トップ>経理・税務>消費税1%。2027年4月から

いま決まっていること 2027年4月から 2年間。 飲食料品の消費税率を8%から1%へ(2026年9月11日 大綱案) 改修は 2回必要 2029年4月に8%へ戻す前提です

消費税1%。2027年4月から2年間、事業者は何をするか

結論

2026年8月5日、飲食料品の消費税率を2027年(令和9年)4月1日から2年間、現行の8%(軽減税率)から1%に引き下げる方針が閣議決定されました。残る1%分は中低所得の現役勤労者への給付(「所得に連動したきめ細かな給付」の先行導入)と組み合わせ、飲食料品にかかる消費税を「実質ゼロ化」するとされています。

この記事は2026年9月14日時点の整理です。根拠は「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(令和8年8月5日 閣議決定)と、「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(案)」(令和8年9月11日 「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場 第4回 資料2)です。9月8日の第3回で公表された大綱(案)で経過措置・総額表示・簡易課税の扱いまで示され、9月11日の修正版で「レジシステムの改修を行う中小企業等に対する支援」が追記されました。報道では大綱は9月15日の閣議決定を目指すとされていますが、本記事の時点ではまだ案です。法改正はこれからで、関連法案は秋の臨時国会に提出される予定です。実務の判断は、成立した法律および国税庁の公表資料が出てから行ってください。

事業者側で押さえるべき点は3つです。税率が10%・8%・1%の3区分になること、レジ・会計ソフト・請求書の改修、そして2年後に8%へ戻るため改修が2回必要になることです。

いま示されている内容

制度の骨格(令和8年8月5日 閣議決定「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」+令和8年9月8日公表・9月11日修正の大綱(案))
項目内容
対象現行の軽減税率の対象となっている飲食料品。大綱案は「税率1%の対象となる飲食料品の範囲は、税率8%時から変更はない」と明記。外食・酒類は現行どおり対象外
税率8% → 1%(大綱案では国税0.78%+地方消費税0.22%相当分の合計として設計)
期間2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間。給付制度を本格導入するまでの経過措置(つなぎ)という位置づけ
新聞週2回以上発行される新聞の定期購読分は今回の引き下げの対象外と大綱案で明記。8%のまま残る
給付名称は就業者負担軽減支援金。2027年(令和9年)4月から導入し、内閣府所管。市町村が認定して年1回支給(公金受取口座の登録者は請求なしの職権認定)。2027・2028年度の総額は飲食料品の消費税1%相当分の範囲内。19歳未満の扶養親族に応じたこども加算あり(2027・2028年度は16歳未満)
財源特例公債(赤字国債)に頼らず、補助金・租税特別措置の適正化や追加的な税外収入の確保などで確保。具体策は2027年度予算編成過程で結論。地方消費税の減収は全額を地方特例交付金で補塡(地方と協議中)
事業者支援簡易課税・免税事業者である農林漁業者には、個別の売上高を踏まえた金額を給付する仕組みを導入。食品・外食事業者には資金繰り支援や省力化支援、外食にはテイクアウト等の多角化支援。本則課税へ移行する際の税理士費用等も支援。9月11日の修正版でスマートレジへの移行やレジ改修を行う中小企業等への支援が追記。金額・要件はいずれも予算編成過程で具体化
手続き閣議決定は2026年8月5日に完了2026年9月8日に大綱(案)を公表、9月11日に修正版。大綱の閣議決定は9月15日を目指すと報じられており、その後秋の臨時国会に関連法案を提出する予定

大綱案で新しく示された実務の中身

2026年9月8日に公表され、9月11日に修正された大綱(案)は、8月の閣議決定になかった実務の細部を示しています。事業者に直接効くのは次の5つです。

大綱(案)で示された事業者向けの特例(令和8年9月8日 第3回資料2・資料3。9月11日 第4回資料2でも内容は同じ)
項目内容
予約販売・通信販売の経過措置2027年1月1日前に締結した定期供給契約にもとづき、同年4月1日前に代金を受け取っている分(受け取った部分に限る)は1%の対象から除外=8%のまま。通信販売も、2027年1月1日前に販売条件を提示し、同年4月1日前に申込みを受けた分は同様
総額表示の特例総額表示の義務は維持(税抜のみ、「+税」のみの表示は引き続き不可)。ただし直ちに対応できない事情がある場合に限り、税率変更の前後 最大各2か月は旧税率/新税率の税込価格の表示を認める。具体的には2027年2月1日〜3月31日と2029年4月1日〜5月31日は1%の税込価格2027年4月1日〜5月31日と2029年2月1日〜3月31日は8%の税込価格。実際の支払額と誤認させない措置を講じることが条件
簡易課税の納付税額簡易課税を適用する事業者について、飲食料品の販売に対応する仕入控除税額を売上税額と同額とする特例を設ける(業種区分を問わない)。実質的に飲食料品分の納付税額は生じない2割特例・3割特例を使う場合も同様
本則課税への移行還付を受けるために本則課税へ移る場合、課税事業者選択届出書・簡易課税制度選択不適用届出書の提出期限を「その課税期間の末日」まで後ろ倒し(期首前日に出したものとみなす)。簡易課税のいわゆる2年縛りも適用しない
中間申告2027年4月1日以後に開始する中間申告対象期間について、前年の税額を新税率(1%)で計算し直した金額で中間申告できる(計算結果がなければゼロ)。2029年4月1日以後は逆に、1%が適用されなかったものとして計算し直した金額で申告できる

