慶弔見舞金。規程がないと給与として課税されることがあります
結婚祝金、出産祝金、香典、傷病見舞金といった慶弔見舞金は、社会通念上相当と認められる金額であれば福利厚生費として損金になり、受け取る従業員側も課税されません。
ただし条件があります。①一定の基準(規程)に従って支給されていること ②金額が社会通念上相当であること。規程がなく、その時々の判断で支給していると、給与として課税される可能性があります。金額に法定の基準はないため、規程と支給実績の一貫性が唯一の根拠になります。
非課税になる条件
- 規程に基づいて支給していること…慶弔見舞金規程を作り、支給事由と金額を定めます。「社長の判断で都度決める」形は給与認定のリスクがあります
- 全従業員を対象にしていること…特定の役員や一部の従業員だけを対象にすると、福利厚生費ではなく給与や交際費と判断されます
- 金額が社会通念上相当であること…同業他社や一般的な水準と比べて著しく高額でないことです。法定の上限はありません
- 実際に慶弔の事実があること…形式的な支給ではなく、結婚・出産・死亡・傷病といった事実に基づくものであることが前提です
金額の目安
| 区分 | 一般的な水準 |
|---|---|
| 結婚祝金 | 勤続年数に応じて1万円〜5万円程度 |
| 出産祝金 | 1万円〜3万円程度 |
| 死亡弔慰金(本人) | 勤続年数や業務上・業務外で区分するのが通常 |
| 死亡弔慰金(家族) | 配偶者・父母・子で区分し1万円〜5万円程度 |
| 傷病見舞金 | 休業日数に応じて1万円〜5万円程度 |
| 災害見舞金 | 被害の程度に応じて区分 |
- この表は法定の基準ではない…あくまで規程を作るときの参考です。業種や規模によって妥当な水準は変わります
- 役職で差を設けるのは可能…役職や勤続年数で金額に差を設けることは認められます。ただし役員だけ極端に高額だと否認の対象になります
- 高額すぎると給与認定される…社会通念を超える部分は給与として課税されます。全額が否認されるのではなく、相当部分を超える金額が対象です
- 業務上の死亡は別枠…業務上の死亡による弔慰金は、賞与以外の給与の3年分に相当する金額まで非課税とされる取扱いがあります(業務外は半年分)
規程の作り方
- 支給事由を列挙する…結婚、出産、本人・家族の死亡、傷病、災害など。それぞれの定義(家族の範囲など)も定めます
- 金額を定める…勤続年数や続柄で区分します。「◯万円以内」ではなく確定額で書くほうが基準として明確です
- 支給の手続きを定める…誰が申請し、何を添付し、いつ支給するか。婚姻届の写しや会葬礼状などの確認書類を定めておきます
- 就業規則の一部として届け出る…常時10人以上の事業場では、就業規則の附属規程として労働基準監督署に届け出ます
役員・取引先・退職者の扱い
- 役員も規程の対象にできる…全役員・全従業員を対象とする規程であれば、役員への支給も福利厚生費です。役員だけを対象とする規程は役員給与と判断されます
- 取引先への香典は交際費…社外の関係者への慶弔費は交際費です。福利厚生費ではありません。1人1万円以下の飲食費の特例とは別枠で、金額にかかわらず交際費になります
- 退職者への支給は個別判断…在職中の事由に基づく支給なら福利厚生費として扱える場合がありますが、退職後の慶弔は対象外とするのが通常です
- 領収書がなくても支出の証明を残す…香典は領収書が出ません。会葬礼状、支出伺い、規程の写しをセットで保管すれば証明になります
- 源泉徴収は不要…非課税となる慶弔見舞金には源泉徴収の必要がありません。給与認定される部分があれば、その分は源泉徴収の対象です
当社は3名の会社ですが、慶弔見舞金規程は作ってあります。金額の多寡より「基準が先にあって、それに従って支給している」という形を残すことが目的です。人数が少ない会社ほど、社長の裁量で決めているように見えやすいためです。
よくある質問
Q慶弔見舞金に規程は必須ですか
法律上の義務はありませんが、規程がないと支給基準が不明確になり、給与として課税されるリスクが高まります。福利厚生費として処理するなら規程の整備が実質的な要件です。
Q金額の上限は決まっていますか
法定の上限はありません。社会通念上相当と認められる範囲であることが基準です。業務上の死亡による弔慰金には、給与の3年分(業務外は半年分)までという取扱いがあります。
Q取引先への香典は福利厚生費になりますか
なりません。社外の関係者への慶弔費は交際費です。金額にかかわらず交際費として処理します。
Q香典は領収書がないので経費にできませんか
できます。会葬礼状、支出伺い、規程の写しなどで支出の事実と金額を証明します。領収書がない支出でも、証拠を揃えれば損金になります。
まとめ
① 非課税の条件は①規程に基づく支給 ②社会通念上相当な金額 ③全従業員が対象。
② 金額に法定の基準はない。規程と支給実績の一貫性が唯一の根拠。
③ 業務上の死亡による弔慰金は給与の3年分(業務外は半年分)までという取扱いがある。
④ 役員だけを対象とする規程は役員給与。取引先への香典は交際費。
⑤ 香典は領収書が出ないので、会葬礼状+支出伺い+規程で証明を残す。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。