取締役会議事録。本店に10年間の備置きが義務です
取締役会を設置している会社では、取締役会の議事について議事録を作成し、本店に10年間備え置くことが義務づけられています(会社法371条)。支店には議事録の写しを5年間備え置きます。
実務で問題になるのは3点。①署名・記名押印は出席した取締役および監査役の全員。②特別利害関係を有する取締役は議決に加われない。③登記の添付書類として使う場合、押印する印鑑によっては印鑑証明書が必要。作成のルールを押さえておけば、後から作り直す手間がなくなります。
記載事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日時・場所 | 年月日と時刻、開催場所。出席方法(テレビ会議等)も記載 |
| 議事の経過の要領及びその結果 | 審議の概要と決議の結果 |
| 出席者 | 出席した取締役・監査役の氏名、議長の氏名 |
| 特別利害関係の記載 | 決議に参加できない取締役がいる場合はその旨 |
| 意見・発言 | 監査役等が述べた意見や発言があればその概要 |
- 「議事の経過の要領」でよい…発言の逐語録は不要です。何を審議し、どう決まったかが分かれば足ります
- テレビ会議・電話会議も可能…出席者が相互に議論できる状態であれば有効です。議事録に開催方法を記載します
- 議長を記載する…定款で定められた者(通常は代表取締役)が議長を務めます
- 反対意見も記録する…決議に反対した取締役は、議事録に異議をとどめておかないと賛成したものと推定されます(会社法369条5項)。責任追及の場面で効いてきます
- 3か月に1回以上の開催義務…代表取締役等は、3か月に1回以上、職務の執行状況を取締役会に報告する必要があります(会社法363条2項)。実質的に定期開催が求められます
署名と押印
- 出席した取締役および監査役が署名または記名押印…欠席者の押印は不要です。出席者全員である点に注意します
- 登記に使う場合は印鑑が問題になる…代表取締役の変更登記などで議事録を添付する場合、出席取締役が登記所に届け出た印鑑(会社実印)を押していない場合は、個人の実印+印鑑証明書が必要になることがあります
- 代表取締役を選定する取締役会が典型…前任の代表取締役が届出印を押していれば、他の出席取締役の印鑑証明書は不要とされる取扱いがあります。登記の目的により要件が異なるため、司法書士に確認します
- 電子署名でも作成できる…会社法上、議事録は電磁的記録で作成でき、この場合は電子署名を行います。登記申請にも使えますが、要件を満たす電子署名である必要があります
- 押印の位置…契印や割印の要否は法定されていませんが、複数枚になる場合は契印するのが一般的です
特別利害関係と定足数
- 特別利害関係を有する取締役は議決に加われない…会社法369条2項。その取締役は定足数にも算入されません
- 典型は利益相反取引の承認…会社と取締役個人の間の取引(役員への貸付け、会社所有物件の役員への賃貸など)を承認する決議では、当該取締役は議決に参加できません
- 代表取締役の解職決議も該当…解職の対象となる代表取締役は特別利害関係人にあたるとされています
- 定足数は議決に加わることができる取締役の過半数…出席し、その過半数で決議します。定款で加重できますが軽減はできません
- 議事録に明記する…「取締役◯◯は特別利害関係人のため議決に加わらなかった」と記載します。記載がないと決議の有効性が争われます
書面決議と保存
- 書面決議には定款の定めが必要…取締役が提案について書面または電磁的記録により同意し、監査役が異議を述べないときは、決議があったものとみなせます(会社法370条)。この方法をとるには定款の定めが必要です
- 全員の同意が要る…議決に加わることができる取締役の全員が同意する必要があります。1人でも反対なら成立しません
- 同意書を保存する…書面決議の場合、同意の意思表示を記載した書面等を10年間本店に備え置きます
- 報告事項は省略できない場合がある…3か月に1回以上の職務執行状況の報告は、書面決議では省略できないとされています
- 本店に10年、支店に写しを5年…会社法371条。電磁的記録での保存も可能です
- 株主・債権者の閲覧請求…監査役設置会社では、株主は権利行使に必要なとき、裁判所の許可を得て閲覧・謄写を請求できます
- 作成を怠ると過料…議事録の未作成や不実記載は、100万円以下の過料の対象になり得ます
- 取締役会非設置会社には不要…取締役会を置いていない会社(多くの中小企業)では取締役会議事録は不要です。ただし重要な決定は株主総会議事録や取締役の決定書として残すのが実務です
当社のような小規模な会社では取締役会を設置していないことも多く、その場合は議事録の作成義務もありません。ただし役員報酬の決定、重要な契約の締結といった判断は、後から説明できる形で残しておく必要があります。取締役会がなくても「決定書」として書面に残すのが実務的です。
よくある質問
Q取締役会議事録は誰が押印しますか
出席した取締役および監査役の全員です。欠席者の押印は不要です。登記に使う場合は、押す印鑑の種類によって印鑑証明書の添付が必要になることがあります。
Q保存期間はどのくらいですか
本店に10年間備え置きます。支店には写しを5年間備え置きます。電磁的記録での保存も可能です。
Qテレビ会議で開催してもよいですか
出席者が相互に議論できる状態であれば有効です。議事録に開催方法を記載します。
Q取締役会を設置していない会社でも議事録は必要ですか
取締役会がなければ取締役会議事録は不要です。ただし重要な決定は株主総会議事録や取締役の決定書として書面に残すことが望まれます。
まとめ
① 本店に10年、支店に写しを5年の備置き義務(会社法371条)。
② 署名・記名押印は出席した取締役および監査役の全員。
③ 特別利害関係を有する取締役は議決に加われず、定足数にも算入されない。議事録に明記する。
④ 反対意見は異議をとどめないと賛成と推定される。
⑤ 書面決議(みなし決議)には定款の定めと全員の同意が必要。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。