建設業許可が不要な軽微な工事。500万円は税込み・材料費込みで見ます
建設工事を請け負うには原則として建設業許可が必要ですが、軽微な建設工事だけを請け負う場合は許可が不要です。基準は工事の種類で分かれます。
建築一式工事以外=1件の請負代金が500万円未満(消費税込み)。建築一式工事=1,500万円未満(税込み)、または木造住宅で延べ面積150㎡未満。ここで間違えやすいのが①税込みで判定する ②注文者が材料を提供する場合はその市場価格と運送費を含める ③契約を分割しても合算されるという3点です。
軽微な建設工事の範囲
| 工事の種類 | 基準 |
|---|---|
| 建築一式工事以外の工事 | 請負代金の額が500万円未満(税込み) |
| 建築一式工事 | 1,500万円未満(税込み) |
| 建築一式工事(木造住宅) | 延べ面積150㎡未満(1,500万円以上でも可) |
- 建築一式工事は「総合的な企画・指導・調整」が必要な工事…単に複数の工事を請け負うことではありません。元請として建物全体を建てるような工事が該当します
- 木造住宅の150㎡基準は「または」…1,500万円以上でも、木造住宅で延べ面積150㎡未満なら軽微な工事です。ただし住宅の用途に供する部分が2分の1以上であることが要件です
- 29業種に分かれている…土木一式、建築一式のほか、大工、左官、電気、管、内装仕上など27の専門工事があります。業種ごとに許可を取ります
- 解体工事は別途登録が必要な場合がある…建設業許可がない場合、解体工事業者登録が必要です
- 電気工事などは別の法律の資格も必要…建設業許可とは別に、電気工事士法などの資格が求められます
500万円の数え方
- 消費税込みで判定する…税抜き480万円なら税込みで528万円となり、500万円を超えるため許可が必要です。ここを間違える例が多くあります
- 注文者が材料を提供する場合は材料費を加える…材料の市場価格および運送費を請負代金に加えて判定します。「材料は施主が用意するから工事代金だけ」という計算は誤りです
- 契約を分割しても合算される…正当な理由なく契約を分割した場合、各契約の請負代金の合計額で判定します。300万円の契約を2本に分けても600万円として扱われます
- 同一工事かどうかがポイント…工期や場所が異なる別個の工事であれば、それぞれで判定します
- 追加工事にも注意…当初500万円未満でも、追加工事で超えれば許可が必要になります
許可を取る要件
- 経営業務の管理責任者等…建設業の経営経験がある者を置きます。建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験などが要件です
- 専任技術者…営業所ごとに、許可を受けようとする業種について一定の資格または実務経験を有する者を専任で置きます
- 誠実性…請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが必要です
- 財産的基礎…一般建設業では、自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力があることなどが要件です
- 欠格要件に該当しないこと…成年被後見人、一定の刑に処せられた者などに該当しないことが必要です
- 知事許可と大臣許可…1つの都道府県にのみ営業所を置く場合は知事許可、複数の都道府県に置く場合は国土交通大臣許可です
- 一般建設業と特定建設業…元請として一定金額以上を下請に出す場合は特定建設業許可が必要です。要件が厳しくなります
- 5年ごとの更新…許可の有効期間は5年です。更新を忘れると失効します
- 毎年の決算変更届…事業年度終了後4か月以内に決算変更届(事業年度終了報告)を提出します。これを怠ると更新できません
無許可営業のリスク
- 罰則がある…許可を受けずに建設業を営んだ場合、建設業法違反として罰則が定められています
- 元請から取引を切られる…元請業者は、無許可業者に500万円以上の工事を発注すると自らも責任を問われます。取引の入口で許可の有無を確認されるのが実務です
- 公共工事に参加できない…入札参加資格の前提として建設業許可が必要です
- 金融機関の評価にも影響する…許可業者であることが与信の材料になります
- 当社の視点…不動産管理では原状回復工事やリフォームを手配します。500万円という数字は税込み・材料費込みという点を知らないまま発注すると、無許可業者に許可が必要な工事を出してしまうことがあります。見積書の税抜き表示だけで判断しないことが実務上の要点です
500万円という数字だけが独り歩きしていますが、実際には「税込み」「材料費込み」「分割しても合算」という3つの調整があります。工事を発注する側も、この基準を知っていれば相手方に許可が必要かどうかを判断できます。
よくある質問
Q500万円は税抜きですか税込みですか
消費税込みで判定します。税抜き480万円でも税込みで528万円になれば500万円を超えるため許可が必要です。
Q施主が材料を用意する場合はどう計算しますか
注文者が材料を提供する場合、その材料の市場価格および運送費を請負代金に加えて判定します。工事代金だけで判断するのは誤りです。
Q契約を分ければ500万円未満にできますか
できません。正当な理由なく分割した場合、各契約の請負代金の合計額で判定されます。
Q建築一式工事の基準は何ですか
1,500万円未満(税込み)、または木造住宅で延べ面積150㎡未満です。木造住宅の場合は住宅の用途に供する部分が2分の1以上であることが要件です。
まとめ
① 軽微な建設工事は建築一式工事以外で500万円未満(税込み)。
② 建築一式工事は1,500万円未満、または木造住宅で延べ面積150㎡未満。
③ 注文者が提供する材料の市場価格と運送費を加算して判定する。
④ 正当な理由なく契約を分割しても合算される。
⑤ 許可の要件は経営業務の管理責任者等・専任技術者・誠実性・自己資本500万円以上・欠格要件非該当。
この記事は2026年7月31日時点の法令・公開情報および当サイトで実測した料金に基づいています。制度・料金は変わることがあります。許認可・登記・税務の個別判断は、所管庁・専門家にご確認ください。本記事は論点の整理であり、法的助言ではありません。