消費税1%。2027年4月から2年間、事業者は何をするか
飲食料品の消費税率を2027年(令和9年)4月1日から2年間、現行の8%(軽減税率)から1%に引き下げる大綱が、2026年9月15日に閣議決定されました。残る1%分は中低所得の現役勤労者への給付(「所得に連動したきめ細かな給付」の先行導入)と組み合わせ、飲食料品にかかる消費税を「実質ゼロ化」するとされています。
この記事は2026年10月30日時点の整理です。根拠は「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日 閣議決定)と、「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(令和8年8月5日 閣議決定)です。9月8日・9月11日に案として示されていた内容が、9月15日にそのまま大綱として閣議決定されました。同じ日に中小企業庁がレジの導入・改修を補助する事前着手制度を、国税庁が消費税率引下げ特設サイトと「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」を公表しています。その後、9月29日に政府がレジ改修支援などに充てる予備費1,119億円の使用を閣議決定し(財務大臣会見)、10月5日に関連法案を審議する臨時国会が召集されました(会期は12月12日まで)。そして10月9日、政府は「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」を閣議決定し、同日に第222回国会へ提出しました(内閣官房・法律案の概要)。中身は9月15日の大綱どおりで、施行日は2027年4月1日です。10月20日に衆議院本会議で審議入りし、財務金融委員会に付託されました(衆議院 議案審議経過)。10月29日にはレジ補助の事務局が「スマートレジ類型」及び「POSレジ類型」の新設についてを公表し、申請方法と提出書類を示しています。ただし法案は国会で可決・成立するまで法律ではありません。実務の判断は、成立した法律および国税庁の公表資料が出てから行ってください。
事業者側で押さえるべき点は3つです。税率が10%・8%・1%の3区分になること、レジ・会計ソフト・請求書の改修、そして2年後に8%へ戻るため改修が2回必要になることです。
いま示されている内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 現行の軽減税率の対象となっている飲食料品。大綱は「税率1%の対象となる飲食料品の範囲は、税率8%時から変更はない」と明記。外食・酒類は現行どおり対象外 |
| 税率 | 8% → 1%(大綱では国税0.78%+地方消費税0.22%相当分の合計として設計) |
| 期間 | 2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間。給付制度を本格導入するまでの経過措置(つなぎ)という位置づけ |
| 新聞 | 週2回以上発行される新聞の定期購読分は今回の引き下げの対象外と大綱で明記。8%のまま残る |
| 給付 | 名称は就業者負担軽減支援金。2027年(令和9年)4月から導入し、内閣府所管。市町村が認定して年1回支給(公金受取口座の登録者は請求なしの職権認定)。2027・2028年度の総額は飲食料品の消費税1%相当分の範囲内。19歳未満の扶養親族に応じたこども加算あり(2027・2028年度は16歳未満)。10月9日の法案では、支給要件を勤労所得が一定額超・合計所得金額が一定額以下・税と社会保険料の負担額が一定額超・配偶者の所得が一定額以下(2027・2028年度は配偶者要件なし)の4つとし、具体的な金額と支援額はすべて政令で定めるとしている |
| 財源 | 特例公債(赤字国債)に頼らず、補助金・租税特別措置の適正化や追加的な税外収入の確保などで確保。具体策は2027年度予算編成過程で結論。10月9日の法案でも「特例公債に頼ることなく、歳出・歳入全般の見直しにより確保する」とだけ書かれ、具体策は入っていない。地方消費税の減収は全額を地方特例交付金で補塡。9月8日・11日の案に付いていた「地方と協議中」の注記は、閣議決定版で外れた |
| 事業者支援 | 簡易課税・免税事業者である農林漁業者には、個別の売上高を踏まえた金額を給付する仕組みを導入。食品・外食事業者には資金繰り支援や省力化支援、外食にはテイクアウト等の多角化支援。本則課税へ移行する際の税理士費用等も支援。レジについては、大綱と同じ9月15日に中小企業庁が導入・改修を補助する事前着手制度を公表し、9月29日に予備費781億円の使用を閣議決定(後述)。農林漁業者への給付など残りの支援は、金額・要件とも予算編成過程で具体化 |
