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立ち退き料の相場 家賃6〜12ヶ月分 +引越し実費が実務の目安 貸主都合の退去依頼で発生する「交渉の産物」です 絶対にやってはいけないこと 自分から退去 申し出た瞬間に立ち退き料はゼロになります

立ち退き料の相場。貸主側は「いくらなら出て行ってもらえるか」をこう計算しています

結論

建替えや売却を理由に「退去してほしい」と言われたとき、住居の立ち退き料は家賃の6〜12ヶ月分+引越し実費が実務上の目安です。家賃10万円なら60〜120万円に実費が乗るイメージです。

ただし大前提があります。立ち退き料は借主が請求できる決まった権利ではなく、貸主が「正当事由」を補うために積む交渉の産物です。だから金額は決まっておらず、貸主側の事情の強さで大きく動きます。この記事は、貸主側・管理側が実際にどう金額を組み立てるかから書きます。先に1つだけ:貸主から言われる前に自分から退去を申し出ると、立ち退き料は発生しません

立ち退き料とは何か:権利ではなく「正当事由の補完」

普通借家契約では、貸主が契約を終わらせるには期間満了の1年前〜6ヶ月前の通知正当事由(借地借家法28条)が必要です。そして正当事由は、貸主の自己使用の必要性や建物の老朽化だけでは簡単に認められません。そこで足りない正当事由をお金で補う——これが立ち退き料の正体です。

実務の相場観:貸主側はこう積み上げる

私たちが貸主側で立ち退き提案を組むときの内訳は、おおむねこの構造です。

住居の立ち退き料の組み立て(家賃10万円の部屋の例・賃貸管理の実務水準)
項目考え方金額の目安
引越し実費引越し業者代・不用品処分10〜20万円
新居の初期費用敷金・礼金・仲介手数料・前家賃40〜50万円(賃料4〜5ヶ月分)
家賃差額の補償近隣の新居との差額1〜2年分0〜30万円
迷惑料的な上乗せ交渉状況による0〜20万円
合計60〜120万円(家賃6〜12ヶ月分)

つまり6〜12ヶ月分という数字は「気持ち」ではなく、あなたが実際に負担する引越しコストの積み上げにほぼ一致します。だから交渉の場では、感覚で増額を求めるより実費の見積書を並べるほうが通ります。引越し2〜3社の見積もり、新居候補の初期費用明細——数字で話すのがいちばん強い。

高くなるケース・安くなるケース

立ち退き料が動く要因
方向要因
高くなる貸主の事情が「売却したい」「建て替えて収益を上げたい」など営利目的/居住年数が長い/高齢・転居困難な事情がある/店舗・事務所(営業補償・造作・移転通知費用が乗り、賃料の1〜3年分規模になることも)
安くなる建物の倒壊危険・耐震基準不適合など安全上の正当事由が強い/すでに大半の住戸が退去済み/家賃滞納など借主側に落ち度がある(そもそも解除事由があれば立ち退き料なしもあり得ます)

交渉の進め方:4ステップ

  1. 書面で理由を求める…なぜ退去が必要か、いつまでか、条件は何かを書面でもらいます。口頭の「そのうち建て替えるから」段階で動く必要はありません
  2. その場で答えない…最初の提示額は貸主側の希望値です。「持ち帰って検討します」でよく、即答の義務はありません
  3. 実費を見積もる…引越し業者の見積もり、新居候補の初期費用を実際に集め、合計を提示額と突き合わせます。足りなければ不足分を明細つきで示して増額を求める
  4. 合意は書面で…金額・支払時期(引渡し前の支払いが安全)・退去日・原状回復の免除(立ち退き合意では原状回復免除とセットにするのが通例)を合意書にします

定期借家契約は前提が変わります。期間満了で契約は終了するため、貸主は正当事由なしに再契約を断れます。この場合、立ち退き料を積む理由が貸主側にないため、原則として発生しません。契約書の種類の確認が先です。

よくある質問

Q提示された立ち退き料に納得できず、拒否し続けたらどうなりますか

貸主が本気なら、最終的には正当事由の有無を裁判所が判断します。正当事由が弱ければ住み続けられますし、裁判所が明渡しを認める場合も立ち退き料の支払いと引き換えになるのが通常です。ただし争いが長引く負担はあるので、実費ベースで折り合えるならそのほうが早いのも事実です。

Q立ち退き料に税金はかかりますか

個人が受け取る立ち退き料は、引越し費用などの実費弁償部分を除き、原則として一時所得として課税対象になります(50万円の特別控除あり)。金額が大きい場合は確定申告が必要になることがあります。

Q大家が変わった直後に退去を求められました。応じる必要はありますか

ありません。建物の売買で貸主の地位が新オーナーに移っても、賃貸借契約はそのまま引き継がれます。新オーナー都合の退去依頼は、前オーナー時代からの契約に対する通常の立ち退き交渉として扱えます。

Q「老朽化で危険だから」と言われたら出なければいけませんか

老朽化の程度によります。耐震診断の結果など客観的な資料の提示を求めてください。本当に危険性が高い場合は正当事由が強く、立ち退き料は相対的に低くなりますが、資料もなく「古いから」だけでは正当事由としては弱いままです。

まとめ

この記事の要点

① 立ち退き料は権利ではなく、貸主の正当事由を補う交渉の産物。相場は住居で家賃6〜12ヶ月分+実費。
② 内訳は引越し実費+新居初期費用+差額補償の積み上げ。感覚でなく見積書で交渉する。
③ 自分から退去を申し出た瞬間にゼロになる。貸主から言われるまで動かない。
④ 合意書には金額・支払時期・原状回復免除をセットで。定期借家は原則対象外。

この記事は2026年7月27日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。

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