被扶養者(異動)届。提出期限は5日以内です
健康保険の被扶養者(異動)届は、事実が発生してから5日以内に提出します。結婚、出産、家族の退職、逆に扶養から外れる場合も同じ届出です。
収入の条件は年間130万円未満(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者は180万円未満)。ただし金額だけでは決まりません。同居なら被保険者の年収の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額より少ないことが条件に加わります。この「半分未満」の条件を知らずに、130万円だけで判断して差し戻されるのが実務でいちばん多いつまずきです。
いつ出すのか
| 場面 | 区分 | 期限 |
|---|---|---|
| 結婚して配偶者を扶養に入れる | 増 | 事実発生から5日以内 |
| 子が生まれた | 増 | 同 |
| 親を扶養に入れる | 増 | 同 |
| 配偶者が就職して扶養から外れる | 減 | 同(忘れやすい) |
| 子が就職した・収入が130万円を超えた | 減 | 同 |
| 被扶養者の氏名・住所が変わった | 変更 | 速やかに |
- 「減」の届出を忘れると後で精算になる…扶養から外れた家族が保険証を使い続けると、その医療費は後から返還を求められます。増やす手続きより、外す手続きのほうが放置されがちです
- 入社時は資格取得届と同時に出す…新入社員に扶養家族がいれば、健康保険・厚生年金の資格取得届と一緒に提出します。別々に出す必要はありません
- 提出先は加入している保険者…協会けんぽなら事務センターまたは年金事務所、健康保険組合なら各組合です。組合は独自の様式や添付書類を求めることがあるので、最初に確認します
- 電子申請できる…e-Govやマイナポータルの届書作成プログラムから電子申請が可能です。3名程度の会社でも、紙で郵送するより控えの管理が楽になります
収入の条件は3段階
- 年間収入130万円未満…60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者は180万円未満です。「年間」は過去の実績ではなく将来に向かっての1年間の見込みで判断します
- 同居の場合=被保険者の年収の半分未満…130万円未満であっても、被保険者の年収の半分以上あると原則として扶養に入れません。ただし世帯の生計の状況を考慮して認められる場合があります
- 別居の場合=被保険者からの仕送り額より少ない…別居の親を扶養に入れるときにここが問われます。仕送りの事実を通帳の写しなどで示す必要があるのが通例です
- 収入に含まれるもの…給与、年金、失業給付、傷病手当金、不動産収入など、継続的に入るものが対象です。失業給付や年金も「収入」として数えます。この点は税法上の扶養(合計所得金額で判断)と扱いが違います
- 130万円は月額に直すと約10.8万円…月々の収入が108,333円を超える状態が続くと、見込みで年130万円を超えると判断されます。「年末にまとめて調整する」という考え方が通用しないのはここです
- 税法上の扶養とは別の制度…所得税の配偶者控除・扶養控除は合計所得金額で判定し、社会保険の被扶養者は収入の見込みで判定します。年末調整の扶養と健康保険の扶養は別に管理する必要があります
- 三親等内の親族という範囲…配偶者・子・孫・兄弟姉妹・直系尊属は同居していなくても対象になり得ますが、それ以外の三親等内の親族は同居が条件です
添付書類
- 続柄の確認書類…戸籍謄本や住民票の写しです。被保険者と被扶養者双方のマイナンバーを届書に記載し、事業主が続柄を確認した旨を記載すれば省略できるのが原則です
- 収入の確認書類…課税証明書、退職証明書、雇用保険の離職票、年金の振込通知書など、状況に応じたものです。無収入であることの証明が必要な場面もあります
- 別居なら仕送りの証明…振込明細や通帳の写しです。現金で渡している場合は証明が難しく、認定されないことがあります
- 組合健保は独自要件がある…協会けんぽより厳しい添付書類を求める組合もあります。年収の確認を毎年行う組合もあり、扶養の再確認(検認)で外れることがあります
遅れたときに何が起きるか
- 保険証が届かず、医療費が一時全額負担になる…届出が遅れれば認定も遅れます。その間に受診すると窓口で全額(10割)払い、後から療養費の請求をすることになります。従業員に直接迷惑がかかる部分です
- 認定日は原則として事実発生日…5日を過ぎても、事実発生日にさかのぼって認定されるのが原則です。ただし遅れた理由の説明を求められたり、認定日が提出日になる場合もあります
- 「減」の遅れは返還請求になる…扶養を外すべき人が保険証を使っていた場合、保険者が負担した医療費の返還を求められます。金額が大きくなりやすいので、就職や収入増を把握したら即座に手続きします
- 年1回の検認で確認される…多くの保険者が扶養の再確認を実施します。ここで要件を満たさないことが分かると、遡って扶養を外されることがあります
当社は3名の会社なので扶養の異動は年に数件ですが、それでも「配偶者が就職したのに届出していなかった」という事例は起こり得ます。入社時と年末調整の時期に扶養の状況を確認する運用にしておくと、検認で慌てずに済みます。
よくある質問
Q130万円を超えそうな場合、いつ扶養を外しますか
見込みで判断するため、月々の収入が108,333円を超える状態が続くと分かった時点で外します。実際に年収が130万円に達するまで待つのではありません。保険者によって判断が分かれる部分なので、迷ったら加入している保険者に確認するのが確実です。
Q夫婦どちらの扶養に入れるべきですか
原則として年間収入が多い方の被扶養者になります。共働きで収入が同程度の場合、届出により主として生計を維持する方の被扶養者とする扱いです。健康保険組合ごとに運用があるため、双方の保険者に確認します。
Qマイナンバーを書けば戸籍謄本は不要ですか
被保険者と被扶養者双方のマイナンバーを記載し、事業主が続柄を確認した旨を届書に記載すれば、続柄の確認書類は原則省略できます。ただし健康保険組合が独自に書類を求めることがあります。
Q国民健康保険から切り替える場合の手続きは
被扶養者として認定された後、市区町村で国民健康保険の脱退手続きが必要です。会社側の手続きだけでは国保は止まらないため、従業員に案内しないと二重に保険料を払うことになります。
まとめ
① 提出期限は事実発生から5日以内。増やすときも外すときも同じ届出。
② 収入要件は年130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)。同居なら被保険者の年収の半分未満、別居なら仕送り額より少ないことも条件。
③ 収入には失業給付や年金も含む。税法上の扶養(合計所得金額で判定)とは別の制度。
④ マイナンバー記載+事業主の続柄確認で、続柄の確認書類は原則省略できる。
⑤ 「減」の届出漏れは医療費の返還請求になる。外す手続きのほうが忘れやすい。
この記事は2026年7月30日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。