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変形労働時間制のほんとうのところ 平均するだけ。 残業代は消えない。 要件を欠けば通常の労働時間制として割増賃金が発生します 1年単位の1日の上限 10時間 1週52時間・年間労働日数280日が上限

変形労働時間制。3種類あって、残業代が消えるわけではありません

結論

変形労働時間制は、一定期間の労働時間を平均して週40時間以内に収めることで、特定の日や週に法定労働時間を超えて働かせても割増賃金が発生しないという制度です。繁閑の差が大きい業種で使われます。

誤解されやすいのは「導入すれば残業代を払わなくてよくなる」という理解です。変形労働時間制は残業代をなくす制度ではありません。あらかじめ定めた所定労働時間を超えて働かせれば割増賃金が必要で、就業規則の定めや労使協定・届出といった要件を欠けば、そもそも変形制が無効になり通常の労働時間制として計算されます。無効になれば繁忙期に働かせた時間すべてが時間外労働です。

3種類とフレックス

変形労働時間制の種類(2026年7月30日時点・労働基準法および厚生労働省の公表内容)
種類根拠期間向いている場面
1か月単位労基法32条の21か月以内月末月初が忙しい/月内で繁閑がある
1年単位労基法32条の41か月超1年以内季節で繁閑がある(繁忙期と閑散期が読める)
1週間単位労基法32条の51週間常時30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店
フレックスタイム制労基法32条の3清算期間は3か月以内始業終業を従業員に委ねたい

1年単位の上限

導入の要件

  1. 制度を選ぶ…繁閑のパターンが月内なら1か月単位、季節なら1年単位です。読めない繁忙は変形制では対応できません(36協定と割増賃金で対応します)
  2. 就業規則または労使協定で定める…対象労働者の範囲、対象期間、各日・各週の労働時間、起算日などを定めます。1年単位は労使協定が必須です
  3. 各日の労働時間をあらかじめ特定する…ここが最重要です。変形労働時間制は「後から調整する」制度ではなく、期間の開始前に各日の所定労働時間を決めておく制度です。カレンダーを作って周知します
  4. 労働基準監督署に届け出る…1年単位と、清算期間が1か月を超えるフレックスは届出が必要です。1か月単位も労使協定で導入する場合は届出します

無効になる場合と残業代の計算

当社は不動産の仲介・管理業で、土日に内見が集中し平日が比較的静かという繁閑があります。それでも変形労働時間制は導入していません。理由は「各日の労働時間を事前に特定する」という要件が、飛び込みの来店や急な内見依頼が入る業態と噛み合わないからです。制度として使えるかは、繁閑が読めるかどうかで決まります。

よくある質問

Q変形労働時間制にすれば残業代を払わなくてよくなりますか

なりません。あらかじめ定めた所定労働時間を超えれば割増賃金が必要です。また要件を欠けば制度自体が無効になり、通常の労働時間制として計算されるため、かえって残業代が増えます。

Q1か月単位の変形労働時間制は届出が必要ですか

就業規則で導入する場合、常時10人以上の事業場は就業規則の届出として提出します。労使協定で導入する場合は協定の届出が必要です。1年単位は必ず届出が必要です。

Qシフトを月の途中で変更してもよいですか

原則として認められません。各日の労働時間をあらかじめ特定することが要件だからです。やむを得ない変更に備えるなら、就業規則に変更の事由と手続きを具体的に定めておく必要があります。

Qフレックスタイム制と変形労働時間制は何が違いますか

変形労働時間制は会社が各日の労働時間を決める制度、フレックスタイム制は始業・終業時刻を労働者が決める制度です。フレックスも清算期間の総労働時間を平均して週40時間以内に収める点は共通しています。

まとめ

この記事の要点

① 3種類(1か月単位・1年単位・1週間単位)とフレックスタイム制がある。共通点は平均して週40時間以内
② 1年単位は1日10時間・1週52時間・年間280日・連続6日が上限で、労使協定と届出が必須。
③ 最重要の要件は各日の労働時間を期間の開始前に特定すること。後から調整する制度ではない。
④ 要件を欠けば制度が無効になり、通常の労働時間制として残業代が発生する。
⑤ 変形制でも所定を超えれば割増賃金が必要で、36協定も別途必要。

この記事は2026年7月30日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。

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