、合計1,600円です

手数料と別に、添付書類の取得費がかかります。法人が原告になって一室の明渡しを求める、いちばん多い形で並べると、合計1,600円です。

訴状の添付書類にかかる実費(東京23区の場合)
書類取得先金額
建物の登記事項証明書法務局(書面請求)600円
同上(オンライン請求・郵送)登記・供託オンライン申請システム520円
同上(オンライン請求・窓口交付)同上490円
固定資産評価証明書物件所在地の都税事務所1件目400円/2件目以降1件100円
代表者事項証明書(原告が法人)法務局(書面請求)600円

登記の手数料は2025年(令和7年)4月1日改定の額です。オンラインで請求して郵送してもらえば520円、窓口で受け取れば490円で、窓口で紙の申請書を出す600円より安くなります。評価証明書は、同じ所有者・同じ区の物件なら2件目から100円です。

なお、登記情報提供サービスで取れる331円の全部事項は証明書ではないので添付書類には使えません。事前の物件確認には便利ですが、訴状に付けるのは法務局の証明書です。

滞納賃料も一緒に請求すると、手数料は上がりますか

明渡しと一緒に、滞納している賃料や、明渡しまでの賃料相当損害金を請求するのが普通です。ここで訴額が膨らむのか、という論点があります。

民事訴訟法9条2項が、こう定めています。果実、損害賠償、違約金又は費用の請求が訴訟の附帯の目的であるときは、その価額は、訴訟の目的の価額に算入しない。賃料は建物から生じる果実にあたるため、明渡しに附帯して求める賃料相当損害金は、訴額に足されません

一方で、訴え提起前にすでに発生している未払賃料を独立した請求として立てる場合は、扱いが分かれます。訴状の書き方で結論が変わる部分なので、請求の趣旨を固める段階で裁判所の窓口に確認するのが確実です。手数料が足りなければ追納を求められるだけで、訴えが無効になるわけではありません。

判決が出た後に、いちばん大きい額が来ます

費用の話で抜けやすいのがここです。勝訴判決は「出ていってもらう権利がある」と確認しただけで、出ていかない相手を強制的に退去させるには、別に強制執行を申し立てます。

東京地方裁判所の場合、明渡しの強制執行の予納金は65,000円(債務者1名・物件1個。1個増えるごとに40,000円)で、執行補助者の作業員日当・運搬・保管の費用はこれと別に実費でかかります。詳しくは建物明渡しの強制執行にかかる費用にまとめました。

訴え提起から明渡し完了までを1本につないで積むと、こうなります。評価額600万円の一室、被告1名、書面申立て、原告は法人というモデルです。

訴え提起から明渡し完了までの公的費用(モデル・当サイト計算)
段階項目金額
訴え提起申立手数料(訴額300万円・書面申立て)22,500円
訴え提起建物の登記事項証明書600円
訴え提起固定資産評価証明書400円
訴え提起代表者事項証明書600円
判決確定後執行文の付与300円
判決確定後送達証明150円
強制執行予納金(東京地裁・債務者1名・物件1個)65,000円
合計弁護士費用・作業員費用・運搬保管費を除く89,550円

入口の22,500円に対して、出口の65,000円。公的費用の7割以上は、判決の後にかかります。予納金は執行後に精算され、使わなかった分は返ってきますが、立て替える必要があることに変わりはありません。

そしてこの表には、弁護士費用も、荷物の運び出しと保管の費用も入っていません。明渡しは、判決を取ってから断行までに相手が任意に出ていってくれるかどうかで総額が桁で変わります。費用を抑える実務は強制執行の記事に書きました。

よくある質問

Q2026年5月21日より前に起こした訴訟はどうなりますか

従前どおりです。郵便費用の手数料への一本化は、施行日以後に提起された訴えに適用されます。すでに係属している事件は、先に納めた郵券のまま進みます。

Q電子申立てというのは、弁護士に頼まないと使えませんか

裁判所の手数料額早見表は、民事・行政訴訟について書面申立てと電子申立ての2つの欄を設けています。電子申立ての額のほうが1,100円低く設定されています。利用に必要な準備は裁判所の案内で確認してください。

Q固定資産税評価額がわからないときはどうしますか

物件所在地を管轄する都税事務所(東京23区)または市町村役場で、固定資産評価証明書を取ります。1件目400円です。訴状には今年度のものの原本を添付します。新築などで評価額がない建物は、法務局の新築建物課税標準価格認定基準表を使って算定します。

Q被告が夫婦2人と連帯保証人の3人になる場合、いくら増えますか

被告の数から1を減じた数に2,000円を乗じた額が加算されるので、被告3名なら4,000円の加算です。

Q少額訴訟や支払督促で明渡しを求めることはできますか

できません。どちらも金銭の支払いを求める手続なので、建物の明渡しは対象外です。滞納賃料だけを回収したいのであれば支払督促が使えます。

まとめ

この記事の要点
  • 2026年5月21日施行の改正民訴法で、郵便費用は申立手数料に一本化された。予納郵券6,000円は不要
  • 手数料は従来額+2,500円(書面申立て)/+1,400円(電子申立て)。上乗せ額は訴額によらず一定
  • 訴額は建物(該当部分)の固定資産税評価額の2分の1。一室なら床面積で按分してから2分の1
  • 被告が2名以上なら、被告の数から1を引いた数に2,000円を掛けた額が加算される
  • 明渡しに附帯する賃料相当損害金は、民訴法9条2項により訴額に算入しない
  • 公的費用の7割以上は判決の後。強制執行の予納金65,000円が最大の項目

この記事は2026年8月31日時点の法令・公開情報に基づいています。制度は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。

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