賃貸に光コンセントがない。まず部屋の差込口を見てください
光コンセントがなくてもインターネットは使えます。問題は「ないこと」ではありません。
本当に見るべきは、代わりに何があるかです。電話の差込口だけなのか、LANの差込口があるのか、機械が置いてあるのか。ここで使える回線と、出る速度の上限が決まります。同じ「光コンセントがない」でも、実測で400Mbps出る部屋と、100Mbpsで頭打ちになる部屋があります。
光コンセントがない理由は4つある
光コンセントとは、部屋の壁にある光ファイバーの差込口です。電話の差込口と一体になったプレートに付いていることが多く、単独のプレートになっている場合もあります。設置場所はリビングや主室の壁、分電盤の横、収納の中などです。
これが見当たらないとき、考えられるのは次の4つです。「回線が来ていない」とは限りません。
- VDSL方式…共用部から部屋までが電話線。光コンセントは構造上そもそも不要です
- LAN配線方式…共用部から部屋までがLANケーブル。こちらも光コンセントは不要です
- 光配線だが機器に直結…光ファイバーが室内の機器(ONU)に直接つながっている場合、差込口が表に出ません
- そもそも未導入…建物に回線が引かれていない場合です
このうち3番目は、むしろ速い部類です。「インターネット無料」の物件でよく見られる形で、光ファイバーが部屋まで来ているのに、入居者が光コンセントを目にすることがありません。
つまり光コンセントの有無だけでは、速いか遅いかは判断できないということです。
部屋の差込口で見分ける
判別は簡単です。壁の差込口と、置いてある機器を見るだけで分かります。
| 部屋にあるもの | 配線方式 | 速度の上限 | 光コンセント |
|---|---|---|---|
| 光コンセント | 光配線方式 | 制約は小さい | ある |
| 機器(ONU)が置いてある | 光配線方式(直結) | 制約は小さい | 表に出ない |
| LANの差込口 | LAN配線方式 | ケーブル規格による | 不要 |
| 電話の差込口だけ | VDSL方式 | 理論上100Mbps | 不要 |
| 何もない | 未導入の可能性 | — | — |
内見のときに壁の差込口まで見る方は、ほとんどいません。ですが写真を1枚撮っておくだけで、後から判断できます。
パターン別・使える回線と出る速度
電話の差込口だけ(VDSL方式)のとき
4パターンで唯一、明確な上限があるのがこれです。共用部までは光ファイバーが来ていても、部屋までが電話線なので、そこで理論上100Mbpsが上限になります。
この上限は、契約するプランを上げても、Wi-Fiルーターを買い替えても変わりません。物理的な配線の制約だからです。
ただし100Mbpsで足りるかは、使い方によります。4K動画の視聴に必要な目安は50Mbps程度なので、視聴中心なら不足しません。問題になるのは、大きなファイルを日常的に送る場合と、参加人数の多いビデオ会議です。
古い建物ほどこの方式が多く残っています。築年数が経っている物件で電話の差込口しかない場合は、VDSLを疑ってください。
LANの差込口があるとき
共用部から部屋までLANケーブルで配線されている方式です。光コンセントは構造上不要で、壁のLAN差込口にケーブルを挿せばそのまま使えます。
速度はケーブルの規格に左右されます。古い規格だと100Mbpsで頭打ちになりますが、新しい規格なら1Gbpsまで対応します。見た目では判別できないため、実際に接続して測るのが確実です。
機器(ONU)が置いてあるとき
光ファイバーが部屋まで来ていて、壁の差込口を経由せず機器に直接つながっている状態です。「インターネット無料」の物件でよく見られます。
この場合、速度は建物に入っている提供会社で決まります。実測データで比べると、提供会社によって大きな差があります。
最も速い会社と最も遅い会社で5.1倍の差があります。機器が置いてあるからといって、自動的に速いわけではありません。
提供会社7社の実測値と、その会社名を管理会社から聞き出す方法は、こちらで詳しく解説しています。
何も見当たらないとき
建物に回線が導入されていない可能性があります。ただし収納の中や分電盤の横に隠れていることも多いため、次の場所を確認してください。
- リビング・主室の壁(電話の差込口の周辺)
- 分電盤(ブレーカー)の横
- クローゼット・押入れの中や上部
- 玄関横の収納、洗面所の点検口付近
それでも見つからない場合は、管理会社に「この建物に光回線は引き込まれていますか。部屋までの配線はどの方式ですか」と確認するのが早いです。
光コンセントは後から付けられるのか