まだ決まっていないこと

事業者に起きること

今からできる準備

  1. 自社に飲食料品の取引があるか洗い出す…売上側だけでなく仕入側も見ます。会議用の茶菓子、来客用の飲料、贈答品なども軽減税率の対象です
  2. 使っているレジ・会計ソフトの対応方針を確認する…メーカーやベンダーがいつ、どう対応するかを早めに聞いておきます。問い合わせが集中する前に聞くほうが早いです
  3. 請求書テンプレートの構造を確認する…税率区分が増えたときに行を追加できるか、自作のExcelなら計算式が壊れないかを見ます
  4. 価格をどうするか決めておく…税込価格を下げるのか、税抜価格を上げて税込を据え置くのか。2年後に戻ることまで含めて方針を決めておきます
  5. 定期便・カタログ販売があるなら年内に設計を決める…経過措置の分かれ目は2027年1月1日です。定期供給契約や通信販売の条件提示をその前にするか後にするかで、適用税率が変わります
  6. 法律が成立するまで実務を固定しない…大綱案まで来ましたが、まだ案です。細かい取引の取り扱いは法案成立後の政省令・通達と国税庁のQ&Aで決まります

2019年の軽減税率導入時も、直前まで対象範囲の細かい線引きが確定せず、現場が混乱しました。今回は引き下げ幅が7ポイントと大きく、しかも2年後に戻ります。9月8日の大綱案で経過措置・総額表示・簡易課税の扱いまで見え、9月11日の修正版でレジ改修支援の方針も入りましたが、給付額の水準と事業者支援の金額・要件はこれからです。いまできるのは、影響範囲の洗い出しと、使っているシステムの対応方針の確認、そして定期便を扱うなら2027年1月1日という日付を意識した契約設計までです。この記事は続報が出しだい更新します。

よくある質問

Q飲食料品の消費税1%はいつからですか

2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間とする方針が2026年8月5日に閣議決定され、2026年9月8日に公表された大綱(案)でも同じ期間が示されました。ただし法改正はこれからで、関連法案は秋の臨時国会に提出される予定です。

Q税率1%の内訳はどうなっていますか

大綱(案)では、消費税(国税)の税率を0.78%とする特例を設け、地方消費税0.22%相当分と合わせて1%とされています。適格請求書の「適用税率」欄にはこの特例税率を、「消費税額等」欄には特例税率にもとづく金額を記載することになります。

Qなぜゼロではなく1%なのですか

ゼロ税率にするとレジや会計システムの改修に約1年かかるのに対し、1%なら半年程度で対応できるとされたためです。2027年4月開始という時期から逆算した数字です。

Q新聞も1%になりますか

なりません。大綱(案)で、週2回以上発行される新聞の定期購読分は今回の引き下げの対象外と明記されました。8%のまま残るため、2027年4月からは10%・8%・1%の3区分になります。

Q外食も1%になりますか

なりません。1%の対象は現行の軽減税率が適用されている飲食料品で、範囲は8%のときから変更なしとされています。外食と酒類は10%のままです。店内飲食10%とテイクアウト1%で9ポイントの差になります。

Q施行日をまたぐ取引の経過措置はありますか

大綱(案)で2つ示されました。2027年1月1日前に締結した定期供給契約にもとづき同年4月1日前に代金を受け取っている分と、通信販売で2027年1月1日前に販売条件を提示し同年4月1日前に申込みを受けた分は、1%の対象から除外され8%のままとなります。

Q事業者は何を準備すればよいですか

飲食料品の取引が売上・仕入にあるかの洗い出し、レジと会計ソフトの対応方針の確認、請求書テンプレートの構造確認までです。大綱(案)で経過措置と総額表示の特例は示され、9月11日の修正版ではレジ改修を行う中小企業等への支援も書き込まれましたが、支援の金額・要件は予算編成で決まるため、設備投資は支援の中身が出てから判断するほうが安全です。

まとめ

この記事の要点

飲食料品を2027年4月1日から2029年3月31日まで、8%→1%とする方針が2026年8月5日に閣議決定、9月8日に大綱(案)が公表、9月11日に修正版
外食・酒類は対象外新聞(週2回以上発行の定期購読分)も対象外で8%のままと明記され、10%・8%・1%の3区分になる。
③ 大綱案で予約販売・通信販売の経過措置、総額表示の前後 最大各2か月の猶予、簡易課税・中間申告・届出の特例が示された。
④ 9月11日の修正版でレジ改修を行う中小企業等への支援が追記。ただし給付額の水準、財源の具体策、事業者支援・レジ改修支援の金額と要件は依然として未定
⑤ 事業者はレジ・会計ソフト・請求書の改修2029年4月に戻るため2回必要。
⑥ 今できるのは影響範囲の洗い出しとベンダーへの確認、定期便があれば2027年1月1日を意識した契約設計まで。設備投資は急がない。
⑦ 減税は2029年度に本格導入する給付(就業者負担軽減支援金)までの「つなぎ」という位置づけ。

この記事は2026年9月14日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。

TOP