| 手続き | 基本方針の閣議決定は2026年8月5日。9月8日に大綱(案)を公表、9月11日に修正版を経て、2026年9月15日に大綱を閣議決定。9月29日に準備費用の予備費使用を閣議決定。10月5日に臨時国会が召集され(会期は12月12日まで)、10月9日に関連法案を閣議決定し、同日に国会へ提出。施行日は2027年4月1日。成立はこれから |
- ゼロではなく1%になった理由…ゼロ税率にするとレジや会計システムの改修に約1年かかるのに対し、1%なら半年程度で対応できるとされたためです。2027年4月開始という時期から逆算した数字です
- 2年間の時限措置…決定文書では、2029年度に本格導入する給付制度までの「経過措置(つなぎ)」と明記されています。期間終了後は8%に戻る前提で、恒久的な減税ではありません
- 標準税率10%は動かない…引き下げの対象は軽減税率が適用されている飲食料品です
- 外食・酒類は対象外で決着…1%になるのは現行の軽減税率が適用されている飲食料品で、大綱は「範囲は税率8%時から変更はない」と書いています。外食と酒類は、そのまま10%です
- 新聞は8%のまま=税率は3区分になる…8月の閣議決定では明文がなく読みにとどまっていた点が、大綱で「今般の税率引下げの対象外」と明記されました。2027年4月からは10%・8%・1%の3区分で運用することになります
- 減税は「つなぎ」で、本体は給付…8月の閣議決定は「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針で、2029年度に本格導入する給付制度が本体です。飲食料品の1%は、その間の経過措置として位置づけられています
- 法案は国会に出た…8月5日に基本方針を閣議決定、9月15日に大綱を閣議決定、10月5日に臨時国会が召集され、10月9日に関連法案が閣議決定・国会提出されました。会期は12月12日までです。減税の内容が法律として固まるのは、この法案が可決・成立したときです
- スケジュールに余裕がない…レジ改修に半年かかると逆算すると、12月12日までの臨時国会での成立が2027年4月開始の事実上の期限になります。報道では、財源や給付対象のあいまいさを理由に野党の批判が出ています。大綱にも「関係府省庁は直ちに必要な準備作業に着手する」と書かれており、政府は法案成立を待たずに9月29日の予備費で準備費用を手当てしました
大綱で示された実務の中身
2026年9月15日に閣議決定された大綱は、8月の基本方針になかった実務の細部を示しています。事業者に直接効くのは次の5つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予約販売・通信販売の経過措置 | 2027年1月1日前に締結した定期供給契約にもとづき、同年4月1日前に代金を受け取っている分(受け取った部分に限る)は1%の対象から除外=8%のまま。通信販売も、2027年1月1日前に販売条件を提示し、同年4月1日前に申込みを受けた分は同様。国税庁Q&Aでは、この扱いは選択できない(該当すれば8%)一方、1%を前提に契約・条件提示している場合や、2027年1月1日以後に契約を変更した場合は1%と説明されている |
| 総額表示の特例 | 総額表示の義務は維持(税抜のみ、「+税」のみの表示は引き続き不可)。ただし直ちに対応できない事情がある場合に限り、税率変更の前後 最大各2か月は旧税率/新税率の税込価格の表示を認める。具体的には2027年2月1日〜3月31日と2029年4月1日〜5月31日は1%の税込価格、2027年4月1日〜5月31日と2029年2月1日〜3月31日は8%の税込価格。実際の支払額と誤認させない措置を講じることが条件(国税庁Q&Aの例:棚の近くに「この棚は8%の税込価格で表示、レジでは1%で精算」と掲示する) |
| 簡易課税の納付税額 | 簡易課税を適用する事業者について、飲食料品の販売に対応する仕入控除税額を売上税額と同額とする特例を設ける(業種区分を問わない)。実質的に飲食料品分の納付税額は生じない。2割特例・3割特例を使う場合も同様 |
| 本則課税への移行 | 還付を受けるために本則課税へ移る場合、課税事業者選択届出書・簡易課税制度選択不適用届出書の提出期限を「その課税期間の末日」まで後ろ倒し(期首前日に出したものとみなす)。簡易課税のいわゆる2年縛りも適用しない。国税庁Q&Aでは、課税事業者選択届出書の「参考事項」欄に「飲食料品特例」と書き、法案成立後は2027年4月1日前でも提出できる予定とされている |
