ものづくり補助金。従業員5人以下で750万円ですが、賃上げ未達なら返還です
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、革新的な新製品・新サービス開発のための設備投資を支援する制度です。第23次公募では、製品・サービス高付加価値化枠の補助上限が従業員1〜5人で750万円、以降は規模に応じて4段階に分かれます。
金額は大きいのですが、基本要件が重い制度です。付加価値額の年平均成長率3.0%以上、従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上、事業所内最低賃金を地域最低賃金より+30円以上。しかも賃金に関する要件が未達なら補助金の返還義務があります。
補助上限額と補助率
| 従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 | 中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者および再生事業者2/3 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 同上 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 同上 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 同上 |
- グローバル枠は3,000万円…従業員規模の区切りがなく、補助率は中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者2/3です。海外への直接投資、輸出、インバウンド対応、海外企業との共同事業が対象です
- 大幅な賃上げで上限が上がる…特例要件を満たすと、補助上限額が100〜1,000万円上乗せされます
- 最低賃金の引上げで補助率が上がる…最低賃金の引上げに取り組む事業者は、補助率が2/3に引き上げられます
- 小規模事業者なら補助率2/3…中小企業は1/2ですが、小規模企業・小規模事業者は2/3です。従業員5人以下の会社はここに該当することが多く、負担が軽くなります
- 常時使用する従業員が1人以上必要…補助対象者の要件です。従業員がいない一人社長の会社は対象外になります
4つの基本要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①付加価値額の増加 | 年平均成長率3.0%以上(営業利益+人件費+減価償却費) |
| ②賃金の増加 | 従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上 |
| ③事業所内最低賃金水準 | 事業実施都道府県の最低賃金より+30円以上 |
| ④従業員の仕事・子育て両立支援 | 従業員21名以上の場合、一般事業主行動計画の策定・公表 |
- 付加価値額の定義…この補助金では営業利益+人件費+減価償却費を指します。一般的な付加価値の定義と異なるため、計算を間違えないようにします
- ②と③は未達成なら返還義務…賃金に関する2つの要件は、達成できなければ補助金を返さなければなりません。目標を掲げるだけの制度ではありません
- 第23次から「1人あたり」で判定…返還等に関わる給与支給総額の考え方について、第23次公募から1人あたりで成長率を判定する扱いに限定されました。総額では判断されません
- ④は21名以上が対象…従業員21名以上の場合、次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画の策定・公表が必要です。応募申請時点で策定されていなければ要件未達になります
- 行動計画の公表には2週間以上みる…「両立支援のひろば」での公表申請には審査があり、不備が見つかることもあります。事務局自身が余裕を持った申請を呼びかけています
返還義務という重さ
- 賃上げが未達なら返還…給与支給総額の年平均成長率3.5%、事業所内最低賃金+30円。この2つは達成義務であり、未達なら補助金を返すことになります
- 返還免除の考え方もある…公募要領に返還免除の規定があり、一定の事情がある場合の扱いが定められています。ただし原則は返還です
- 数年にわたる約束になる…事業計画期間中の成長率で判定されるため、補助を受けた年だけでなくその後数年の賃金水準を維持・向上させる必要があります
- 賃上げできる見通しが前提…設備投資で生産性が上がり、その果実を賃金に回せるという計画が成り立つかどうか。ここが立たないなら申請すべきではありません
- 財産の処分制限もある…取得した財産を破棄等する場合、残存簿価相当額または時価により国庫納付が必要です。原則として専ら補助事業に使用することが求められます
申請前に確認すること
- GビズIDプライムを取得する…発行に一定期間かかります。公募開始を待たずに先に取得しておきます
- 革新的な開発かを確認する…単に機械装置等を導入するだけで新製品・新サービスの開発を伴わないものは対象外です。同業他社で相当程度普及しているものの開発も該当しません
- 賃上げの計画を立てる…給与支給総額3.5%、最低賃金+30円を数年間維持できるか。財務計画とセットで検討します
- 従業員規模を確認する…補助上限額が決まります。1人以上の従業員が必要です
- 締切から逆算する…第23次は公募開始2026年2月6日、申請締切2026年5月8日17時、採択公表は2026年8月上旬頃の予定でした。準備期間は3か月程度あります
- 不採択がある…採択結果の理由開示および異議申し立ては一切受け付けられていません
- 交付決定時に減額されることがある…採択後の精査で、補助金申請額から減額または全額対象外となる場合があります
- 不適切な支援業者に注意…公募要領自体が、実際のコストと乖離した高額な成功報酬や、申請者が理解しないまま代行するコンサルティングへの注意を明記しています
- 公的な相談窓口がある…よろず支援拠点等で会社全体の事業計画の策定支援を受けられます
- 不正受給には罰則…補助金適正化法により、5年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方に処せられる可能性があります
- 当社の視点…3名の不動産会社にとって、この補助金は射程外です。「革新的な新製品・新サービス開発」が前提で、設備投資を伴う製造業やサービス開発が中心だからです。ただし小規模事業者なら補助率2/3・上限750万円という条件は、開発要素のある事業を持つ会社には検討に値します
ものづくり補助金は金額が大きい分、要件も重い制度です。特に賃金要件は「未達なら返還」であり、補助金をもらった後も数年間の約束が残ります。設備投資で生産性が上がり、賃上げの原資が生まれるという道筋が描けるかどうかが、申請の可否を分けます。
よくある質問
Q補助上限はいくらですか
製品・サービス高付加価値化枠は従業員1〜5人で750万円、6〜20人で1,000万円、21〜50人で1,500万円、51人以上で2,500万円です。グローバル枠は規模の区切りなく3,000万円です。
Q補助率はどのくらいですか
中小企業は2分の1、小規模企業・小規模事業者および再生事業者は3分の2です。最低賃金の引上げに取り組む事業者は補助率が3分の2に引き上げられます。
Q賃上げができなかったらどうなりますか
給与支給総額の年平均成長率3.5%以上と事業所内最低賃金+30円以上は、未達成の場合に返還義務が生じます。公募要領には返還免除の規定もありますが原則は返還です。
Q設備を買うだけでも対象になりますか
なりません。単に機械装置等を導入するだけで新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象外です。
まとめ
① 製品・サービス高付加価値化枠は従業員1〜5人で750万円。規模で4段階。グローバル枠は3,000万円。
② 補助率は中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者2/3。
③ 基本要件は付加価値額3.0%増・給与支給総額3.5%増・事業所内最低賃金+30円(21名以上は行動計画も)。
④ 賃金の2要件は未達なら返還義務。第23次から「1人あたり」で判定。
⑤ 単なる設備導入は対象外。革新的な新製品・新サービス開発が前提。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。