労働者死傷病報告。2025年1月から電子申請が義務になりました
労働者死傷病報告は、労働災害などで労働者が死亡または休業した場合に、労働基準監督署へ提出する報告です。令和7年(2025年)1月1日以降に報告受付となる分から、電子申請による報告が義務付けられました。ただし電子申請が困難な場合は、当面の間、書面による申請も認められています。
報告は休業4日以上(死亡を含む)と休業4日未満の2種類で、期限がまったく違います。あわせて報告事項も5項目が改正され、自由記入だった箇所がプルダウン選択やコード入力に変わりました。
2種類あって期限が違う
| 区分 | 報告期限 | 報告事項の違い |
|---|---|---|
| 休業4日以上(死亡を含む) | 労働災害により死亡し、または休業したとき遅滞なく | 休業見込期間または死亡日時 |
| 休業4日未満 | 1〜3月/4〜6月/7〜9月/10〜12月の期間ごとに、それぞれの期間における最後の月の翌月末日まで | 休業日数(1〜3日) |
- 厚生労働省の例…4月4日に労働災害が発生した場合、休業4日未満なら7月31日までに報告します(4〜6月期の最後の月=6月の翌月末日)
- 「遅滞なく」に日数の定めはない…休業4日以上の場合、具体的な日数は示されていません。事実を把握したらすぐと考えてください
- 判定の順番…①業務上の災害(労働安全衛生規則97条に定める労働災害等)か ②死亡災害か ③休業または休業見込みが4日以上か。いずれにも当たらなければ報告は不要です
- 労災保険の給付請求とは別…労災の保険給付を請求する手続きと、この報告は別々です。給付を請求したから報告も済んだ、ということにはなりません
- 4日未満は忘れやすい…四半期ごとにまとめて出すため、発生時に処理が完結しません。四半期の締めのタスクに入れておく必要があります
電子申請の義務化
- 2025年1月1日以降の報告受付分から義務…令和6年12月31日以前に発生した労働災害についても、1月1日以降の報告受付分から適用されます
- 帳票入力支援サービスを使う…厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」で作成します
- e-GovアカウントかGビズIDが要る…e-Govに連携して電子申請するため、事前に取得が必要です。MicrosoftやGoogleのアカウントでもログインできます
- スマートフォンからも報告できる…パソコンだけでなくスマホからも入力・申請が可能です
- 困難な場合は書面も可…電子申請が困難な場合は、当面の間、書面による申請が認められています
- GビズIDは取得に日数がかかる…労災が起きてから取得を始めると間に合いません。補助金申請などでも使うので、先に取っておくのが実務です
- 「当面の間」は永続ではない…書面が認められるのは経過的な扱いです。電子申請の環境を整えておくのが安全です
報告事項の5つの改正
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| ①事業の種類 | 日本標準産業分類に基づいた細分類コード(4桁)または大分類から細分類までの業種を選択 |
| ②被災者の職種 | 日本標準職業分類に基づいた小分類コード(3桁)または大分類から小分類までの職種を選択 |
| ③傷病名及び傷病部位 | プルダウン選択で対応するコードが反映される |
| ④災害発生状況及び原因 | 5段構成による記入方法に変更 |
| ⑤国籍・地域及び在留資格 | プルダウン選択で対応するコードが反映される |
- ねらいは分類の統一…旧様式で手入力(自由記入可)だった箇所をプルダウン選択やコード入力にして、分類の斉一を図るという趣旨です
- 災害発生状況は5段構成…記載方法の問い合わせが多かったため、原因等の把握につなげやすくする目的で変更されました
- 入力支援サービスがコードを補完する…コードを暗記する必要はありません。プルダウンで選ぶと対応するコードが自動で入ります
- 外国人を雇用しているなら⑤に注意…国籍・地域と在留資格の欄が正式な報告事項になっています
出さないとどうなるか
- 報告しないことは「労災かくし」になりうる…労働安全衛生法に基づく報告義務であり、故意に報告しない、虚偽の報告をすることは犯罪として扱われます。書類送検の事例が公表されています
- 4日未満だから報告不要ではない…休業1〜3日でも四半期ごとの報告が必要です。「軽いから出さなくていい」は誤りです
- 健康保険で処理してはいけない…業務上のけがを健康保険で治療すると、労災の隠蔽とみなされる可能性があります。業務上か通勤中かの判断は最初に確定させてください
- 当社の視点…3名の会社でも、事務所内での転倒や外出先での事故は起こります。起きてからGビズIDを取ると間に合わないので、先に取得しておくのが現実的な備えです。四半期ごとの報告(休業4日未満)は、決算や納税と違ってカレンダーに載りにくいので、四半期末のチェックリストに1行入れておくとよいです
労働者死傷病報告でつまずくのは、休業4日以上と4日未満で期限がまったく違うこと、そして4日未満のほうが忘れられやすいことです。加えて2025年1月から電子申請が義務化され、GビズIDやe-Govアカウントの準備が前提になりました。労災が起きてから慌てないよう、アカウントだけは先に用意しておいてください。
よくある質問
Qいつから電子申請が義務になりましたか
令和7年(2025年)1月1日以降に報告受付となる労働者死傷病報告からです。令和6年12月31日以前に発生した労働災害でも、1月1日以降の報告受付分から適用されます。電子申請が困難な場合は当面の間、書面も認められます。
Q報告の期限はいつですか
休業4日以上(死亡を含む)は遅滞なく報告します。休業4日未満は、1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の期間ごとに、それぞれの期間における最後の月の翌月末日までです。
Q休業が1日でも報告は必要ですか
必要です。休業4日未満として、四半期ごとの報告の対象になります。
Q報告に何が必要ですか
厚生労働省の帳票入力支援サービスを使い、e-GovアカウントまたはGビズIDでログインして電子申請します。MicrosoftやGoogleのアカウントでもログインできます。
まとめ
① 2025年1月1日以降の報告受付分から電子申請が義務(困難な場合は当面の間、書面も可)。
② 休業4日以上は遅滞なく、4日未満は四半期ごとに最後の月の翌月末日まで。
③ 報告事項が5項目改正。災害発生状況は5段構成に。
④ e-GovアカウントかGビズIDが前提。起きてから取ると間に合わない。
⑤ 報告しないと労災かくしになりうる。休業1〜3日でも報告は要る。
この記事は2026年8月1日時点の法令・公開情報に基づいています。制度は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。