| 中間申告 | 2027年4月1日以後に開始する中間申告対象期間について、前年の税額を新税率(1%)で計算し直した金額で中間申告できる(計算結果がなければゼロ)。2029年4月1日以後は逆に、1%が適用されなかったものとして計算し直した金額で申告できる |
- 「2027年1月1日」という前倒しの日付に注意…経過措置の分かれ目は施行日(4月1日)ではなく、契約や販売条件の提示が2027年1月1日より前かどうかです。定期便やカタログ販売を扱う事業者は、年末までに契約・条件提示の設計を決める必要があります
- 値札の貼り替えには猶予がある…夜間の貼り替えが間に合わない、カタログや商品パッケージに価格が印字されている、といった事情を想定した特例です。2か月の猶予はありますが、総額表示そのものは免除されません
- 適格請求書の書き方も示された…適格請求書や仕入明細書の「適用税率」欄には特例税率を、「消費税額等」欄には特例税率にもとづく金額を記載します。請求書テンプレートに1%の行を足せるかどうかが、そのまま作業量になります。国税庁Q&Aでは、それ以外の記載事項に変更はなく、「軽減税率対象」の印があれば「1%対象」と別に書く必要はないとされています
- 給付(支援金)は年1回・1,000円単位…市町村が認定して年1回支払い、支援額は1,000円単位(端数切上げ)。支援金に税金はかからず、差し押さえもできません(国税の滞納処分を除く)。ただし生活保護では収入認定の対象になります
- 2029年4月の「戻し」にも手当てが入った…減税が終わる2029年4月に、2028年度の受給資格者へ半年分相当額を先行して支給するとされています。税率が8%に戻る時期の家計負担をならす設計です
レジ改修の補助(2026年9月15日公表・10月29日に申請方法)
大綱の閣議決定と同じ日に、中小企業庁が「変化の時代に対応できるスマートレジの導入支援(事前着手制度)」を公表しました。既存の「デジタル化・AI導入補助金」の枠組みを使い、2026年9月15日以降に行った導入・改修を、後から申請できるという内容です。補助の対象になるかを申請前に確認できないぶん、書類を残す責任は事業者側にあります。
その2週間後、2026年9月29日に政府は2026年度予算の予備費1,119億円の使用を閣議決定しました(財務大臣会見)。内訳は、中小企業等のスマートレジ導入・POSレジ改修などの支援に781億円、就業者負担軽減支援金の導入に向けた自治体の税務システム改修や公金受取口座登録システムの改修などに338億円です。法案の成立を待たずに補助金の財源が確保されたことになり、事前着手制度は予算の裏付けを得ました。
さらに2026年10月29日、補助金の事務局が「スマートレジ類型」及び「POSレジ類型」の新設についてを公表し、申請の進め方と提出書類を示しました。金額と補助率は9月15日の資料から変わっていません。新しく分かったのは、申請は2027年1月中旬から、事業者が単独で行うこと、GビズIDプライムの取得が必要なこと、支払いは銀行振込かクレジットカードの1回払いに限られ、現金払いは対象外になることです。公募要領そのものは引き続き「後日公開」で、資料にも変更の可能性があると書かれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 2つの類型 | スマートレジ類型(従来型のレジからスマートレジへ移行)とPOSレジ類型(POSレジ等を改修して新しい税率に対応) |
| ソフトウェア・役務 | レジシステムの購入費・クラウド利用料、受発注システム・請求書管理システムの改修費、導入設定・マニュアル作成・導入研修・保守サポート。上限は1機能なら50万円、2機能以上で350万円。補助率は50万円以下の部分が3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超〜350万円の部分が2/3 |
| ハードウェア | PC・タブレットやレジ本体の購入費。上限20万円・補助率1/2。ソフトと一緒でなければ申請できない。券売機はPOSレジ類型のみ対象。手持ちの端末を使う場合はレジ付属品だけの購入費も対象 |
| 事前着手の対象期間 | 2026年9月15日〜2027年3月頃。契約日・発注日、ハードの納品日はいずれも9月15日以降であること |
| 申請受付 | 2027年1月中旬〜2027年3月頃。導入・改修と支払いを済ませてから申請する |
