蛍光灯の製造禁止。2027年末までに全種類が製造・輸出入できなくなります
蛍光灯が買えなくなります。水銀に関する水俣条約の第5回締約国会議で、一般照明用の蛍光ランプの製造および輸出入を2025年末から2027年末までに段階的に廃止することが合意されました。
誤解されやすいのですが、これは製造・輸出入の禁止であって、使用の禁止ではありません。手持ちの在庫は使い切れます。問題は切れたときに替えのランプが手に入らなくなることです。オフィスや店舗の照明をいつLEDに替えるか、その計画を立てる話になります。
いつ何が禁止されるのか
| 種類 | 禁止の時期 |
|---|---|
| 安定器内蔵型コンパクト形蛍光ランプ(電球形蛍光ランプ) | 2025年末 |
| 一般照明用の直管・非直管蛍光ランプ(三波長形の蛍光体を用いたもの) | 2027年末 |
| その他の一般照明用蛍光ランプ | 2026年1月以降、種類ごとに段階的 |
- 2027年末で全種類が対象になる…すべての一般照明用の蛍光灯について、製造および輸出入が禁止されます
- 種類によって時期が違う…電球形は2025年末で既に禁止、直管の三波長形は2027年末です。使っている器具の種類を確認する必要があります
- 根拠は水俣条約…水銀による健康被害と環境汚染を防ぐ国際条約です。蛍光ランプには水銀が含まれています
- 日本は条約の締約国…国内では水銀汚染防止法などにより担保されます
- 製造終了は前倒しになることもある…メーカーが条約の期限より早く生産を終える製品もあります。「2027年まで大丈夫」ではありません
使用は禁止されない
- 持っているものは使える…禁止されるのは製造と輸出入です。既に設置されている器具や、手元の在庫を使うことは規制されていません
- 買えなくなるのが実質的な影響…市場から在庫が消えれば、切れた時点で交換できなくなります
- 器具の寿命も考える…蛍光灯器具本体(安定器)には設計上の寿命があり、メーカーは概ね10年程度での交換を推奨しています。古い器具は発煙・発火のリスクがあります
- 在庫の買い置きには限度がある…蛍光ランプにも保管による劣化があります。大量の買い置きは解決になりません
- 廃棄は適正処理が必要…水銀を含むため、事業所から出るものは産業廃棄物として処理します。一般ごみには出せません
LED化の判断
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 器具ごと交換(LED照明器具) | 最も確実。電気工事が必要 |
| 直管LEDランプに交換(工事あり) | 既存器具の安定器をバイパスする工事を行う |
| 直管LEDランプに交換(工事不要タイプ) | 既存の安定器をそのまま使う。適合の確認が必要 |
- 器具ごと交換が推奨される…安定器の寿命、施工の安全性、明るさの確保の点で確実です。電気工事士による工事が必要になります
- ランプだけ替える場合は適合確認が要る…既存の安定器とLEDランプの組合せによっては、発煙・発火のおそれがあります。メーカーの指定を確認します
- 電気代は下がる…LEDは蛍光灯より消費電力が小さく、寿命も長いのが一般的です。交換費用を電気代の削減で回収するという計算になります
- 補助金が使える場合がある…省エネ関連の補助金でLED化が対象になることがあります。省力化投資補助金や自治体の制度を確認する価値があります
- 減価償却の扱い…器具ごと交換すれば資本的支出として資産計上、ランプのみの交換なら修繕費として処理するのが一般的な整理です
賃貸物件での論点
- 誰が費用を負担するのか…オフィスや店舗を借りている場合、照明器具が貸主の設備か、借主が設置したものかで判断が変わります
- 建物に付属する設備なら貸主負担が原則…賃貸借契約における修繕義務の考え方によります。ただし契約書に特約があればそれに従います
- ランプの交換は借主負担とする契約が多い…消耗品の扱いです。器具ごとの交換となると話が変わります
- 原状回復との関係…借主がLED器具に交換した場合、退去時に元に戻す義務があるか。造作買取請求権を排除する特約があれば、撤去して原状回復することになります
- 入居前に協議しておく…2027年末に向けて交換の必要が生じることは分かっています。誰が負担するかを契約時または早い段階で決めておくと、後の紛争を避けられます
- 当社の視点…賃貸管理をしていると、照明の交換費用の負担は必ず論点になります。貸主の設備であれば貸主負担が原則ですが、実務では契約書の特約と、これまでの慣行で判断されます。2027年末という期限が決まった以上、管理物件では計画的な更新を検討する時期に入っています
蛍光灯の製造禁止は「使えなくなる」ではなく「買えなくなる」規制です。しかし切れれば交換が必要になるため、実質的には期限のある話です。2027年末という期限が決まっているので、オフィスや店舗の照明については、それまでにLED化する計画を立てておく必要があります。
よくある質問
Q蛍光灯はいつから使えなくなりますか
使用は禁止されません。禁止されるのは製造と輸出入で、一般照明用の蛍光ランプは2027年末までに段階的に廃止されます。手持ちの在庫は使い切れます。
Q種類によって時期が違いますか
違います。安定器内蔵型コンパクト形蛍光ランプ(電球形)は2025年末、一般照明用の直管・非直管の三波長形は2027年末です。
QLEDランプに替えるだけでよいですか
既存の安定器との組合せによっては発煙・発火のおそれがあります。メーカーの指定を確認し、器具ごと交換するのが確実です。
Q賃貸オフィスでは誰が負担しますか
照明器具が貸主の設備か借主が設置したものかで判断が変わります。ランプの交換は借主負担とする契約が多い一方、器具ごとの交換は別の判断になります。契約書の特約を確認します。
まとめ
① 水俣条約により2027年末までに一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入が禁止される。
② 電球形は2025年末、直管の三波長形は2027年末と種類で時期が違う。
③ 使用は禁止されない。手持ちの在庫は使えるが、切れたら替えが手に入らない。
④ LED化は器具ごと交換が確実。ランプのみの交換は安定器との適合確認が要る。
⑤ 賃貸では誰が費用を負担するかが論点。契約書の特約を確認し早めに協議する。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。