用途変更の建築確認。特殊建築物にする場合、200㎡超で必要です
テナントの用途を変えるとき、建築確認が必要になる場合があります。基準は建築基準法87条。建築物の用途を変更して特殊建築物(法6条1項1号に掲げるもの)にする場合で、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超えるときです。
ここでのポイントは2つ。①「特殊建築物にする場合」=事務所は特殊建築物ではないため、飲食店を事務所にする場合は確認不要です。逆に事務所を飲食店にする場合は該当します。②200㎡=2019年6月の改正で100㎡から緩和されました。ただし確認が不要でも建築基準法の規定は適用されます。
確認が必要になる条件
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 特殊建築物にすること | 飲食店、物販店、ホテル、共同住宅、児童福祉施設等 |
| 床面積 | その用途に供する部分が200㎡超 |
| 除外 | 類似の用途相互間の変更 |
- 事務所・銀行・事務室は特殊建築物ではない…飲食店 → 事務所という変更なら、面積にかかわらず確認は不要です
- 逆は必要になり得る…事務所 → 飲食店で200㎡を超えれば確認申請が必要です
- 200㎡は「その用途に供する部分」で判定…建物全体ではなく、変更する部分の床面積です
- 2019年6月25日の改正で緩和…従来は100㎡超で確認が必要でしたが、200㎡超に引き上げられました。小規模な用途変更の負担軽減が目的です
- 確認申請には建築士が関与する…既存図面の整理、法適合の確認が必要になるため、専門家に依頼するのが通常です
類似の用途は不要
| グループ | 例 |
|---|---|
| 劇場・映画館・演芸場 | 相互間の変更は確認不要 |
| 公会堂・集会場 | 相互間 |
| 診療所(患者の収容施設があるもの)・児童福祉施設等 | 相互間 |
| ホテル・旅館 | 相互間 |
| 下宿・寄宿舎 | 相互間 |
| 博物館・美術館・図書館 | 相互間 |
| 体育館・ボーリング場・スケート場・水泳場等 | 相互間 |
| 百貨店・マーケット・その他の物品販売業を営む店舗 | 相互間 |
- 同じグループ内なら確認不要…ホテルを旅館にする、美術館を図書館にするといった変更です
- ただし用途地域の制限は別…確認が不要でも、その用途地域で営めるかどうかは別に確認します
- 飲食店と物販店は別グループ…物品販売業を営む店舗のグループに飲食店は含まれていません。物販店 → 飲食店は類似の用途にあたりません
- グループの適用に制限がある場合…用途地域によっては類似の用途とされない場合があります
確認以外の規制
- 確認不要=何もしなくてよい、ではない…建築確認が不要な場合でも、建築基準法の実体規定は適用されます。防火区画、内装制限、避難施設、採光・換気などです
- 消防法の規制が変わる…用途が変われば消防用設備等の設置基準も変わります。消防署への相談が必要です
- 用途地域の制限…都市計画法により、地域ごとに建てられる用途が定められています。第一種低層住居専用地域では事務所や店舗に大きな制限があります
- 食品衛生法などの営業許可…飲食店にするなら保健所の営業許可、深夜酒類提供飲食店なら警察署への届出が必要です
- 賃貸借契約上の用途制限…契約書で用途が限定されていれば、貸主の承諾が必要です。無断で変更すれば契約違反になります
検査済証がない建物
- 古い建物では検査済証がないことがある…完了検査を受けていない建物では、用途変更の確認申請が受理されないことがあります
- 法適合状況調査という手段…国土交通省のガイドラインに基づき、指定確認検査機関等が既存建物の法適合状況を調査する制度があります。調査報告書をもって確認申請を行える場合があります
- 費用と期間がかかる…調査には数十万円以上、期間も数か月かかることがあります
- 既存不適格の扱い…建築時には適法だったが現行法に適合しない建物は既存不適格として扱われます。用途変更に伴い、一部の規定については現行法への適合が求められることがあります
- 当社の視点…テナント物件の仲介では、入居希望者の業種によって用途変更が必要になるかが契約の可否を左右します。事務所ビルの一室で飲食店を開きたいという相談は実際にあり、200㎡以下でも消防や用途地域の制限で不可となることがあります。契約前に確認すべき事項です
用途変更は「200㎡を超えなければ何もいらない」と誤解されがちですが、確認申請が不要になるだけです。消防法、用途地域、営業許可、契約上の用途制限はそれぞれ別に確認する必要があります。テナントを借りる側も貸す側も、業種が決まった段階で調べるべき事項です。
よくある質問
Q用途変更の建築確認はいつ必要ですか
建築物の用途を変更して特殊建築物にする場合で、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超えるときです。2019年6月に100㎡から緩和されました。
Q飲食店を事務所にする場合も確認が必要ですか
不要です。事務所は特殊建築物ではないため、面積にかかわらず用途変更の確認は必要ありません。
Q200㎡以下なら何もしなくてよいですか
建築確認が不要になるだけです。建築基準法の実体規定、消防法、用途地域の制限、営業許可、賃貸借契約上の用途制限はそれぞれ別に確認が必要です。
Q検査済証がない建物でも用途変更できますか
確認申請が受理されないことがあります。指定確認検査機関等による法適合状況調査を受け、報告書をもって申請する方法がありますが、費用と期間がかかります。
まとめ
① 特殊建築物にする場合で200㎡超のとき建築確認が必要(2019年6月に100㎡から緩和)。
② 事務所は特殊建築物ではない。飲食店→事務所は確認不要、事務所→飲食店は該当し得る。
③ 類似の用途相互間(ホテル↔旅館など)は確認不要。
④ 確認が不要でも建築基準法の実体規定・消防法・用途地域・営業許可は別に適用される。
⑤ 検査済証がないと申請が受理されないことがある。法適合状況調査という手段がある。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。