| 申請のしかた | 通常枠と違い事業者が単独で申請(ベンダーの招待は不要)。GビズIDプライムを事前に取得しておく。申請は1事業者1回限りで、2つの類型の併用もできない |
| 支払い方法 | 銀行振込かクレジットカードの1回払いのみ。現金払い・分割払い・リボ払いは対象外。法人は法人名義のカードで払う |
| 改修を頼む業者 | 改修費は事務局に登録していない業者に頼んでも対象。1社あたり50万円(税抜)以上なら原則として相見積もりを取り、どの場合も選定理由書を出す |
| 対象 | 中小企業者・小規模事業者。中堅企業(飲食料品を扱う小売業者)はPOSレジ類型の改修費だけが対象 |
- 「機能」の数え方で上限が変わる…ここでいう機能は会計・受発注・決済の3つです。会計だけなら上限50万円、2つ以上を入れると上限350万円になります。レジを入れ替えるついでに受発注や決済までまとめるかどうかで、使える枠が7倍変わることになります
- 製品はあらかじめ登録されたものに限る…事務局に登録済みのスマートレジ・POSレジ等が対象です。付き合いのあるベンダーの製品が登録されているとは限りません。見積りを取る前に、登録の有無を先に聞いてください
- 書類は全部残す…事後申請のため、契約・納品・支払いを証明する書類(仕様書、見積書、レシート等)の保管が求められています。改修費は1社あたり50万円(税抜)以上なら原則として相見積もりが必要です(10月29日の案内)。1社だけで決めないほうが安全です
- 公募要領は後日…10月29日の案内でも公募要領は「後日公開」のままで、資料自体に「変更となる可能性があります」と書かれています。金額の大きい発注ほど、要領の公表を待つ判断が効きます
- 中堅小売事業者には別枠がある…経済産業省が「飲食料品消費税率の臨時的な引下げに関する対応について」で公表しています。対象は飲食料品を扱う小売業者で、常時使用する従業員2,000人以下、みなし大企業に該当せず、直近の自己資本比率が40%未満の中堅企業(中小企業を除く)です。POSレジシステム・基幹システム(受発注・請求書管理等)の改修費と役務費を補助率1/3・上限2,500万円/者で支援し、こちらも9月15日以降の着手を事後申請できる特例です。対象期間は2026年9月15日〜2027年3月、申請受付は2027年1月〜3月(いずれも調整中)。公募要領は後日掲載とされており、要件の最終確認はそれを待ってください
まだ決まっていないこと
- まだ法律にはなっていない…9月15日の閣議決定で案の段階は終わりましたが、大綱は政府の方針を定めた文書であって、法律ではありません。確定するのは関連法案が成立してからです。法案は10月9日に閣議決定・国会提出され、会期末は12月12日です。法案の中身は大綱どおりですが、国会審議で修正される可能性は残ります
- 給付の金額と対象の線引き…支給要件の考え方(所得下限額、逓増開始額、所得上限額、こども加算など)の枠組みは示されましたが、肝心の金額と所得の閾値はすべて「今後定める」で、数字は入っていません。10月9日の法案でも金額と所得の基準はすべて政令に任せる形になっており、法律が成立しても数字は政令が出るまで分かりません
- 財源の具体策…特例公債に頼らない方針は大綱でも維持されていますが、何を削るかは2027年度(令和9年度)予算編成過程で結論とされ、決まっていません
- レジ補助の公募要領…9月15日に補助率と上限額が出て、9月29日に予備費781億円で財源もつきましたが、公募要領は後日公表で、変更の可能性があると明記されています。対象になるのは事務局にあらかじめ登録された製品に限られ、その登録製品の一覧もこれからです。なお、大綱で全額国費とされている「システム改修等に要する経費」は給付を担う自治体側のもので、事業者向けの補助とは別の話です
- レジ以外の事業者支援…農林漁業者への給付、食品・外食事業者の資金繰り支援、税理士費用の支援は方向性が示されただけで、金額・要件はいずれも予算編成過程で具体化とされています
- 細かい取引の線引き…9月15日の国税庁Q&Aで、深夜の売上を前日分として締める場合、売り手と買い手で計上基準が違う場合、施行日後の返品などの扱いは示されました。それ以外の取引の扱いは、法案成立後の政省令・通達と、国税庁が随時追加するとしているQ&Aを待つことになります
事業者に起きること
- レジ・POSの改修…税率マスタ、商品マスタ、レシートの税率表示をすべて見直すことになります。2027年4月と2029年4月の2回必要になる想定です