付けられる場合と、付けられない場合があります。順に確認してください。
1. 建物まで光回線が来ているか
来ていれば、共用部から部屋まで配線する工事で設置できます。来ていなければ、まず建物への引き込みが必要になり、これはオーナーの判断になります。入居者の希望だけでは進みません。
2. 共用部に空きがあるか
各戸に割り当てる接続口が満室で埋まっていると、物理的に増やせません。この場合、工事の可否ではなく設備の空きがないという理由で断られます。
3. オーナー・管理会社の許可が取れるか
賃貸である以上、これが必須です。特に壁に穴を開ける工事を伴う場合は、許可なく進めることはできません。既存の配管を通せる場合は許可が下りやすく、新たに穴を開ける必要がある場合は難しくなります。
「光回線を引きたい」だけでは判断されません。次の3点を添えると話が早くなります。
① 壁に穴を開ける工事が必要かどうか(既存の配管を通せるなら、その旨)
② 退去時に設備を撤去するか、残すか
③ 費用は自己負担であること
4. 費用はどうなるか
工事費は回線事業者と工事内容によって変わります。大きく分かれるのは、作業員が訪問する「派遣工事」か、訪問なしで済む「無派遣工事」かです。すでに設備がある部屋で回線事業者を変えるだけなら無派遣で済むことがあり、この場合の費用は大きく下がります。
また、キャンペーンで工事費が実質無料になる場合もあります。契約前に、自分の部屋がどちらの工事になるかを回線事業者に確認してください。「工事費無料」と書かれていても、派遣工事が必要な場合は対象外ということがあります。
「インターネット無料」の物件では、自分で契約しても家賃は下がりません。無料インターネットの費用は家賃や共益費に含まれているため、個別契約すると二重に払うことになります。速度に不満があって切り替える場合は、この点を踏まえて判断してください。
工事ができない・待てないときの選択肢
許可が下りない、共用部に空きがない、開通まで待てない。このいずれかに当てはまる場合、建物の設備に手を加えない方法があります。
まず切り分ける(費用0円)
いま使えるネットがあるなら、有線と無線の両方で速度を測ってください。時間帯も平日昼・平日夜・休日夜と変えます。有線では速いのに無線だと遅い場合、原因は回線ではなくWi-Fiルーターです。この場合はルーターの買い替えで解決します。
工事のいらない回線を使う
コンセントに挿すだけのホームルーターや、持ち運べるモバイル回線であれば、壁に一切手を加えずに使えます。光回線ほどの速度は出ませんが、VDSL方式で100Mbpsに張り付いている場合や、遅い提供会社の物件では、こちらのほうが速くなることもあります。
判断の目安は、いま出ている速度を実際に測ってから比べることです。数字を見ずに切り替えると、同じか遅くなることがあります。
よくある質問
Q光コンセントがないと、光回線は契約できないのですか
いいえ。VDSL方式もLAN配線方式も、光回線サービスの一種です。契約はできます。ただしVDSL方式では速度に上限があります。
Q電話の差込口を光コンセントに交換できますか
差込口だけを交換しても意味がありません。共用部から部屋までの配線そのものを、電話線から光ファイバーに変える工事が必要です。これは建物の設備に関わるため、オーナーの許可と、配管に光ファイバーを通せるかどうかの確認が要ります。
Q光コンセントを自分で増設できますか
できません。光ファイバーの接続には専用の工具と技術が必要で、無理に曲げると通信できなくなります。回線事業者の工事として実施するものです。
Q退去するとき、設置した光コンセントはどうなりますか
物件によって扱いが異なります。撤去を求められる場合と、そのまま残していい場合があります。工事の前に、書面で確認しておいてください。後から揉めやすい部分です。
Q管理会社に聞けば、光コンセントの有無は分かりますか
建物としての配線方式は把握しています。ただし入居者が個別に引いた設備までは、把握していないことがあります。確実なのは、内見時に自分で壁を確認することです。
まとめ
① 代わりに何があるか(電話の差込口/LANの差込口/機器)
② 電話の差込口だけなら、100Mbpsが上限と考える
③ 機器が置いてあるなら、提供会社名を管理会社に聞く(速度は会社で5.1倍変わります)
光コンセントの有無は、それ自体が問題ではありません。見るべきは、代わりに何があるかです。壁を見れば判別できますし、内見のときに写真を1枚撮っておくだけで、後から確認できます。
「インターネット無料」と書かれた物件を検討している場合は、あわせてこちらもご覧ください。提供会社によって実測速度が5.1倍違うこと、その会社名の調べ方を解説しています。