- 会計ソフトの税率設定…仕訳の税区分に1%が加わります。クラウド会計なら提供側が対応しますが、税区分の選び直しは自社で行う必要があります
- 請求書・レシートの様式…適格請求書には税率ごとに区分した対価の額と消費税額等の記載が必要です。1%の区分が加わればテンプレートの改修が必要になります
- 帳簿の区分経理…税率ごとに区分して記帳する必要があります。区分が増えるほど、入力ミスと確認の手間が増えます
- 飲食店は差が広がる…店内飲食10%とテイクアウト1%で9ポイントの差になります。現行の10%と8%(2ポイント差)より、レジ操作の誤りが金額に響きます
- 簡易課税・2割特例の事業者も無関係ではない…大綱の特例で飲食料品分の納付税額は生じない扱いになりますが、それ以外の売上には現行どおり簡易課税が適用されます。売上の税率区分を正しく分けること自体は必要です
- 中間納付は選択で調整できる見込み…中間納付額は前課税期間の確定消費税額をもとに計算されるため、放っておくと実態より多く納めることになります。大綱では新税率で計算し直した金額で申告できる特例が示されました。自動では下がらず、こちらで選ぶ手続きになります
- 価格表示の見直し…総額表示の義務は維持されます。税込価格を変えるならメニュー・値札・カタログ・ECの表示を直すことになりますが、直ちに対応できない事情がある場合は前後 最大各2か月の猶予が用意される見込みです
今からできる準備
- 自社に飲食料品の取引があるか洗い出す…売上側だけでなく仕入側も見ます。会議用の茶菓子、来客用の飲料、贈答品なども軽減税率の対象です
- 使っているレジ・会計ソフトの対応方針を確認する…メーカーやベンダーがいつ、どう対応するかを早めに聞いておきます。問い合わせが集中する前に聞くほうが早いです
- 請求書テンプレートの構造を確認する…税率区分が増えたときに行を追加できるか、自作のExcelなら計算式が壊れないかを見ます
- 価格をどうするか決めておく…税込価格を下げるのか、税抜価格を上げて税込を据え置くのか。2年後に戻ることまで含めて方針を決めておきます
- 定期便・カタログ販売があるなら年内に設計を決める…経過措置の分かれ目は2027年1月1日です。定期供給契約や通信販売の条件提示をその前にするか後にするかで、適用税率が変わります
- 法律が成立するまで実務を固定しない…法案は国会に提出されましたが、成立はこれからです。国税庁のQ&Aも「法案が可決・成立した場合のもの」と断っています。細かい取引の取り扱いは法案成立後の政省令・通達で決まります
- レジは公募要領を見てから発注する…9月15日に事前着手制度が措置され、同日以降に行った導入・改修は後から申請できるようになりました。ただし対象は事務局に登録された製品に限られ、公募要領は後日公表で変更の可能性があるとされています。契約・納品・支払いの書類(仕様書、見積書、レシート等)は全部残し、支払いは振込かカード1回払いにして、GビズIDプライムも早めに取っておいてください
- 顧問税理士に予定を聞いておく…施行が近づくと相談が集中します。早めに話を通しておくと、施行直前に困りません
- 2年後を忘れない仕組みにする…2029年4月に8%へ戻る前提です。改修の予定をカレンダーやタスクに今のうちに置いておくと、2年後に慌てません
- 当社の視点…不動産仲介業では売上に飲食料品はありませんが、仕入側(来客用の飲料、贈答品、会議費)に軽減税率の取引があります。金額は小さくても、税区分の選択肢が増えれば入力ミスは増えます。3名の会社でも、経理担当が使う税区分の一覧を作り直す作業は発生します
2019年の軽減税率導入時も、直前まで対象範囲の細かい線引きが確定せず、現場が混乱しました。今回は引き下げ幅が7ポイントと大きく、しかも2年後に戻ります。9月15日の大綱の閣議決定で経過措置・総額表示・簡易課税の扱いは固まり、同じ日にレジ補助の枠組みも出ました。9月29日にはその財源となる予備費が決まり、10月9日に関連法案が国会に提出され、10月20日に衆院で審議入りしました。10月29日にはレジ補助の申請方法も示されています。残るのは法案の成立と、給付額の水準・農林漁業者等への支援の金額です。いまできるのは、影響範囲の洗い出しと、使っているシステムの対応方針の確認、定期便を扱うなら2027年1月1日という日付を意識した契約設計、そしてレジを更新するなら公募要領の確認までです。この記事は続報が出しだい更新します。
よくある質問
Q飲食料品の消費税1%はいつからですか
2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間です。2026年9月15日に閣議決定された大綱にこの期間が明記されました。2026年10月9日には関連法案が閣議決定され、同日に臨時国会(会期は12月12日まで)へ提出されました。法案でも施行日は2027年4月1日です。ただし法律として確定するのは国会で成立してからです。
Q税率1%の内訳はどうなっていますか
大綱では、消費税(国税)の税率を0.78%とする特例を設け、地方消費税0.22%相当分と合わせて1%とされています。適格請求書の「適用税率」欄にはこの特例税率を、「消費税額等」欄には特例税率にもとづく金額を記載することになります。
Qなぜゼロではなく1%なのですか
ゼロ税率にするとレジや会計システムの改修に約1年かかるのに対し、1%なら半年程度で対応できるとされたためです。2027年4月開始という時期から逆算した数字です。
Q新聞も1%になりますか
なりません。大綱で、週2回以上発行される新聞の定期購読分は今回の引き下げの対象外と明記されました。8%のまま残るため、2027年4月からは10%・8%・1%の3区分になります。
Q外食も1%になりますか
なりません。1%の対象は現行の軽減税率が適用されている飲食料品で、範囲は8%のときから変更なしとされています。外食と酒類は10%のままです。店内飲食10%とテイクアウト1%で9ポイントの差になります。
Q施行日をまたぐ取引の経過措置はありますか
大綱で2つ示されました。2027年1月1日前に締結した定期供給契約にもとづき同年4月1日前に代金を受け取っている分と、通信販売で2027年1月1日前に販売条件を提示し同年4月1日前に申込みを受けた分は、1%の対象から除外され8%のままとなります。国税庁のQ&Aでは、この扱いは選択できず、1%を前提に契約している場合や契約を変更した場合は1%になると説明されています。
Q事業者は何を準備すればよいですか
飲食料品の取引が売上・仕入にあるかの洗い出し、レジと会計ソフトの対応方針の確認、請求書テンプレートの構造確認までです。レジについては2026年9月15日に中小企業庁が事前着手制度を公表し、同日以降に行った導入・改修を後から補助金に申請できるようになりました。9月29日には政府がこの支援などに充てる予備費781億円の使用を閣議決定し、予算の裏付けもつきました。10月29日の事務局案内では、申請は2027年1月中旬から事業者が単独で行い、GビズIDプライムが必要で、支払いは銀行振込かクレジットカードの1回払いに限るとされています。ただし公募要領は後日公表で、対象は事務局にあらかじめ登録された製品に限られるため、発注前に要領を確認してください。
まとめ
① 飲食料品を2027年4月1日から2029年3月31日まで、8%→1%とする大綱が2026年9月15日に閣議決定(8月5日の基本方針、9月8日の案、9月11日の修正版を経た確定版)。
② 外食・酒類は対象外。新聞(週2回以上発行の定期購読分)も対象外で8%のままと明記され、10%・8%・1%の3区分になる。
③ 大綱で予約販売・通信販売の経過措置、総額表示の前後 最大各2か月の猶予、簡易課税・中間申告・届出の特例が示された。
④ 同じ9月15日に中小企業庁がレジの導入・改修を補助する事前着手制度を公表(同日以降の発注も対象、上限350万円・補助率は最大4/5。中堅小売は経産省の別枠で上限2,500万円・1/3)。9月29日に予備費1,119億円(レジ支援781億円)を閣議決定し財源は確保。10月29日に申請方法(2027年1月中旬から単独申請・GビズIDプライム必須・支払いは振込かカード1回払い)が示された。ただし公募要領は後日で、給付額の水準・財源の具体策・農林漁業者等への支援の金額と要件は未定。
⑤事業者はレジ・会計ソフト・請求書の改修。2029年4月に戻るため2回必要。
⑥ 今できるのは影響範囲の洗い出しとベンダーへの確認、定期便があれば2027年1月1日を意識した契約設計まで。レジは公募要領を確認してから発注する。
⑦ 減税は2029年度に本格導入する給付(就業者負担軽減支援金)までの「つなぎ」という位置づけ。
⑧ 10月9日に関連法案を閣議決定し、臨時国会に提出(会期12月12日まで)。10月20日に衆院で審議入りし財務金融委員会に付託。施行日は2027年4月1日。給付の金額と所得基準は政令に委ねられ、成立はこれから。
この記事は2026年10月30日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。